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2020年05月11日08:31

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素人が検査について考えてみた

バイオ系の研究室に出入りして、研究機材を一品製作してたりする技術屋のおっさんが検査について考えてみた。

まず、RT-PCR検査。
 これは従来行われている検査で、ウイルスの中のRNAの特徴的な一部を取り出し、DNAに逆転写し(そうしないと増幅できないので)100万倍ぐらいに数を増やして調べる方法。
 ウイルスRNAに特徴的な配列があれば陽性になる。とても感度が高く、精度もここ1カ月ほどでとてもよくなって、陽性・陰性とも90%を超えるレベルに達しているらしい。
ただし、ごくわずかな薬品(1滴の50分の1とか)を正確に測ったり、蒸発する前に手際よく操作しなければならなかったり、検体が絶対に混じらないようにする必要があったりと人力でやるのはとても大変。全自動の機械もあるけど、けっこう高い。

抗体検査
 病原体に感染した個体(人間など)がウイルスに対抗するために作ったたんぱく質を検出するもの。過去または現在、ウイルスに感染したかどうかがわかる。今、病気であるかどうか、ウイルスが体内にいるかどうかは、わからない。
 ただし、抗体検出は比較的簡単なので、簡易検査キット化できる。
 疫学的・公衆衛生学的なテータを集めるには最適だし、次の感染の波に対するデータとしてすごく重要。

抗原検査(抗体検査と似てるけど、完全に別の検査)
 病原体の表面にある特異なたんぱく質などを検出する。ウイルスそのものを検出できるので、今そこにウイルスがいるかどうかがわかる。ただし増幅して調べるわけじゃないのでウイルスが相当な数いないと検出が難しくなる。

ということで、ウイルス検査のためには3つの方法を相補的に使う必要がある。
また、どの検査も「検体採取に失敗すれば」陰性となってしまうので、陰性の証明にはならない。
日本の場合X線CT検査がほぼ国内どこでも使えるので、肺炎を確認するのには、RT-PCR検査も抗原検査も抗体検査も必要ではない。現時点でCOVID-19であるかどうかを知るべきなのはその患者を隔離するべきかどうかの判断。
ウイルス性肺炎であれば(まだ特効薬・治療法がないので)基本的な治療は変わらない。

検査は患者と医療関係者のためにやるべきものであって、数を増やせばいい、というものではない。
ただし、簡易検査ができるようになれば、感染の広がりなどがわかるので、対策に使えるデータが集まるのも事実。
どう使うか、そこで知恵が問われる。

■抗原検査、13日にも承認へ PCRと併用で検査数増加
(朝日新聞デジタル - 05月10日 21:52)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6077129
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