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2019年11月10日01:18

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別冊「根本宗子」 『墓場、女子高生』トークイベント 根本版『墓場、女子高生』が出来るまで 概要

10月13日にスズナリで行われた
「別冊「根本宗子」『墓場、女子高生』トークイベント
根本版『墓場、女子高生』が出来るまで」に参加しました。
演出の根本宗子さんと、衣裳と美術を担当した山本貴愛さんの
対談。そのトークの概要をまとめてみました。
急いでメモを取ったため、間違っているところも
あると思います。その場合は、ご指摘頂ければありがたいです。

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山本貴愛さんの経歴
http://www.kieyamamoto.com/new-page

根本さんの「みてない人」との質問に、おおよそ10人くらいが手を上げて
「ネタばれしない程度に」という事で、イベントが始まりました。

●美術・衣裳担当の山本貴愛さんについて
根本「山本さんのように、日本で舞台美術と衣裳、両方やる人は
   あまりいない」
山本「イギリスで舞台美術の事を学んだが、イギリスでは美術と衣裳の2つを習った。
   オペラなどの大掛かりなものは別として、イギリスの舞台では美術と衣裳を
   同じ人が担当するのが一般的」

●根本さんが山本さんを知るきっかけについて
根本「日仏会館(現アンスティチュ・フランセ)でのハイバイの岩井秀人さんの
   イベントを見て
  (おそらく、このイベント  
   https://magnoliarida.hatenablog.com/entry/20190131/1548863484
   岩井さんの劇の美術と衣裳とをやっている山本さんの存在を知った。
   今回『墓場、女子高生』で美術と衣裳を山本さんにお願いして、
   美術と衣裳が同じだと滅茶苦茶やり易いと感じた」
山本「岩井さんが両方頼んできた。自分で両方コントロールできるとやりやすい」
  
●根本版『墓場、女子高生』での山本さんのお仕事について
山本「ふだんは美術を先に考えてから衣裳を考えるが、今回は別。美術を大体決めて
   衣裳を考えた」
根本「(登場人物の)山彦さん(役:川本成さん)の衣裳はもともと
   4バージョンあった。
   彼の衣裳は、片方の袖が長い。その事は福原充則さんの脚本には書いていない、
   山本さん独自のアイディア」
山本「山彦さんの対比は真壁。真壁はある特定の人。山彦さんはいろんな人が
   思い出している。山彦の衣裳はニッカポッカになっていたり、
   50年代や現在の登山服が混じったりしている」
根本「演劇の人が考えると、茶色の衣裳になってしまう」
山本「逆に私は以前の『墓場、女子高生』(福原さん演出作や丸尾丸一郎さん演出作)を
   観ていない」
(中略)
根本「今回は、役者みんなに台本を解釈してもらった。山本さんが作った衣裳を見て
   川本さんが台詞を足してくれた」
山本「それを聞いて嬉しかった。台本を読んで、ノスタルジックなイメージがあったので
   昭和っぽい布を使った」
根本「女子高生たちの服の色合いもみんな似合っている」
山本「今まで通りではやりたくないと根本さんが言ってくれた」
根本「今までの福原さんのとは違うものをやりたいと思っていた。
   もともと『墓場、女子高生』はENBUゼミの卒業公演だった。
   その当時は西川が主役。4回目の上演で私が西川役で出演し、
   5回目の上演で乃木坂46が出た。
   今回は、お墓を無くしたいという気持ちがあった」
山本「私は戯曲を読んで、テーマを設定して、その後余分なものを削ぎ落とす作業をし
   お客さんに想像させる余地を残したい。今回『土を使いたい』と根本さんに
   言われた」
根本「一見どこか分からない。やがてお墓だと分かる。そして、そこが大事な場所と
   分かるようにしたかった」
山本「舞台をシンプルにし、服を具体化している」

●舞台上のお墓について
山本「事前に舞台監督と、ラーメンの鍋が置けるかどうか、
   人が上れるかどうか確認した。根本さんが、色々な使い方をしてくれて
   嬉しかった」
根本「スズナリに入るまで、初めて目の当たりにするまで不安だった。
   大きいお墓は2分割したものを組み立てられるし、小さいお墓はプニプニして
   身体に優しい」

●衣裳について(武田の衣裳について)
根本「制服は女子高生一人一人違う。武田の衣裳がダントツに好きです」
山本「大変そうな順から衣裳を決めていった。日野、山彦、武田の順番。
   武田のキャラは節操がない。オカルトなら何でも良い。
   (武田の台詞にある)チャームンダー(インドのヒンドゥー教の女神)の絵を
   見たら骸骨のネックレスをしてた」
根本「節操のない役柄にした。尾崎(桃子)さんもそういう人柄だし
   役柄とマッチしていた」(会場から笑い)
山本「私しかいかない布屋で、武田の衣裳の生地のベルベットを用意した。
   (中略)
   ネックレスの骸骨も一つ一つ作ってくれた。骸骨の顔一つ一つ違う」

●衣裳について(真壁の衣裳について)
根本「真壁さんは、今までの私の演劇の中で一番おしゃれ」
山本「私の中では真壁はおしゃれだと思った。昭和のモダンボーイをイメージした。
   パンツは昭和30年代のもの」

●それぞれの役について
根本「森さん、川本さん以外、配役を決めずに台本を読んでもらった。
   ゆっきゅんが武田役をやった事があって、それも面白かった。
   (中略)
   今までの納見はやぼったかった」
山本「彼女は台詞でユーモアとよく言っていて、椎茸屋の娘という設定だから
   よく見たらキノコの絵柄が描いてあるような衣裳にした」
根本「貴愛さんがキノコを手書きしたものをデジタルプリント屋さんで
   その絵柄入りの布を作って、それを作り手さんに渡し衣裳を作ってもらった」
山本「有りものだと、サイケの赤のキノコ柄のものしかなかった。
   (新しく作った事で)上品さが感じられるようになった」
根本「森さんの女性らしさにマッチしている」
山本「山中さん演じるジモは、一人90年代のパステルの衣裳にした。
   ジモはバカだから、武田の言うことを聞きつつ、自分の好みも入れて
   できた感じの被り物を被らせてみた」
(中略)
山本「チョロは白、ナカジはベージュ。ナカジはチョロに対抗している。
   ナカジは武田に言われて被り物を付けたと想像した」
根本「それをナカジは自分に似合っていると思っている」
山本「その被り物は、作り手さんがわざわざ作ってくれた。
   (中略)
   (衣裳やデザイン画を)作っている時は配役を聞いていなかった。
   配役を聞いて、根本さんとイメージがぴたりと合っていた」
根本「デザイン画が出来上がるのが早かった。先に洋服が出来ていたので
   やりやすかった。役者が衣裳に合わせていった」
(中略)
山本「稽古初日までに出来るだけ衣裳を描いていって、稽古を見て修正する
   しないを決める」
根本「絵のまんま衣裳が上がってきて、あとはサイズを合わせるだけで非常に楽だった」

●演出家、役者と衣裳について
根本「舞台は面白いのに、衣裳が登場人物に合ってない事がよくある」
山本「女性の演出家は衣裳のこだわりを見てくれる」
根本「今回出ている3人の男性は衣裳が好きで、よくしゃべっていた」
(中略)
根本「スズナリの、舞台と客席のこの距離感だから一人一人の衣裳の
   ディティールが分かる。小屋が大きいとそれが分かりづらい」
(中略)
根本「演出家の○○さんは、自分も出演する芝居で、有り物の衣裳を何着か着る
   パターンの衣裳合わせの時、他の出演者の衣裳合わせはテキトーなのに、
   自分の衣裳になると何度も何度も着替えたりする、自分の衣裳だけは
   こだわりは強い」
山本「衣裳や美術を考える事は、アニメーションを3Dにする事だと思っていて
   衣裳や小物もキャラクターを表していると思っている」
(中略)
根本「ローファーも履きふるして欲しいという依頼があって、役者に稽古中
   履いてもらった」
山本「全員パリっとした服を着ているのは不自然だから」
根本「色々とアイディアを出してもらって助かっている。
   ヘアメイクもヘアメイクさんと貴愛さんと私の3人で決めて、3人のイメージが
   ぴったり合ってやりやすかった。
   (中略)
   俳優陣にも色々提案してもらった。
   (中略)
   真壁演じるゆっきゅんは、墓石にハンカチを敷いて座る演技をしてくれた。
   真壁の死んでからもおしゃれに気を遣う人だという人柄を表してくれた。
   稽古中『可愛くなってますか?』とゆっきゅんは私に聞いてくれた」

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○お客さんからの質問コーナー

(舞台上からメモを取っているのが見れたのか、質問がないか当てられるが、
メモを取るのに夢中だった事と、舞台上からは見られてないだろうと油断していた
ため、質問が思い浮かばず。相変わらずチャンスに弱い。「お兄さん」と
言われたけど「おじさん」です)

●質問1人目(男性)
「台本を書くのが遅い演出家の場合、どうしているのか?」

山本「脚本の執筆途中でも、どんどん演出家に聞いていく」
(中略)
根本「岩井秀人さんは、稽古初日に台本を仕上げて行かないと  
   役者に舐められると言っている」

●質問2人目(20代程の女性)
「舞台美術に大切な事は?」

山本「演出家の話や脚本から、キーワードやコンセプトは何かを考える。
   連想したものを全て見る。
   演劇ばっかり見るんじゃなく、彫刻やありとあらゆる
   アートや映画を見る」
根本「演劇ばっかり見ていると、自分の舞台が演劇っぽくなっていく。
   演劇には枠がないのに、ついつい枠を作ってしまいそうになる。
   そうならないように、ライブに行くとか、色んなものに
   興味を持つ。色んな事に興味を持ち、それを自分の舞台に
   取り入れているので、周りから根本はいろんな事をするやつと
   思われている」

(終わり)

(感想)
このお芝居が完成するまで、衣裳と美術の範囲だけで数多くの細かい事が決められていく
事が分かり、1つの舞台が完成するまでの苦労が少し分かりました。
同時に、それを分かった上でお芝居を見ると、ますますこのお芝居の奥の深さを
知る事が出来て、凄く満足した充実した時間を過ごせる事が出来たと思います。
またこのような製作の裏話が聞けるようなイベントを開催して欲しいです。
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