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2020年12月11日15:06

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国体

 先日はあまりにも非道い記事を見つけて思わぬ駄文を残す事になったが、結論としての気持ちは変化していないので、まぁ、あれが私の公式見解という事になるのであろう。
 兎も角、様々な要因が合い絡んだ結果、ここ最近、戦前の国体論についての調査と称してそれらしい本を買い漁り、読み込んでいる最中である。

 なので先の日記記事のような不見識というか悪意が顕現したか……閑話休題

 そういえば後輩に国体という言葉について話題を振ったら、国民体育大会のことと思われた。
 まぁ、そいつは……今年はコロナでできなかったみたいだが……某競技の現役の県代表選手なので当たり前か……という話し。

 兎も角、それでようやくその一冊目を読み終えたので感想を残す事とした。

  「近代日本の国体論」 昆野伸幸・著
 本書の研究対象となる範囲は、皇国史観に一定の定義を与える事であり、そのために昭和10年代の国体についての論争、そして主要論者として名を挙げた平泉澄と大川周明の思想を精査することで、国体論における立ち位置と、その影響を調べている。
 特に皇国史観という言葉は、戦後になって、戦前の非科学的、軍国主義を推進するための帝国主義者達が一般民衆を洗脳するための道具立て、という取り扱いであり、過去を否定するために使われてきたに過ぎない。
 そのためその根拠となった大日本帝国憲法についても併せて批判の遡上に載せられる事がある(確かに、所謂明治憲法の欠陥は、敢えて指摘が可能であるにせよ、国体論に於ける箇所は、敢えて指摘するには及ばないと考えている)。

 それで全体としての評価だが、新たな視角を得る事が出来た、ということになる。
 勿論、高評価であるが、当然のこととして自分以外の一般人に推薦する類いの本ではないし、興味があってより高次の研究を行っている人に勧められるか、と問われればその判断を可能とする知見に欠いているので、ワカラン……としか答えられない。
 まぁ、昭和10年頃の国体論を中心に見ているので、その辺りについて知りたい、という方には入門書として薦められるかも知れない。

 不満を謂えば明治建国から、日露戦後、大正デモクラシーからの影響といった通史的な解説はほぼ見当たらなかった辺りであろうか(そもそもそこを標的としていないから当たり前なのだが……)。
 とはいえ、私が興味を抱いている226事件前後の社会情勢の一端であり、間違いなく青年将校達に与えられた直接的な影響そのものであったと考えられるので、充分吟味して後の考察に繋げたいと思う。


 しかし最近は本当にイイ時代になったモノだと感心する事がある。
 と、云うのも最近、国立国会図書館のデジタルアーカイブスをよく参照する。
 理由は簡単、著作権切れになっている当時の古書がデジタルデータで閲覧可能であり、その上、PDF形式でダウンロードまで可能なのである。
 ちょっと前までは古書での購入を検討していたモノが、自由自在にダウンロードが出来るという事で、実に爽快である。
 最近で助かったのは、明治41年発行の刑法全集で、通常刑法や刑事訴訟法の他、軍刑法やそれらに伴う監獄法関係も網羅しており、非常に有益であった。
 こんなもん、古書で探したら実に面倒であったろうし、書棚が悲鳴を上げるトコロであったであろう……あと、財布の中の諭吉が難民として私の手許から逃亡していたのではなかいかと思われる。
 他にも当時の時事を解説した冊子の他、省発行の公式の解説書等も簡単に閲覧、ダウンロードが可能なので、文中気になった古い書名は取り敢えず検索している。
 この辺りは当時の政府の公式見解であり、年代を通して見ても大いに参考になる。
 後は、近年の研究論文そのものが検索にかかる事もあり、対象によっては普通に参考とするに足る内容の場合があった(515、226事件時に於ける裁判権の独立についての論文は非常に面白く、また参考になった)。

 それで国体論の方が終わったので、今度は陽明学の方に移ろうかと思っていたのだが、先日の丸善で、美濃部達吉の「憲法講話」と「近代日本国体論の研究」という本を見つけて仕舞い、そっちに首を向けている。
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