https://news.yahoo.co.jp/articles/6fb5a1233856b268fb575eb3587926fde1829925
あまり余所の記事を拾って日記に残す事はしないのだが、稀に見る非道い記事内容だったので感想を残すべきか、と思った。
記事内容は天皇機関説を唱えた美濃部達吉が、学説否定をされ、その著書が発禁処分を受けたのだが、その頃に出した手紙の内容の紹介となる。
しかし途中から記事の風向きが変わる、早い話しが現在、一部で騒いでいる日本学術会議に関して、である。
早い話が、当時の美濃部が受けた弾圧と、現在の学術会議の任命拒否が似ている、というのだが……全然違う。
近代史に興味がない一般人であれば、まぁ、そうかそんな非道い事があったンだ〜、とくらいの感想を抱いて呉れるかも知れない。
ナニを以てフェイクニュースというかについて私が語るのもドーかと思うが、史上の事柄をねじ曲げて牽強付会の説を述べる姿勢は卑怯極まる。
確かに議会で最初に問題となる発議は陸軍出身の菊池武雄だったと思うが、そもそもこいつ自身が右翼団体の長の上、当時の陸軍の(ぎりぎり)主流派であった皇道派の荒木、真崎が、美濃部と敵対していた上杉慎吉の関係する右翼団体と絡んでいた。
そもそも当時、国体論について様々な言説が飛び交っている中での、国体思想の対立の延長と、それを利用した野党による岡田内閣の揺さぶりという政治的な側面が非常に強い事件である。
記事文面では非常にあやふやに書いているが、この記事だけを読むと、政府が率先して当時の主流的な学説を排除した、という風に読めるが、実際はそうではない。
右翼団体、それに国内学説のヘゲモニーを握ろうとする学者等、それらに扇動された国民の声に押されるカタチで当時の岡田内閣は国体明徴の声明を発したに過ぎない。
特に意図的に陸軍と結びつけようとしているし、全面的に間違いではないが、主導者として捉えるのは当時の社会情勢をマッタク無視した乱暴極まる内容と言い得る。
そもそも日本学術会議の任命拒否による学問に対する実害が発生していないし、今後とも発生する事はあり得ないと見られる。
美濃部達吉の憲法講話は先日だが、丸善で書棚にあるのを見つけて、偶然だが現在購読中である。
その感想を言えば大変平易な内容で、今にも残る近代法学を非常に判り易く解説しており、一部を除けば、現代に於ける法学の解説書としても批判に耐える内容であると思われる。
だからこそ、自身の正しさを信じて主張を枉げなかった美濃部と、任命拒否されて学問の自由に侵害と声高に叫く連中を同列に置こうとする浅ましさこそ度し難く感じる。
推敲不十分は承知だが、こういった扇動記事を書く記者には良心というもの欠落を感じざるを得ず、実に腹立たしい。
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