大切なものを失う度に、自分の中の何かが一緒に消えていく、そんな気がしていますが・・・
最近になって「あっ、そういえば、すっかり失くしてしまっている」と気づいたものがあります。それは「悔しい」という感情です。
わたしが何より「悔しい」と感じるのは、感動を与えてくれる作品に出会ったときでした。それは、小説でも音楽でも絵画でも舞台でも、対象は何であってもよいのです・・・出会った時に「面白い!!」と感じたら、「スゴイっ!!」と感動したら、体の芯から沸々と「悔しいっ!!」という気持ちが溢れてきたものでした。
それは涙が出るほどの喜びを伴った、身をよじるほどの嫉妬・・・悔しいは、私にとっての最高の賛辞なのでした。
でも、考えてみれば、もう長らく"悔しい"と思ったことがない・・・
それは、素晴らしい作品に出会っていないからではなく・・・私自身が、何かを産み出したい、何か創り出したいと思っていないからなんだと思います・・・
悔しいという感情は、相手をライバル視していないと生まれないと思うのです。客観的に見れば、とんでもない身の程知らずであっても、本人は同じ土俵に立っているつもりだからこそ悔しいと感じる。つまり、わたしはもう、何かを創りたい人ではなくなってしまっているのか・・・
口では、何かをしたい、何かしなくちゃ・・・なんて言っていますが・・・一番大切なものが逝ってしまったのかしら・・・それとも、心の深いところに籠っているだけなのかしら・・・
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