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2020年12月12日23:58

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ドラマ「35歳の少女」感想

 最終回を迎え、このドラマを観て良
かったと思った。まさに遊川和彦さんワールド全開の作品
だった。強烈な個性を持つ(今作は強烈な境遇の)主人公
が、周囲の固定観念を揺さぶる正論を吐きつつ、周囲の人
間を変えていく。同時に主人公は正論だけでは
通じない現実にぶつかり苦悩しつつ
成長していく。そしてその苦悩する主人公や周囲の人間へ
の大いなる賛歌を締めくくりに用意する。その遊川脚本の
醍醐味が凝縮された作品だった。今作はミヒャエルエンデ
の「モモ」が至る所に引用されたいた。
 人々の豊かで大切な時間や人生を
奪う時間泥棒達から、亀のカシオペイアの導きによって、
時間を奪い返す主人公「モモ」。今作の始めの数話を見る
と、主人公「望美」がモモで、カシオペイアが結人、時間
泥棒が、無表情なママや、優柔不断のパパ、
いつも怒ってばかりの妹・愛美かなと
思っていたのだが、そこは一筋縄ではいかない遊川作品。
望美が時間泥棒ではないかと問いかけられる展開は上手い
とうなってしまった。そして、導き手のカシオペイアの
役割に望美がなったり、無表情なママがなったり
重層的でいてお互いが切っても切れ
ない関係になっていく展開が非常に魅力的に思えた。
 そして何と言っても主演の柴咲コウの演技力。肉体が35
歳なのに精神は10歳・中学生、そして大人へと成長する
過程を、本当にリアリティがあり恐ろしいほど自然に演じていたのは驚異的だった。
主題歌のKing Gnu の「三文小説」もドラマに超ドはまり
で物語に凄く奥行きを与えていた。「皺」という時間を
連想する単語を散りばめつつ、大いなる人生賛歌になって
いる歌は、今作にぴったりだった。2020年最後に
素晴らしいドラマに出会えたと思えた。

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