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2019年12月12日01:49

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大河ドラマ「いだてん」トークツアーファイナル in 熊本市 概要

11月30日(土)に熊本城ホール シビックホールで行われた
大河ドラマ「いだてん」トークツアーファイナル in 熊本市 に
参加してきました。登壇者は宮藤官九郎さんと中村勘九郎さんと黒島結菜さん。
司会の方のお話では、結構な倍率の応募から抽選で当たった方、700名程が
参加されたそうです。トークショーは約1時間程。
その中で印象的な話をメモして、私なりに概要をまとめてみました。
間違っている点があれば、遠慮なくご指摘頂ければありがたいです。
(以下、敬称略)
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司会「今日で熊本県内では5回目のトークショーになるが、全部参加している方?」
(僕が見た範囲では挙手している人は1人)

★いだてんのOPテーマがかかると同時に、会場から手拍子が。
 その中を宮藤官九郎さんと中村勘九郎さんが登場

宮藤「僕は初めてのトークツアーで勝手が分からない。
   凄いなあ手拍子」
中村「僕は1年トークツアーを回っている。
   ここに来ている人はいだてんを愛してくれている人ばかり。
   自信にもなるし嬉しい」

●司会「お互いどう呼び合っているのか?」
宮藤「中村勘九郎君」
中村「宮藤さん」
宮藤「中村さんと呼んだ事はない」

●司会「熊本にいらっしゃった事は?」
宮藤「2017年の春に取材に和水町にうかがって
   今年8月に家族旅行で金栗さんの生家や
   大河ドラマ館や金栗四三ミュージアムに行ってきました。
   17年に金栗さんの生家に行ったら、ほぼ物置状態だったのに
   今年行ったら、完全に整備されていました。
   そこで係員の人がものすごく丁寧に色々と説明してくれました。
   それ知ってます、って心の中で思ったけど、
   『あ〜そうですか』と言ってしまった。
   『こちらが学校部屋と呼ばれているところです』と言われて
   知っているのに『狭いですねえ〜』と応えた」
中村「熊本ロケで初めて演じたのは学生時代の15歳の四三さんだった。
   スタッフは、学校のエキストラに、本当の中学生を連れてきた。
   勝地と2人、どうしても無理があった」
宮藤「どこで子役と勘九郎君とを入替えたらいいのか難しかった。
   勘九郎君やりずらいだろうなあと思った」
中村「歌舞伎ではやった事はあるが、ドラマでは初めて。
   本物の15歳に囲まれて凄くつらかった。
   最初の水浴びも熊本ロケでやった」

●司会「中村勘九郎さんの四三さんを見てどう思った?」
宮藤「撮影現場では、おじいちゃんになった四三さんから撮った。
   足袋で走る場面。それを見て、おじいちゃん役は
   別の人ではなく、おじいちゃん役の最後まで勘九郎君で
   いけると思った。15歳の四三さん違和感無かった。
   笑顔が印象的だった。
   ストックホルムオリンピックに行くために乗ったシベリア鉄道で
   ストレス溜って外国人を見る四三さんの目つきを見た時
   こんな大河ドラマの主人公見た事ないと思った。
   実際に金栗さんの日記にはかなりネガティブな事が書かれている」

★(四三さんの幼少期を演じた久野倫太郎君登場)
宮藤「彼全くの素人だった」
中村「彼、こっちでCM2本やってるらしいですよ」
宮藤「出世したなあ」
中村「演技で獅童さんにしかられた時、彼は本気で泣いていた。
   お父さん役の田口トモロヲさんに『おじさん芝居上手いね』って
   言ってた」
(会場から笑い)
宮藤「まさかストックホルムまで出てきた」
中村「正明役でも出てきた。
   井上剛さんの演出で彼は凄く自然体だった」
(倫太郎君退出)

●司会「金栗四三さんをどのように視聴者に感じて欲しいか?」
宮藤「実在の人物なので、どうやって生活していたのか?
   どうしてスヤさんと別居してたのか?何で子供が出来たのか?等を
   調べていくと、39話で、小松勝が四三について『走ってるか、笑ってるか、
   飯食ってるか』って言うけど、本当にそう。
   『日本でもう走るところは無い』という台詞がドラマの中に出てくるが、
   これ金栗さん本人が実際に言った言葉。良い意味でバカ」

●司会「勘九郎さんから見た四三さんの魅力は」
中村「熱中できる事、羨ましい。
   (1916年開催予定のベルリン五輪を目指す)四三さんが
   (練習に集中するため)スヤさんに『帰って』って言ったけど
   『走ってばかりで酷い』と周りから言われた。」

★(村田富江役・黒島結菜登場)
司会「熊本に来た事はあるか?」
黒島「今年の8月に熊本で行われたインターハイに、バトミントンを
   やっている妹を応援しに来た」
宮藤「僕も8月に来たが、一緒に来た訳ではない」
(会場から笑い)

●司会「黒島さんは何かスポーツをやった経験はあるか?」
黒島「バトミントンをやっていた。もともと身体を動かすのが好きで、
   富江役で、凄く楽しく走る事ができた」

●司会「村田富江は、女性のスポーツがまだ一般的ではなかった時代の役でしたが
   どのような思いで演じていたか?」
黒島「私が演じた村田富江は、女の子が大人しくして早く結婚して家庭に入る事が
   一般的な時代に、足を出して走るという一般とは真逆の事に挑戦する姿が
   凄くかっこいいと思った」
宮藤「村田富江のモデルは、田村(富美子)さんという実在の人で、
   村田と同じく金栗さんの教え子だった人。
   テニスや陸上で記録を残したが、その記録よりも
   足出して競技した事しかマスコミに書かれなくて大問題になった。
   それは史実。
   シマや人見絹枝といった私も体育をやりたいと願う女性の物語は
   物語の中盤部分の肝となる部分。
   金栗さん自身も女子の体育を推進していた。
   村田富江はそんな彼女らの代表的な存在。
   ドラマでは金栗さんが槍投げで、女の子たちを説得したが、
   初めの台本では、金栗さんが言葉で女の子たちに体育を薦めていた。
   説教臭いなあと我ながら思った。金栗さんは言葉で人を説得する
   タイプじゃないと思い、態度でフィジカルな方向で説得するように変えて、
   槍投げを女の子たちにやらせて説得するようにした」
中村「それまで撮影現場はおじさんばかりで華がなかった。
   女の子たちが登場したら、スタジオの匂いが違った」
黒島「こんだけ女子がいるとありがたいと、スタッフさんに言われた」

●司会「ドラマの中では、金栗さんの事をパパと呼んでいたが」
黒島「良いなあと思って純粋に呼ばせて頂きました」
中村「(女の子たちに足を触らせて)金栗さんは悪い事してるなあと
   思われるけど、逆に女の子たちから過剰な触り方をされた。
   その部分はOAではカットされていた」
宮藤「金栗さんが女生徒たちから『パパ』と呼ばれていたのは
   実際の話で、ハイカラだと思った。
   竹早編は学園ドラマっぽくて書いてて楽しかった。
   金栗さんが香水をつけて嫌われるとか」
中村「(3年B組)金八先生をイメージした鞄を小道具さんに
   持たされた」

●司会「竹早編で印象に残ったシーンは?」
中村「女生徒たちがバリケードを作って立て篭もるシーンは
   かっこ良かった」
黒島「(撮影現場で演技を)やってても団結力を感じたし、
   OA見てもそれを感じた。振っていた旗がかっこ良く見えた」
中村「あの回の反響は凄かった。今の現実社会とリンクするためだろう」
宮藤「あの回は3年B組金八先生のオマージュにもなっている。
   金八先生でも生徒が立て篭もる回があるが、そこに
   暴走族が来てたてこもる生徒を応援するというシーンがある。
   いだてんの播磨屋の奥さんがおにぎりを差し入れするという
   シーンを金八先生のたてこもり回へのオマージュとして書いた。
   あのシーンで中島みゆきがかかったら完璧だなあと思った。
   
   この立て篭もりのすぐ後は関東大震災。
   竹早編が華やかでわちゃわちゃすればするほど、震災の喪失感が
   出るかなあと思い、立て篭もりの話と震災の話の両方を1話に入れた。

   村田富江のモデルの田村さんも医者の娘。
   人見絹枝のライバルに寺尾姉妹という選手がいた。
   寺尾姉妹は真面目にスポーツをやっているだけなのに、
   周りの美川秀信みたいな奴、美川さんも熊本出身でしたね失礼しました、
   勝地涼みたいな奴が、寺尾姉妹をモデルによこしまな物語を書いたりして、
   オリンピックに出場できたかもしれないのに、それがきっかけで
   親がオリンピックに出さないと反対して、出れなかった。
   ブロマイドを勝手に売った人もいたそうだ。
   選手本人たちが真面目にスポーツをやっていても
   周りが勝手に騒ぎたてる。
   金栗さんの『目隠しすれば良か』という台詞は、そういう史実から考え出した。
   田村さん一人では表現できなかった事、そういう史実をまとめて表現した
   かったので、村田富江という架空の人物を出した」
黒島「純粋にスポーツをやってて気持ちが良いと気付いて、靴下を脱いで
   ガラッと考えが変わる事が羨ましかった。
   金栗先生が純粋で、先生と生徒の関係も良かった」
中村「金栗さんが感情を爆発させて言葉にするのはあの場面だけ」
宮藤「村田の父親と金栗さんは竹早では対立するが、関東大震災の
   復興では共に立ち上がる。それが現実的だと思う」
黒島「アシガールの時は、山道をわらじで走って大変だったが、
   いだてんでは、ちゃんと靴を履いて、グランドを走ったので
   走りやすかった」

●司会「来年の東京オリンピックで注目している女性アスリートは?」
宮藤「名前ど忘れしましたけど、槍投げの女の子」
   (おそらく、北口榛花選手の事だと思われます)
中村「女子レスリングの川井姉妹」
黒島「バトミントンをやっていたので、バトミントンを応援したい」
中村「女子バレーは1964年の東京オリンピックが最初だったんですよね?」
宮藤「そう。田畑のごり押しで、メダルが取れるからという理由で」
中村「もし田畑さんが来年のオリンピックのマラソンが東京じゃなく札幌で
   開かれると聞いたら、反対して何が何でも東京で、って言いますよね。
   マラソンはオリンピックの花形だから」
宮藤「都知事が東さんだったらそうするだろうけど、小池さんじゃあ。
   (会場から笑い)
   第45回(翌日の12月1日放送)で金栗さんが組織委員会を訪れるんですけど、
   それはフィクションです。勘九郎君、若い時よりも70歳やる時の方が凄い。
   完全におじいちゃんですもの」
中村「田畑さんとはもう関わらないかもと思ったんですが、関わりを持てて良かった
   です。組織委員会のセットにも入れたし。70台の四三さんは遠めから見ると
   マウンテンゴリラです」

●司会「ここ熊本は、嘉納治五郎が校長を勤めた旧制第五高等中学校があった土地で
   あり、その第五高等中学校で英語の教師をしていた小泉八雲が
   自分の文章の中で嘉納治五郎を紹介し、その文章をクーベルタンが読んで
   嘉納治五郎をIOC委員に抜擢した。
   そういう意味では、日本のオリンピックにとって熊本は重要な
   土地だと言える」
宮藤「そう考えると、熊本オリンピックですね。
   実際に1964年の東京オリンピックを見た人」
(私は会場の中ほどの席にいたんですが、僕の席からは
3人程度の方が挙手しているのが見えた)
宮藤「(会場を見渡し、ご年配の方が結構いるのを見て)
   どう見ても当時生きてたと思われる方がいらっしゃるが。
   実際に聖火リレーを走った方?
(挙手した人は0)
宮藤「さすがに聖火リレーはいないか」

●司会「1964年の東京オリンピックを見るとしたら
   どの競技や選手を見てみたい?」
宮藤「マラソンのアベベ。ドラマでは播磨屋の辛作さんが彼に足袋を贈りますが、
   足袋では走っていない。見たらびっくりしますよ」
中村「裸足ですらない。僕は開会式です。
   皆川猿時さん演じる松澤一鶴が力を入れた開会式」
黒島「柔道」
中村「東洋の魔女」
宮藤「安藤サクラさんが、(東洋の魔女の)河西選手に似てる。
   回を追うごとに本人に似てきている」
中村「安藤さんはバレーボールの経験ゼロで、あざだらけで演じている」
宮藤「『これは虐待ではありません』というナレーションが入るが
   どう見てもそうだろう。
   (会場から笑い)
   大松監督の名誉のために言っておきますが、監督は決して暴力は
   振るわなかった。
   東洋の魔女全員の結婚相手を探したりして
   ただ厳しいだけの監督ではなかった」
中村「これみんな史実。それを見事に繋ぎ合わせているのは宮藤さんの
   マジック」
宮藤「NHKのスタッフが読めないくらいの膨大な資料をよこしてくる。
   1932年のロサンゼルスオリンピックでは、その日に何があったのかが
   細かく記録されている。大横田がどの辺でお腹を壊したのかまで分かる。
   1964年の東京オリンピックの開会式なんてタイムスケジュールが
   1分単位で全部分かっている。脚本を書く身としては下手に嘘がつけないから
   どんどん大変になってくる。1912年のストックホルムオリンピックの
   時は、金栗さんの日記しか資料がなかったから逆にやりやすかった」

●司会「来年のオリンピックで見たい競技は?」
中村「実は、チケット、陸上とサッカーが当たってるんですよ。
   どちらも最終日。サッカーは決勝戦。
   陸上はトラックの花形のリレーが行われる。
   リレーは日本は金メダルとれないから、サッカーを見に行きたい
   気持ちもある。
   金栗さんを演じている僕がサッカーを見に行くと
   『え〜!』って言われそうな気がする」
宮藤「三島弥彦が『日本人には短距離走は100年早い』と言ったけど、
   100年でメダルがとれるかもしれないレベルまできた」
黒島「開会式かな」
宮藤「開会式のチケット、最高で30万円なんですよね。
   リオオリンピックで安倍首相のマリオが登場したから、
   東京でもマリオが登場しないとおかしいよね」

●司会「最終回に向けての見所は?」
宮藤「ここまで繋いできた物語が2020年にも繋がっているという展開です。
   これまで色々あったけど、やはりオリンピックはお祭り。
   1964年の東京オリンピックは、役員やスタッフ、選手、
   神木君演じる五りんを含め、みんなの人生の中で一番楽しいお祭りに
   なっています」
黒島「女子スポーツです。女性の強さ、女性の戦っている姿が見所です」
中村「弟(七之助さん)も出てました第39話から、これからどうなって
   しまうんだろうと思いましたが、第40話のおじさんたち
   かっこ良かった。落語の「替り目」に合わせて、第43話でまーちゃんは
   失脚しましたが、ここからは怒涛の展開になっていきます。
   僕もおじいちゃんとして出てます」

司会「皆さんが『いだてん』から学んだものとは?」
宮藤「縁もゆかりもない土地の大河ドラマを書くことになって、出会いを
   感じる。この大河ドラマに携わるまで、金栗さんの事を
   全く知らなかった。金栗さんの話を聞いたり調べたりしていくにつれ
   熊本に魅力を感じて、忘れられない場所になった。
   実在の人物を書いたのは初めてで、良い経験になったと同時に
   どれだけ大変で、どれだけやりがいがあるか分かった」
黒島「女性の強さ、日本の女性の良さを感じた。私自身、
   いろんな事に挑戦して力強くいけたらいいなと思う」
中村「日本の近代史は知ってなきゃいけないものだが、
   それを勉強ではなく、ドラマを通して感じれた、
   浴びれたのは宮藤さんのおかげ。
   金栗さんの魂が僕に乗り移っているかのように感じた。 
   東京生まれ東京育ちの僕だが、熊本がふるさとのような感じがしています。
   また熊本とご縁があれば、嬉しいです」

(終わり)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(感想)
僕としては大満足の1時間のトークショーでした。
クドカンさんがどんな思いで脚本を書き、中村勘九郎さんがどんな思いで
金栗四三を演じてきたのかが分かり凄く良かったです。
熱い二人に負けまいとする黒島結菜さんも。
この3人の思いをふまえ、15日の最終回は、お祭り状態で
見たいと思います。


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