母親失格のリフレーミング

母親失格のリフレーミング/フロウライト

とある一人の母親が、
西尾和美さんのカウンセリングを受けにきた。
その母親は、
自分のいうことを聞かない娘に、つい手をあげてしまったそうだ。
「私は母親失格です。
たった一人の娘も、ろくに育てられません。」
と言う。
西尾和美さんは、優しくこう言った。
「あなたはそれほど、真剣に母親であることを考えているってことですよ。
そうでもなければ、自分は母親失格かどうかなんて気にしませんよ。
たった一人の娘さんを、
しっかり育てたいという気持ちが、
ひしひしと伝わってきますよ。」
その言葉に、その母親は、号泣した。
そして、とても、ステキな笑顔を取り戻した。

これは、西尾和美さんが書いた本。
「リフレーム」に出て来る事例です。

さて、この対話において、
どんなことが起きたのでしょうか？
この母親さんは、
「私は母親失格である」
という枠組み＝フレームの中で、
思考し、語り、自分を嘆いています。
そして、
西尾和美さんは、
そのフレームを変化させたのです。
つまりリフレーミングを行ったということですね。

「自分）のことを母親失格だと考えるあなたは、
母親失格ではない。」
「母親失格だと考えているあなたは、
子どものことを真剣に思う母親だ。」
「だから、むしろ、母親合格なんだ。」

というメッセージを伝えたワケです。

もし、
自分を人間失格だと思っている人がいるとしたら、
その人も、
真剣に自分自身のことを思う人なんだと言うことが言えますね。
人間合格です。
　まあ、母親や人間に、合格も失格もないんですけどね。
みんな、それぞれに、悩みながら、
自分の生きる道を探しながら、
人生を過ごしているのですから。

「Ａだと考えているあなたは」
「Ａということを感じているあなたは」
「Ａという行為をしているあなたは」
と言う形のフィードバックは、
心理療法的に、とても大事なものなんですね。

セルフワークをする場合には、
「Ａだと考えている私について考えてみると」
「Ａということを感じている私を感じてみると」
　「Ａという行為をしている私についてみつめてみると」
と言った形で自分について気付きを深めていくんですね。

　「自分のことをダメだと考えている私」
そのフレームの中にいる私。
それをフレームの外から眺めてみる。
そうするとどんな私が見えてくるのか？
それを探っていくのです。
そうすると、気づきが生まれ、
これまでの思考の枠組みが変化します。
これが、セルフリフレーミングですね。
。
少し、実際に、やってみます。

　「自分のことをダメだと思ってしまう私は、
　やっぱりダメな、私。」
→「ソウ思ってしまう私はやっぱりダメな私」
→「ということを永遠に繰り返している私がいる。」
→「この繰り返しの中にいる私は、
本当は、　繰り返すことを望んではいない。」
→「そういう私は、
本当は、ダメな私だなんて思ってはいない。」
→「それでも、」ダメな私という思考が、すぐにやってきて、
自分を苦しくさせる。」
→「この苦しみから、自由になりたい」
→「自由になれる道があるのか？」
→「やはり、」ダメな私には、無理だ。」
→「また、ダメな私の繰り返しの中に、
戻ってしまった。」
→「本当は」、こんな繰り返しは、望んではいない。」
→「ダメな私だと嘆くことの、繰り返しを望んではいない。」
→「ほんの僅かな、可能性だけど、
私にも、ここから自由になることができるのかも知れない。」
→「そういう私は、自分にはまだ可能性があると信じている。」
→「ダメな私という思考から抜け出す可能性がある」
→「ダメな私という思考がやってきたら、
この可能性を思い出せばいい。」
→「可能性を思い出せば、ダメな私という思考から、自由になれる。」
→「自分をダメだと思う私は、
自分の可能性を開こうとする私」

そんなセルフリフレーミングに、辿り着きました。
そうしたら、心が、とっても、スッキリしました。

最後に、本の情報を載せて、
今日は、ここまで、
　　☆
リフレーム
― 一瞬で劇的な変化を生み出すカウンセリングの技術
西尾和美
大和書房 2012/07発売。

目次
はじめに
第一章　リフレームの三つの特長
第二章　リフレームを考えるようになったきっかけ
第三章　リフレームの種類
第四章　リフレームと変化のステップ
第五章　カウンセラーが心がけておきたいこと
第六章　クライアントが発するメッセージを理解する
第七章　リフレームの実践例
第八章　リフレームの練習
第九章　自分の心の成長に役立てる
おわりに
　☆
　皆さん、お一人、お一人が、
古い思考のフレームから、
自由でありますように！