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2019年11月30日17:20

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池袋


その店に何度か行ったあるときは、二組のカップルが個室に移動したものの4人だけで落ち着いて遊びたいのかドアを閉めてしまった。「ああなると単独の入る余地はないね。」と単独仲間の人に教えてもらい悔しい思いをした。あんまり悔しいから個室の隣の部屋に移動して薄いパーテーションごしに中の様子を聞いていたら4人も入ると狭くなるのでたまに体をぶつけてしまうガツンって音が何度も聞こえた。  また別のカップルが個室に移動してわざとドアを開けっ放しにしたので単独2,3人が中に入ってじっと様子を見た。自分も一緒にいたが時間が経つうちに飽きちゃったのでその場を離れたら「最後まで見るのが単独のマナーだよ」とまた怒られてしまった。

みんな帰った後マスター(と言うよりオヤジさん)が「ああ疲れた」と言い、「ちょっと飲んでいきなよ」と単独が入ることはできない聖域、カップルスペースに単独を招きいれ冷蔵庫(業務用のガラスケースの奴)からヤクルトを出して勧めてくれた。オヤジさんは話し好きで風営法の許可をとったことを何度も何度も嬉しそうに繰り返した。許可を得ることがどれほど大変なのかは分からないがとにかく1年くらいかかりやっと警察から認められた、とのことでつまりこの店は警察の手入れが入ることはない安全な店らしい。「こんなカップル喫茶は日本で初めてだよ。」とニコニコ笑ってまた話を繰り返した。
 
この風営法の許可がオヤジのクビを絞めることになるとは、このとき誰もわからなかった。

オヤジさんは雑誌の取材を受けて「見て、見てホラ」と週刊誌のバックナンバーを広げた。見開きの記事を読むと「日本で初めての国家公認カップル喫茶?!」というもので、裸で立っている女性に覗き穴から手が数本ゾンビのように伸びて体にタッチしようとしている写真が掲載されていた。写真の人物はすべて仕込みらしく、雑誌のための演出だな、と思った。
  その後店に行こうとして電話したら留守電になっていて繋がらず「改装のため7月20日ごろまで休業します。」というメッセージが流れるのみだった。


20日になっても電話は繋がらずさらに2週間ほどしてようやく繋がった。今度行くので予約したい旨を伝えるとオヤジは「ごめん、ちょっと事情が変わってもう受付できなくなっちゃった。」と言った。 何で? と聞くと例の雑誌掲載が他の店の反感を買ったらしく、ライバル店はあえて豊島区(オヤジの店がある)ではなく江東区に「あの雑誌みたいな店をやりたいから俺にも許可をくれ」と申請した。すると江東区警察は困ってしまい「豊島区警察は何ちゅう許可を出したんじゃ」とごちゃごちゃ豊島へ注意した。豊島区警察としてはオヤジとの付き合いが長いものの「オヤジさん、悪い。もうちょっとおとなしい店にしてくれ。」と言わざるを得なかった。


オヤジさんは仕方なくオープンルームを改装して全部個室に作り替えた。「他の店のマスターはお金持っているから道楽で店やっていつでも畳むことできるけど ボクはこれが商売で、ずっとやるつもりだから警察を怒らせるようなことはできないんだよ。」「そーすか、じゃあ 入会金って返ってくるんですか?」「うーん 、まあ楽しい店になってるからさ今度彼女連れておいでよ。」
 
その後その店には一度も行ってない。2ちゃんねるに「すげー つまらない店になってた。」と書き込みがあった、ような気がする。本当のところよく覚えてない。
              おしまい
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