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2022年05月16日23:32

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【映画感想】ランボー

映画「ランボー」を観たので感想。
珍しく某所のレンタル100円セールの対象に入ってたので観てみたけど、予想以上に重厚な良作だった。

ストーリー的には、ベトナム帰還兵のランボーはかつての戦友の故郷を訪れるけど、戦友は既に戦争の後遺症で亡くなっていた。
途方に暮れるランボーを町の保安官が見つけ、「トラブルを起こしそう」という(ものすごく曖昧かつ主観的な)理由からランボーを逮捕し暴行まで振るうけど、それにランボーが抵抗し泥沼の戦いに発展していく、という感じ。
話の大筋自体はシンプルだけど、ド派手なアクションと当時のアメリカが抱えるベトナム帰還兵の問題が上手く組み合わせられている。

とりあえず、シルベスター・スタローンのランボーがとにかくカッコいい。
バイクで道路から山道まで爆走し、山中で持ち前のサバイバル技術を駆使して保安官や州兵を翻弄し、更には機関銃(M60)を乱射する姿はまさに圧倒的。
格闘戦ももちろん最高だけど、少しもたついた感じも受ける反面、それも重くどっしりとした迫力に感じられるのがすごい。
所々で挟まれる爆発シーンもお約束だけどテンション上がる。
一方で、それまではぶっきらぼうだったランボーが最後にかつての上官・トラウトマン大佐に本音をぶちまけるシーンは別の意味で非常に印象的。
ベトナムの戦場では地獄と同時に義理や戦友もあり一種の充足感さえ感じられていたのに、戦争には勝てず、帰国しても「赤子殺し」と罵られ碌な仕事にも就けない。
その上、PTSDにも悩まされるという状況は想像さえできないほどにキツイ。
今作では保安官からの理不尽な扱いでランボーの怒りが爆発したけど、そのずっと前から行き場のない怒りや鬱憤は蓄積されてたんだろうな。
金カムで杉元が「(自身も含めた日露戦争帰りの兵士たちを)心が戦場から帰ってこれない」的な分析をしてたけど、今作のランボーはまさにその典型。
そして、現実にもこういうベトナム帰還兵が多くいて、誹謗中傷や社会復帰上の困難に悩まされたのだろうと思うとかなり重い。
結果的にランボーは次作からまた戦場に舞い戻るけど、今作の様子を見るに、そちらの方が良かったのかな…

今回の敵役に当たるのがランボーが訪れた田舎町の保安官たちだけど、リーダー格のティールズ保安官がなかなかに印象的。
彼を一言で言い表すと「無能な働き者」「努力の方向音痴」。
今回のランボーの大暴れの一件も、元はと言えば彼が町でメシ屋を探してただけのランボーに難癖を付け町から追い出そうとした上、警察署へ連行し暴行を繰り返したからで、(ランボー自身の説明不足やトラウマによる暴走もあるにせよ)今作の元凶はぶっちゃけこいつ。
ランボーへの対応をことごとく間違えた上、結果的に州兵まで動員されるわ、莫大な人的・物的被害が出るわで、ランボーの間接的な共犯者とさえ言えるレベルだし、この一連の流れは最早ギャグの域。
そのくせ、変なところには熱意があり「俺の町は俺が守る!」と自身の手でランボーを逮捕することに固執し、若い保安官やトラウトマン大佐、州兵の隊長の忠告やアドバイスにも耳を貸さず、挙句にやたらと彼らに噛みつく始末。
そして、その結果どんどんランボーが暴れて被害が拡大するという。
最終的にはM60で武装した殺る気全開のランボーにアサルトライフル一つで立ち向かうという勝負にすらならない事態になるけど、ここまで可哀想とさえ思えるのに全く同情できないラスボス戦は初めて見た(笑。
名作アクション映画の悪役は主人公を圧倒するほど強敵な場合が多いけど、今作のように弱いのに印象に残るパターンは珍しいように思う。

映画「ランボー」は名作の名に恥じない超良作で、派手なアクション要素と社会性の強いベトナム帰還兵の要素を両立させ、尺も90分台にまとめられているのは驚異の一言。
これまで唯一観たシリーズ作品の「ランボー ラスト・ブラッド」では完全にアクションの方に振り切っていたので、ベトナム帰還兵の要素が強いのは今作独自の魅力かも。
続編の2と3もセールに入ってるので、こちらも今月から来月くらいに観ていこう。
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