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2019年07月19日05:37

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悪魔(0176 FIAT MEPHISTOPHELES)

入院してから10ヶ月ほど過ぎた2011年秋のことだったと思いますが、イギリスの知人(変人)から「フェスティバル・オブ・スピード(1993年からイギリス南部のグッドウッド・サーキットで開催されているクラシックカー・イベント)に『悪魔』が来ていた! 」とスゴく興奮した手紙が送られてきたことをフト思い出しました。その手紙自体はどこかへいっちゃいましたけど。

1914年7月に勃発し1918年11月まで続いた第一次世界大戦は、残虐な争いが繰り広げられる一方で様々な科学技術が長足の進歩を遂げました。
内燃機関もそうで、航空機用の大排気量レシプロ(ピストン)エンジンは高出力化して信頼性も大幅に向上しました。しかし、終戦と同時に不要になった戦闘機や爆撃機の廃棄がはじまると「ああモッタイナイ。せめて心臓をクルマに積んじゃおう」という動きが出てきました。

冒頭の変人は、そんな航空機用のデカいエンジンを搭載した1900〜1920年頃のクルマ(チェーンでリヤホイールを駆動)に心底惚れ込んでいて、カーグラフィック(CG)誌2007年2月号に書いたチティ・チティ・バン・バンや、本稿0017のパリー・トーマスのBABSなどについて熱く語っていたものです。
そして彼が興奮して「悪魔」というのは、イタリアのフィアットが製作したMEPHISTOPHELES(メフィストフェレス)というワンオフ車です。メフィストフェレスはドイツの悪魔なんです。
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航空機エンジンをレーシングカーに使ったれ!と思った輩のひとりにErnest Eldridge(アーネスト・エルドリッジ)というイギリス人がいました。彼はS.F.Edge(エッジ)という人の注文でフィアットが1908年に製作したSB4というレーシングカーを手に入れ、それにフィアット製のA12(直列6気筒OHC21714cc、260馬力)という、シリンダーひとつが1升瓶2本分もあるバカでかい4バルブの航空機用エンジンを搭載したレーシングカーを製作しました。1923年のことです。
なお、このA12というエンジンはあまりに大きいので、シャシーは18インチ(約45cm)も延長しなければならなかったそうです。
メフィストフェレスは重量2トンもありましたが、エルドリッジはエンジンを330馬力までチューニングして、1924年6月12日に当時の速度記録146mph(約234.98km/h)を作っています。

まともな消音器が付いていなかったこのレーシングカーは、とんでもないノイズを出して耳をつんざくほどうるさかったので、あるフランス人が「中にメフィストフェレスがいて吠えているのか!?」と呟きました。それでメフィストフェレスと呼ばれるようになったそうです。
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