mixiユーザー(id:91293)

2020年04月30日08:17

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進歩してきているけど・・・

注:私は医師でもウイルス研究者でもない、ただのおっさんである。ただ、バイオ研究者のお手伝いをしている程度の技術屋ではある。

まず、知っておいたほうがいいのは現在、可能な検査の種類とその特徴。
1.RT-PCR検査
2.X線CT検査
3.抗体検査
の3つが基本だろう。

1のRT-PCR検査はウイルスの中にあるRNA(遺伝子)を取り出し、その一部を切り出して増やし、特徴的な部分があるかどうかを調べるもの。切り出し方、有無の判定方法などを工夫すればかなり確実に「そのウイルスが一定以上存在したかどうか」を見つけられる。一方、検査には設備も技能も必要、という弱点がある。

2のX線CT検査は肺炎の状態を調べるもので、間質性肺炎という、SARS-CoV-2でおきやすい肺炎を見つけやすい。また、日本各地の病院に多数設置されていて、検査が行いやすい。ただし、わかるのは「肺炎」であってウイルス感染の有無ではない。

3の抗体検査はまだまだ発展途上。抗原検査も同様。なにしろコロナウイルスはエンベロープウイルスと呼ばれる種類であり、その外側のエンベロープ(膜)はほぼ宿主の細胞由来のもの。ウイルス表面に生えている「毛」は宿主の細胞にも生えていることになる。抗原・抗体反応はこの「毛」を特定することが多いため、ウイルス特有のものを見つけられるかどうかが鍵になる。

どの検査も完全ではない。COVID-19かどうかが確実にわかる検査は、ない。

どれが優れている、ということはない。ただ、ウイルス性肺炎であれば、まだ承認された特効薬もワクチンもない状態なので、患者のためには検査よりも治療が優先されるべきだと思う。もちろん、院内感染などは大変困るので、きちんとした検査は必要だ。

RT-PCR検査のための検体として必要なのは喉の奥からとった液。素人に採取できるものではないので、簡易検査キットが正しい結果を得られるとは思えない。医師や臨床検査技師がそれなりの訓練をうけてやらないと検体採取に失敗する(検査結果が陰性になる)可能性は高い。

なにより大事なことはどの検査であっても「陰性だから感染していない」とは言えない、という現実だ。感染から発症までの潜伏期間が長い病気だけに、どんな検査をしてもそれは変わらない。

感染疑い、軽症であればRT-PCR検査を、症状がみられるならまずX線CTで肺炎の検査を行うのが最善だろう。なにがなんでもRT-PCRをやればいい、というのは誤りだ。
必要なのは症状が重い人への集中的な治療(人工呼吸器など)、肺炎があるなら酸素吸入などの緩和治療、本人の了承が得られるなら未承認薬(アビガンなど)の処方だと思う。

SARS-CoV-2感染を確実に捉えられる抗原・抗体検査法が開発されれば、検体からの感染の恐れも減り、検査は短時間で済む。
RT-PCR法やLAMP法のようなDNA増幅法もどんどん進歩してきている。最初のころの国立感染研の手順はとても煩雑であり、訓練された技師でも簡単にできるとは思えなかったが、現在のRT-PCR検査キットはずいぶん扱いが簡単になった。

ただ、検査数を増やせばいい、というものではない。
今は、必死に働いている医療関係者にこれ以上の負担をかけないように、ひとりひとりが感染予防を地道にやっていくのが大切だ。ひととの接触を減らすのも、正しく理解してやらねば意味がなくなる。

#戦うべき相手は人ではなくウイルス
#手を洗おー

■福岡伸一「いったんここでコロナの検査技術を整理しよう」
(AERA dot. - 04月30日 07:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=6066009
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