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2015年10月04日00:56

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蒼穹のファフナーexodus14話 感想・考察その2

ということで14話の続き。

安息の地でキャンプを張る一行。
ヒマラヤ山脈から離れ淡水の湖へ、水牛とフラミンゴがいます。
どうやら野生動物もこの世界ではフェストゥムの因子に汚染されることがあるようで結晶が生えることもある模様。
まあ、フェストゥムの同化の対象が地球上の全生命なので動植物が同化されても不思議はありません。
このシーン結局一騎が作っているのがカレーかどうかは不明。
インドでカレー作るロボアニメのエースパイロットの称号はまたの機会か。

三人での星空会話のシーン。
ここら辺は白井作画でしょう。
風が服とキャラの髪のほかに背後の木の葉が揺れているのが芸が細かい!
総士の「平和を譲ってもらっている」との台詞ではやはりROLを思い出しますね。
もちろん一騎たちもL計画の顛末は知っているでしょう。譲ってもらっている感謝をしみじみ感じています。

フェストゥム留学の経験はやはり総士は話せてなかった模様。
報告書もかけないほど特殊な世界だったらしく、とどのつまり経験してみないと分からない、らしいです。
総士の難しい説明に一騎と真矢のまるで理解していないリアクションがいいです。

難解な説明を総士が始めても二人は微笑んだまま夜空を見上げています。
総士が難しいことを喋りだすのは二人にとっていつものことなのです。
総士の変わらない部分ですね。
しかし「わかるか?」と確認されて一騎は間髪いれずあっさり否定。真矢も苦笑いを漏らします。
それをみて総士は噛み砕いた言い方に直します。ここが変化した部分。

続いて変わらない一騎の自己犠牲発言に真矢が動揺すると、なんと総士が真矢の背中を押してあげます。
あまりに意外なことに一騎が吃驚して総士を見てしまっています。
そこは真矢を見るところだろ…。
しかも真矢の心情を察して言葉を促すときも総士を見ている一騎。
「遠見の言いたいことを何で総士が知ってるんだ?」といわんばかりの表情。
だから真矢のことをね…。

久々に言いたいことを言った真矢。
今回は一騎も総士も両方心配してますね。真矢の変わったところです。
素直に真矢の言葉を受け取る一騎に対して、総士は相変わらず抽象的な表現です。
一騎は相変わらず分かりにくいとストレートな物言い。
昔の総士だったら憮然として終わりでしょうが、またしても簡単に言い直しました。
再び驚く一騎、その二人のやり取りを見て真矢が声を立てて笑い、またそれをみて微笑む二人。
幼馴染三人の関係性が素晴らしいですね。


ここでちょっと総士の説明を考えてみます。

 この宇宙で存在が無に飲まれても存在した情報は失われない。
 無と存在の狭間にある事象の地平線は存在があったという情報の分だけ広がる。
 地平線のこちらに無はなく、あちらに存在はない。
 ミールとフェストゥムは未知の物理法則で地平線のエントロピーを得る無の申し子だ。

設定上、ミールの内部には多くの同化された異性人の知識が蓄えられている、というのが人類側には分かっています。
そして冲方さんのインタビュー「フェストゥムは他の生命を同化し「もはや何一つ変化しないですむ存在になろう」とする生命の一つです。砂漠全体はさまざまに姿を変えますが砂の一粒一粒は変化をほとんどやめています。」

以上を合わせて考えると、
<ミールはフェストゥムを使って生命を同化し有から無へ移動させる。(高次元への移動)
その際「存在があった」という情報を得ることで、事象の地平線をどんどん広げいく(情報エントロピーの増大)生命体>


…それって生命体??なんか宇宙規模の大災厄みたいですよ??


「帰る場所、それが僕たちの求めるもだったのだろう」
総士のモノローグですがエグゾダスはポエムではなく、「君」へのメッセージという体裁をとっています。
つまり全てを見た後での総士のまとめですので、「帰る場所」がエグゾダスでのキーワードということです。

回想で真壁紅音が言っていたこと「彼ら(フェストゥム)も帰る場所を探してるんじゃないかな」がここに掛かってくるわけです。
フェストゥムであったミョルニアがミールに匹敵する存在となり、最後に竜宮島に還ってきました。
今度は人間である彼らが、帰る場所、故郷を求めている。
立場が逆転した仕掛けになっています。
結局フェストゥムも人間も帰る場所を求めそれぞれ前に進んでいるんですね。

続いて弓子とウォルター。
派遣組みの抑制剤がどれくらいあるのか分かりませんが、残りの人類軍に打つ程度はあるみたい。
後ろのビリーの不満顔が可愛いですが、ウォルターは竜宮島になにか因縁があるらしい。
前職が爆撃機の操縦者だったのできっと竜宮島に核を落とした関連でしょう。

エメリーと総士の初の会話に至っては、エメリーもフィーリングで話すタイプなので思わせぶりな台詞がちらほら。
アショーカミール曰く「総士はフェストゥムに痛みを教えるための永遠の存在だよ」らしい。
織姫にも架け橋宣言されててたし、もうフェストゥムと絶縁はできないですね。

運命の分岐点といわれた第19キャンプ。
ダッカの近くですが司令官のカマルさんは既に死亡。援軍呼んだものの不安要素満載です。
ダッカは最終目的地ではないのでさらにミールを根付かせるための土地に向かわねばなりません。
広登はそこに同行を希望。
竜宮島に帰還するのではなく、人類とフェストゥムの本当の理解のため、平和を広めるという使命のため島には帰らないことを選びました。
帰宅を熱望していた暉との差がはっきりと描かれています。

ここでミツヒロに似ているとビリーに言わせ、貴方の恋人がうらやましいとアイに言わせています。
ビリーから見たミツヒロが使命のためなら危険でも前に進む好青年であること、そしてアイがミツヒロの恋人になりたい、と思っていることが分かります。

19キャンプで敵を迎え撃つことにした総士と一騎。
敵の親玉を引き付けて難民たちを援軍と合流させる作戦です。
残されたのはザイン・ニヒト、人類軍ファフナー4機。
親玉のアザゼル型をこの6機で倒せるのでしょうか。

23キャンプも敵と交戦開始。
ダッカまであと少しなので総力戦です。
広登が叫びます「俺にはまだ行くところがあるんだ。本当の希望ってやつがある場所へ!」
そこえ援軍が。ビリーは皆生き残れると喜びます。
広登が人類軍とも、そしていつかフェストゥムとも信じあえると確信した瞬間。

腰の位置にあるコクピットが人類軍に狙撃。クロッシング断絶。
撃ったのは仲間殺しのアルゴス小隊・ビリーの兄のダスティンでした。

…もう、銃口がスッと下がった時点で心の中で「やめて」と懇願しましたよ。
まさか広登は狙われているなんで思ってもいなかったでしょう。
最後の最後まで分かり合えると信じていた。
それを教えてくれた芹のことを思っていた。
広登は裏切られたことを知らないままあっけなく逝ってしまいました。

もう、なんで?という言葉しか浮かびません。
なんで?どうして?

今回ほど理不尽な怒りというか無念さが湧き上がったのはファフナーでは初めてです。
他の退場者はそれなりに「生き切った」感があったと思います。
敵から大事な人を守ったり、自分の使命を全うしたり。
しかし広登はそうではない。
仲間だと思っていたもに裏切られた、その点が実に重い。

なんか今回ばかりは悔しいというか、悲しみのほかに腹立たしさ、わけのわからなさを感じています。
一番外に向かって心を開いていた広登がどうしてこんなことに…。
唯一救いなのが広登は信じたまま逝けたこと。
彼が絶望せずに済んだことです。

EDは広登バージョン。
広登が立てこもった中学校の放送室。教室の希望の文字。故郷の実家の食堂。
4巻のCDドラマで言及された設定ですが、島の住人は死んでもその記憶はミールによって島に保存されているのだそうです。
エンディングの演出は広登が島に帰ったことを示しているのではないかとも思います。

自分はリアルタイム時は喉がふくれて涙があふれ、頭の中では広登が放送室での姿が走馬灯のように流れていました。
1期を見直していたときに広登の放送室での主張がエグゾダスでフラグ回収されるだろうと確信しました。
あの時点でエグゾダスは影も形もありませんでしたが、凄く伏線にしやすい台詞を言ってくれてたんです。

「一度でいいから外の世界を見てみたいんだよ。
 俺だってやりたいことがあったっていいじゃないか。
 教室に「希望」って書いてあるじゃないか!」

生きて希望を受けつでほしい、と娘を死なせたばかりの容子さんに説得された広登。

やりたいことのために島の外に出て、世界を知っても心くじけず、更なる希望のため前に進もうとした広登。

その志はたぶん暉に引き継がれる。
外の世界を知った広登のここにいるべき理由を聞いたのは暉だけ。
希望を受け継いでほしい。

親や先輩たちが命を使って譲ってきたその希望を。


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