mixiユーザー(id:91293)

2020年03月20日12:08

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私はその分野については素人なので、間違っていたら申し訳ないのですが

まず理解しておくべきことは2つ。
1.なんのために検査をするのか
2.どんな検査なのか
それを理解しないと次には進めない。

1.のなんのための検査か、というと「病気を広げないための検査」と「患者に対する治療方針を決定するための検査」がある。
 感染者集団(クラスター)を発見したり、感染のおそれがある集団から感染者と健常者をわけるために行う検査が前者であり、これまで日本が行ってきた検査で、社会的な意味・意義がある。

 患者ひとりに対して、これからどんな治療を行っていくかを決めるための検査はというと、病原体によって治療法が異なる場合(どんな薬を使うかなど)に行われる。インフルエンザ検査などがこれで、処方薬の根拠が決められるから検査をするわけだ。

 「やってはいけない検査」というのもある。症状も疑いもないのに、検査をすること、これはどんな病気でもやるべきではない(健康診断等の場合は除く)。特に感染症の場合は検査の時点では陰性かもしれないが、翌日陽性になるかもしれない。つまり「病気にかかっていないことの証明にはならない」からだ。

今回のCOVID-19騒動での検査だが、とてもやっかいな問題がある。
SARS-CoV-2という今回の病気の病原体は「コロナウイルス」という分類に属している。1本のプラス鎖RNAをもつ、エンベロープと呼ばれる「入れ物」に入ったウイルスだ。
最大の問題は「コロナウイルス」は国立感染研などのサイトにもあるが「人類全体に蔓延している」とされているほどどこにでもいる・あるウイルスだということだ。ウイルスの外側にはたんぱく質などの突起が多数生えているのだが(これがコロナの名の由来?)ウイルスによっては外側のものに特徴があって、化学的に検出可能なものがある。それだと「簡易検査」が可能だ。
が、SARS-CoV-2は外側からみると「どこにでもいるコロナウイルス」と見分けがつかないらしい。見分けるためには「中身」を調べなければならないわけだ。
そのために登場するのがPCR法というやり方だ。

とってきた検体からウイルスをとりだして、エンベロープを破壊して、RNAをあつめ、分析することになる。
<<読み飛ばしてもらってかまわないが、手順はとても複雑で熟練を要する>>
検体の段階では当然、ウイルスは病原性なので、素手で扱うわけにはいかない。専用の服を着て手袋、ゴーグル、マスク(ウイルスを防ぐためよりは、検査技師のもっているものが検体に混じらないために必要)など完全防備の上、陰圧チャンバー内で扱わなければならない。検査を行うための部屋そのものがBSLという規格を満足した特別な部屋である。
検体から取り出した液を何種類かの培養液などと混合し、遠心分離して細胞や細菌などを取り除き、ウイルスがいるはずの部分だけを取り出し、ウイルスの外側のエンベロープを破壊してRNAを取り出す。簡単そうに思えるかもしれないが、扱う液の分量はマイクロリットル単位なので熟練と緊張が必要だ。1滴の50分の1程度の微量を何度もなんども同じだけ計りとらねばならない。素人にはできない難しい技能だ(検査キットの薬品類は高価で貴重だし、温度管理もしっかりやらないと劣化する)。
取り出せたRNAは、そのままではPCRにはかけられない。ついでにいうとけっこう壊れやすい物質なので取り扱いには細心の注意が(ここでも)必要だ。そこで逆転写という前段階を行う。DNA/RNAの材料物質と酵素などを混ぜ、操作し、RNA(1本鎖)をDNA(2本鎖)に転写する。
そのあと、酵素などを加えて、サーマルサイクラーという機械にかけ、DNAの数をおもいっきり増やす。その後は蛍光や電気泳動といった方法で「特定のRNAだったかどうか」が判断される。

・・・とまあ、こんな具合で、検査技師がかなりの手間をかけてやらねばならない難しい検査である。現在は大学病院などでもできるようになってはいるが、当初はとても限られた研究・検査機関でなければ(法的にも設備的にも人員的にも)できなかった検査である。

大学病院などの臨床検査技師はふだんからかなり忙しい。入院患者のあらゆる検査を引き受けている超エキスパートだ。PCR検査も、検体採取も、臨床検査技師の資格がないとできない。
バイオ研究などの訓練を受け、資格をもった人材はそれほど多くない。
検査ができる施設も多くはない。
負担をかければ検査に誤りが生じることにもなる(SARS-CoV-2だけでなく、本当に検査が必要な他の患者の検査にも間違いの可能性が増える)。

だから、PCR検査は本当に必要な場合だけやるのが正解だと思う。
肺炎かどうかの検査であれば、日本ならX線CT検査(ほぼどこの病院にでもある)で十分だし、検査技師が患者にも検体にも触れる必要はない。
治療方針は「肺炎かどうか」だけでほぼ決まる(あとは細菌性か、誤嚥性かなどの判断が必要だが、これも従来の検査でできる)。

今の段階では「何のための検査か」は肺炎かどうかをまず検査すべきで、その後も従来の検査を行ったあと、疑わしいのであればPCR検査をすべきなのであって、なんでもかんでもPCR検査、というのは無理がある。
「どんな検査なのか」というと、臨床検査技師や検査機関に大きな負担となる検査だということ。本当に必要ならやればいいが「不安だから」でやっていい検査ではない。

最後に「検体採取」から「判定」まで何段階ものステップがあり、どこであっても失敗する可能性がある。
だから「ウイルスRNAがみつけられれば陽性」ということはほぼ正しい(ただし見つけられる可能性は100%じゃない)が、「陰性だから大丈夫」は通用しない。ここでも「不安だから検査を受けて陰性であってほしい」は誤りである。

できる範囲でやれる最善のことをやるべきだからこそ、むやみにPCR検査をやれ、というのは誤りではないかな?

■新型コロナ“PCR検査”「拡充」派と「現状」派 どちらの報道を信じたらいい?
(AERA dot. - 03月20日 08:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=6015810
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