このところまたちょっと映画づいているのだけれど、
最近の映画館はどんどんシネコン型になっている。
私はこのかたちが好きじゃない。
シネコン(シネマコンプレックス)とは、
同一の施設に複数のスクリーンがある複合映画館のこと。
ロビー、チケット売場、売店などが共有されているから、
違う映画を見たい観客でも、同じチケット売場にずらりと並ばなくちゃならない。
私が見たいのはおおむねひっそりした作品なのに、
大ヒット作品を見たいひとたちまで同じ列だから、おそろしく時間がかかる。
席を選んだりする手間があるからなおさらだ。
普段出来るだけこの手のところを避けているのだが、確実に増えている。
ついつい昔ながらの感覚で行くと失敗してしまう。
山本耕史くんのナレーションによる『アルビン号の深海探検』は、
始まる前から、ああワーナーマイカルのシネコンなんだな、
と認識はしていたのだが、やっぱり考えが甘かった。
なんだかんだいろんな用事を入れてしまうため、私の映画館行きはいつも綱渡り。
郊外まで遠出して、上映5分前にはロビーに駆け込んだのだが、
目に飛び込んで来たのはチケット売場の長蛇の列。
最後尾を示している職員のかたが「20分待ちです」というのに愕然。
当然間に合いっこない。
まあ上映回数の多い封切直後に行っていなかったのは私の落ち度だが、
すでに上映はかなり限定されていて、予定が合わずその日はむなしく帰った。
チケット売場に並ぶのが嫌ならオンライン予約しろという話だけれど、
映画くらい、あ、今日あれが見たいなと思ってぶらりと行く自由が欲しい。
私にとって映画というのは、食事と同じく必要不可欠な栄養素であって、
「これが食べたい!」と思う時にがつがつと食べたいのだ。
食べる気まんまんで行って入れなかったら、気持ちの持って行き場がなくて、
呆然自失するしかない。すさまじい喪失感。
だいたい完全入れ替え制で、席まで指定されるのも好きじゃない。
昔は好きな映画なら、座り続けで連続して見たりしたのにな。
息せき切ってかけつけて、時間ぎりぎりでもするりと入って、
満席で立ち見でもいいから後ろで見る。そういうのがいい。
多少タバコ臭くたって、トイレのアンモニア臭がしたって、
床がべたべたしてたって、がっつり映画が見られる館が好きだったんだけど。
このあいだ久々に新宿ピカデリーに行ったら、
私の苦手なシネコン形式になっていて、受付もとっくに終わっていた。
新宿バルトも、もとは間口の広い東映映画館のあった場所だったのにな。
急勾配の階段をのぼって東映2で前衛的な作品を観たのもなつかしいけれど、
今はオシャレで小ぎれいで縁遠い場所になってしまった。
こういうところは飲み物も高くて買う気になれない。
甘ったるいポップコーンの匂いも気に食わない。
熱い思いを胸に映画館に駆けつけ、何かの儀式のように心身を投じるという、
古いタイプのシネマディクト(映画中毒者)の繰り言だと思ってご容赦下さい。
で、アルビン号の映画は本日ようやく早起きして観てきました。
気を取り直して、感想は別項で。
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