1934年3月から1935年5月までの短い期間に"The MaGazine"という雑誌が発行されました。
タイトル("M"と"G"が大文字)からうかがい知ることができるように、MG社がユーザーやファンに向けて発行していた雑誌です。
その1934年5月号にバーミンガムのH.J. Randallという会社がアクセサリーの広告を掲載しています。
それは真鍮にクロームメッキが施されたラジエター・マスコットで、"midge(ミッジ)"をモチーフにしていました。ミッジとは普通の蚊を小さくしたような形態のユスリカのことで、ヒトや動物を刺して血を吸うことはありません。
このmidgeマスコットはロンドンにあったMGの代理店、University Motors Ltd.で買うことができました。
その後"The MaGazine"は装いを改めて"The Sports Car”として再出発しています。前者はかなり大きくて(タブロイド版の新聞ほど)扱いにくかったのですが、後者は通常の雑誌サイズになりました。
その1936年7月号にmidgeマスコットの広告が再度掲載されています。
最早University Motors Ltd.だけでなくどの販売店からも購入できるようになったようで、"obtainable from ALL M.G. AGENTS"とされていました。
2021年2月8日に83歳で永眠したモータリング・ヒストリアンのMike Worthington-Williams(マイク・ワージントン-ウィリアムズ)は、このmidgeマスコットは1935年にPタイプ用に(のみ)作られ販売されたと書いています。しかしその意見には賛同できません(彼はMG専門のヒストリアンではないので仕方ありません)。
最初に広告が掲載された1934年5月はPタイプの時期ではありますが、マイクが言う販売開始の1935年まではかなりの期間がありますし、広告には大小2種類あることが明記されています(大は今まで一度も見たことがありませんが)。
さて、現在このmidgdeマスコット(小)は再生産されています。ただしH.J. Randallが製造販売しているのではなくレプリカです。
出来映えはすこぶる良い上にそれほど苦労せずに新品が手に入るので取り付けられているいる例を時々目にします。
ラジエターキャップに本来の取り付け方をする以外に、新しいモデルのバンパーに取り付けるなど、愛車をドレスアップして楽しむのは微笑ましいのですが、室内に取り付ける際はもしもの時にケガをしないように工夫しましょう。
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