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2020年06月05日05:55

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クルマ0222 昔は白かった(タイヤ)

ガレージに置いてあるキャビネットに色々なミニチュア・カーを並べているのですが、その中にMGの速度記録挑戦車があります。イギリスのTRIANG(トライアング)社の1930年代の製品(高いプレミアムが付いている大きな1/12スケールではなく、よく見かける1/32のモデルです。残念ながら)で、ゼンマイで動くブリキ製です。これがいつの間にかシャコタンに。タイヤがペッタンコになってしまったのです。ソリッドのタイヤですのでパンクではなく、へしゃげてしまったワケで。強度が足りなかったのは明白です。モデルの重量(僅かでしょ)に耐えられない!

実車は馴染みのある黒いタイヤを履いているのですが、このミニチュアは白いタイヤを履いています。だから強度不足なんです。えっ、白いタイヤ?そう、白です。
実はこれが元来の色なのです。タイヤの原料は熱帯地方に生育しているゴムの木の樹液(ラテックス)ですが、幹を削ると流れ出てくる樹液は白色です。
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この樹液に酸を加えて乾燥させると生ゴムになるのですが、色は飴色の混じった白になります。
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この生ゴムには弾力性がありますので、それをより活かすために空気入りチューブと組み合わせることが考案されました。そして1888年にイギリスのJohn Boyd Dunlop(ジョン・ボイド・ダンロップ)が軽量な自転車用を実用化し、数年後にフランスのÉdouard(エデュアルド)とAndré(アンドレ)のMichelin(ミシュラン)兄弟がクルマに使うために高荷重にも耐えられるように改良しました。
この頃はまだゴムの木の樹液そのまま(生ゴムのまま)でタイヤを整形していましたので耐久性か劣悪で、すぐに磨耗するわ頻繁にパンクするわ…(本稿0066参照)。そこで実用性を高める研究がなされ、1912年にカーボンブラックを混ぜると強度・対磨耗性が格段にアップすることがアメリカで発見されました。

カーボンブラックとは、100ナノメートル(10のマイナス4乗ミリメートル)と想像できないほど微少な炭素の粒子で、コピーのトナーなどに使われている黒色の着色剤です。これをゴムの樹液に混ぜると強度がアップするとともに黒くなるワケです(力強く見えます)。
それまでは生ゴム(キレイとは言えない飴色混じりの白)に顔料を加えて真っ白にして美しく見せていたのですけどね。
また、カーボンブラックを混入する量が多ければ多いほど強度がアップします。このことを利用してコンパウンド(柔らかさ)が異なるタイヤが作られるワケですね。

タイヤだけでなく黒いゴム製品には例外なくカーボンブラックが混入されています。ということは茶色い輪ゴムには混入されていない?YES、輪ゴムにはカーボンブラックではなく硫黄が混ぜられています。だから黒ではないですね。硫黄だと柔らかさを保ちつつチョッとだけ強度アップします。だから伸びる伸びる!

ところで、どのクルマも履い
ているタイヤはラジアルです。これが昔からの一般的なタイヤだと思ってらっしゃいません?
実はラジアルタイヤを履いたクルマが初めて市販されたのは1970年なんですよ(開発されたのは1946年ですけど)。最近です。それまではクロスプライ(所謂バイアス)タイヤが主流でした。
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この辺りのことを書くと長くなるので、機会を改めることにしましょう。
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