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2019年02月20日00:44

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ピンクの鼻緒(わたしの戦争体験記 45)

わたしの覚えている山梨県(約70年前)は、雪は降るがそんなに積もらなかった。積もっても30〜50センチくらいで、それでも田んぼとか道路とか一面の雪景色になる。はじめて雪が降って庭も道路も真っ白な朝は感動した。学校に着くまで雪をかき分けるようにして歩いた。下駄に雪が溜まるので、落とし落とし歩いた。すぐに止まっては下駄どうしの底をばたばたとはたいて雪落としした。雨と違って降りたての雪はぐじゃぐじゃにならないからよかった。

その最初の雪の日からときどき雪が降るようになった。普通の下駄ではラチがあかないので、とっておきの高下駄を出した。母が持たせてくれたピンクの鼻緒がついているおしゃれな下駄でまだ履いたことがなかった。学校ではみんなに取り囲まれて鼻が高かったが、すぐに雪まみれ泥まみれになった。あるとき下駄箱からなくなったので先生に届けたらすぐに見つかって、先生は「どんな高価な下駄かと思ったらこれかあ」とあきれ顔。盗む気がおこらんって(笑)。

雪解けが始まると道路はどろどろで下駄も足袋もどろどろになった。叔母さんの機嫌が悪いので自分で洗ったが、絞るのに力が足りなくて水がだらだら。仕方ないから素足で学校へ行っていた。
ピンクの鼻緒の高下駄は履かないで見ているとすごく可愛かったが、結局は履きつぶしてしまった。
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