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2019年02月22日05:47

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オレンジ色の三輪車(0155 BOND BUG)

マイクロカーに詳しい三十数年来の友人に"MICROCAR MAN"という洋書を取り寄せるように依頼していたのですが、届いたとのことで持ってきてくれました。その本はLawrence Bond(ローレンス・ボンド)について書かれた分厚い本(300ページ以上)で、読み応えがあってジックリ楽しめそうです。ただ字が小さいので老眼にはキツそう!
ローレンス・ボンドは実に様々なマイクロカーに関わったようですが、ボンドと言えばまず想起する前1輪・後2輪のスポーティな三輪車「バグ(虫)」についてオサライしましょうかね、今回は。

三輪車の様々な優遇措置(税金制度・免許制度など)は、ヨーロッパ大陸各国では1960年頃までに終了(だからメッサーシュミットなどは1950年代が最隆盛)してしまったのですが、例外的にイギリスでは長らく継続しました。
バイク並の低課税に加え二輪免許でも乗ることができたので、若年層や労働者階級に人気があったのです。だから大手のリライアント社は数年毎にモデルチェンジを行って生産を続けました。
しかし、安価で高性能な日本や韓国の小型四輪車の台頭で、唯一残っていた量産三輪車であるリライアント・ロビンも2001年に生産を終えてしまいます。

ボンド・バグは、そんなリライアントが1970年代前半に生産していたリーガルという三輪車をベースにして、同時期に作られた前衛的なデザインが印象的なクルマです。
オーグル・ミニ(BMCミニのコンポーネンツを使って1960年代初頭に66台のみ生産されたスペェシャリティー・カー)で知る人ぞ知るTom Karen(トム・カレン)がデザインした鋭いウェッジシェイプのボディは、フロントを思いっきり低くし、リヤは通常のノッチバック車をトランクの前でスパッと切り落としたような格好をしています(だからリヤアクスルは後ろから丸見えです)。車高も低く、地面からホンの数センチのところに着座します。とにかく「どこにエンジンがあるの?」というような姿なんです。
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通常のドアはありません。乗員はキャノピー(巨大ですがFRP製で軽いです)をガバッと開けて乗り込みます。2人の乗員の間のセンターコンソールも巨大で、実はその中にエンジンが搭載されているのです(だからセンターコンソールはとても熱くなります)。
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全長2794mm、ホイールベース1956mm、車重394kgの小さな車体にはオースティン7に端を発するサイドバルブ701ccのリライアント・リーガルのエンジン(29馬力)を搭載し、最高速度122km/hを謳っていました。このエンジンは後に747cc(31馬力)にアップされています。
車体の小ささや着座位置の低さなどを勘案すると(まるでゴーカートです)、この数字はファンカーとして充分だと思うのですが、多くの人は£629の価格をBMCミニの£620に比べてしまい手を出さなかったと言われています。時代的にファンカーを受け入れる素地ができていなかったのですね。だから1970〜74年に2270台生産されたに過ぎません(特注の数台を除いて全てオレンジ色に塗られていました)。

なお、スズキ・ハヤブサ(バイク)のエンジンを、ツイン・ターボで300馬力にチューニングしてセンターコンソールに押し込んだモンスター・バグを作った輩がいるとか。おお恐!
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