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2021年03月28日10:22

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早見和真著「あの夏の正解」感想

「伊集院光とらじおと」で紹介されていた早見和真さんの
著書「あの夏の正解」。2020年5月、夏の甲子園中止
が発表された後の高校3年生の高校球児達の本音に迫った
渾身のノンフィクション。彼らにとって人生最大の目標・
人生そのものだった「甲子園」を奪われた彼らの真の思いに
迫っています。
 早見さんが取材したのは愛媛県の済美高校と石川県の
星陵高校の3年生の野球部員達。どちらも甲子園常連で
甲子園に出れば毎回のようにベスト16や8やそれ以上
に入る程の強豪校。甲子園を目標に一心不乱で練習に
打ち込んでいた彼らに突きつけられた夏の甲子園中止という
厳しい現実
 周囲の大人たちは、このニュースに「球児達が可哀想」
くらいしか思いつかないが、当の本人達は様々な苦悩と
葛藤を抱える。それも各個人によってその思いは様々。
レギュラーの者、ベンチ入りの者、補欠の者、高校3年間で
練習試合にすら1試合も出れない者・・。思いは
百人百様。
 葛藤・苦悩するのは球児達だけではなく、監督やコーチも
同様。そんな球児達や監督・コーチたちの本音を、
自身も名門・桐蔭学園で高校球児だった早見さんが迫る。
早見さんは名門野球部出身ながら、現役時代は補欠選手。
だから、野球エリートの気持ちも、エリートでなかった
選手の気持ちも痛いほど分かる。
 大手マスコミの薄っぺらい取材ではなく、球児達の
気持ちが痛いほど分かる早見さんの、彼らに寄り添い
彼らをリスペクトしながらの質問に彼らも心を
開き、大手マスコミには話さない本音を吐露していきます。
高校野球は選手達のひたむきなプレーする姿に感動しますが、
 この本は「甲子園」という彼らにとって人生最大の目標を
奪われた球児達や監督・コーチが、自分にとって甲子園とは?
高校野球とは?
野球そのものとは?人生とは?等の根源的で、それゆえに
答えを出すのが非常に難しい質問に、ひたむきに誠実に考え
答えていく姿に感動します。
 夏の甲子園中止が発表された5月から、各都道府県の
代替大会や1試合だけの甲子園での交流戦が行われた夏までの
約3ヶ月。甲子園に繋がらない代替大会や、優勝を争わない
交流戦に情熱を注ぐ事が出来るのか?各々様々は苦悩や葛藤を
抱えながら、
 両校とも3年生は夏が終わるまで1人も
退部する者はいなかった。「甲子園がなくても高校野球を
楽しめた」「甲子園がなかったから野球が楽しく感じられた
かもしれない」と言う球児がいたのが、非常に驚きでした。
高校野球を愛する人達全てに是非読んで欲しい1冊でした。

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