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2020年04月01日21:27

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血液型物質

(小生の講義テキストからの抜粋です。 免疫やワクチンの解説の参考資料として紹介します。)

1) ABO血液型
 ・A型の人の赤血球表面には、
   ----AcGlcN-(4-1)-Gal−(3-1)-AcGalN
     └-(2-1)-Fuc
という並び方を持つ糖脂質と糖蛋白があり、これがA抗原です。

 ・これに対し、B型の人では、
   ----AcGlcN-(4-1)-Gal−(3-1)-Gal
     └-(2-1)-Fuc
になっていて、これがB抗原です。

 ・またO型の人では、
   ----AcGlcN-(4-1)-Gal−
     └-(2-1)-Fuc
となっており、Galの3位には何も結合せずに終わっています(H抗原という)。 なんのコッチャと思われるかたは、難しいことは抜きにして「ともかく形が違う」ことだけ感じてください^^;

 AcGlcN: N-アセチルグルコサミン; Gal: ガラクトース; AcGalN: N-アセチルガラクトサミン; Fuc: L-フコースの略で、いずれも単糖類(ブドウ糖=グルコースの仲間)です。 単糖類は多くの生物に共通して使われていますので、抗原になる(=抗体を作る)ことはありません。
 「----」の左側には、リン脂質または様々な蛋白質が結合しています。 そのリン脂質または様々な蛋白質は細胞膜に埋め込まれています。 それを表したのが添付の図(細胞膜の模式図)です。 つまり血液型物質は”髪の毛”のようなものなのですが、”髪の毛”は「(細胞表面)糖鎖」と総称され、血液型物質に限らず、様々な種類のものがあり、生物の種や細胞の違い、また個体によって”個性”があります。 糖鎖には自己と非自己の区別、細胞と細胞の接着などの役割があります。
 ちなみに、糖鎖は細胞表面をびっしり覆っているので、「カビが生えた大福餅」に例えられることもあります。
 また、癌化した細胞では、糖鎖が激減していることが知られています。 つまりガン細胞は”ハゲ”になることで、タイホを免れています。

・A型の人はH型抗原の末端のGalにNAcGalを(B型の人はGalを)転移する酵素を遺伝的に持っていますが、O型の人では両方の酵素が欠損しています(または不完全な活性の無い蛋白を持つ)。 またAB型の人は両方の酵素を持つので、AB両方の抗原を持つことになります。 これらの酵素は相同の遺伝子上に乗っている対立遺伝子で規定され、優性遺伝します。
・H抗原は、ほぼすべてのヒトに共通して存在します。 ”H”はヒューマンの略です。
・ABH抗原は赤血球だけでなく、種々の細胞に広く分布し、ヒトの80%はこれらの糖蛋白を唾液・尿などとして分泌します。 そのため、毛髪や皮膚、唾液などから血液型を鑑定できるわけです。
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