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2018年03月11日14:18

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続) 正直、今までで一番、星が綺麗な夜だった。 〜東日本大震災から7年〜

灰色の町

どこからというのではないが、明らかに人気のないエリアに入り,目にする家は全て空き家となった。すると防護服を着た警察がいきなり道端に立ち始めた。そして国道からの分かれ道全てを埋め尽くす。
背景には、シャッターが並ぶ。フェンスではないので、奥が見えるのだがアルミ越しに観る景色は不気味だ。ここはどこだ。日本ではないようなグレーな空間。
緊張した手でハンドルを握り、やんややんや言われながらもアクセルを踏んだ。弟が言った。
「お父さんが行きたいんじゃなくて、兄貴が行きたいだけ」


手前で一息

国道沿いにサッカー場をみつけた。
駐車出来そうだったので,休憩所感覚で立ち寄った。
そこは、福島県浜通り南部、双葉郡の広野町と楢葉町に跨がって立地している、Jヴィレッジという名のスポーツ施設であった。閉鎖しているため人はいなかったが数台の車が置いてあった。


騒がしいみち

「もういいだろ」、「引き返そう」、「目的は何だ」
と周りに言われながらも車を走らせ続けた。
さらにそれを焚きつけかねないサイン表示が見えてくる。
「この後2キロで二輪車通行禁止」
まるで早く引き返せー、早く引き返せー、と言われているよう。
車内でも「いい加減に引き返そう」という空気になる。
それでも「ここより歩行禁止」の表示を通り抜けた。
でも一度は来なければいけないと思っていた。


仮置き

富岡町、楢葉町、双葉町、南相馬を通り、だれもいない住宅が、ただ取り壊しを待っている廃墟のように、続いている。
ファミリーマートは店内の陳列がぐちゃぐちゃとなったままに残っていた。 “まだ” 当時そのままだ。
黒い壁が目に入ってきた
除染で取り除いた土を入れた黒い袋が積み重なって壁が出来上がっていた。
畑と思ってずっとみてきたものは、除染によって剥がされた跡でもあった。
国がやることに間違いが存在しないという国なのか
他の誰かが悪者となり、他の誰かが犠牲となる。
本音が建て前とが同じであるような気がする。
考えさせられる車窓である。


実際に観ること食べること

ちらほらと人が見えてきた。
「ここは原町か」
ガソリンスタンドがやっている。コンビニもやっている。ちらほら歩行者をみかける。
みつけた最初の定食屋に止まり、食事をとることにした。
ホタテ定食、大きな海老が乗った、弟はいくら丼、母は特製とんかつを頼んだ。
“食” は気持ちを落ち着かせてくれる。

食事を終え、定食屋からはすぐに行けそうだ。海岸まで車を走らせた。
海辺につくと、そこでは堤防を作っている途中だった。三連休中だったからか、工事をしている方は見当たらなかった。
奥に進むと、低い崖があり、簡単に登れそうであったので、よじ登り、小高い崖の上をつたって堤防の上にたった。気分は悪くはなかった。流木がところどころに転がっていたが、自然が綺麗な砂浜だった。
砂浜の先には原町火力発電所が見え、海の中ではサーフィンをしている人がみえた。

車に戻ろうとしたところ、母が見えた。
「行きたくないから車で待っている」と言っていた母が車から出てこちらに向ってきていた。上に来たがっているのがわかったので、母と父を連れてもう一度同じ景色をみた。

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