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2019年11月18日08:08

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ベルカント・オペラ・フェスティバル2019「貞節の勝利」

11月17日 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

指揮:アントニオ・グレーコ
演出:ジャコモ・フェッラウ&リーベロ・ステッルーティ
管弦楽:ベルカントオペラフェスティバル管弦楽団

出演
リッカルド 迫田美帆
レオノーラ 米谷朋子
エルミーオ ラッファエーレ・ペー
ドラリーチェ 伊藤晴
フラミーニオ 小堀勇介
コルネーリア 山内政幸
ロジーナ 但馬由香
ロディマルテ パトリーツィオ・プラーカ

 いやー、面白かった。スカルラッティ(父)のオペラなんて見るのも聴くのも当然初めて。色恋をめぐるドタバタなんだけど、ただの喜劇ではなく、人間感情の深いところまで表現している。その点では、モンテヴェルディのポッペアの喜劇的な部分をさらに拡大した感じ。これがこの後、ドン・ジョバンニやコジに繋がっていくことがよくわかった。スカルラッティ唯一の喜劇ということだが、これは音楽史的に重要な傑作だろう。

 喜劇的な部分はロッシーニのブッファに繋がる面白さだけど、真摯なアリアや重唱は心に響く。2幕のレオノーラやエルミーニオのアリアや四重唱、そして幕切れのリッカルドのアリアは真に感動的。

 歌手では、カウンター・テナーのペーが次元が違う素晴らしさ。強い声も技術もあり、感情表現が見事。全幕を引っ張り、公演レベルを一気に上げてくれていた。小堀もやっぱりいい。ベルカント・テノールだけどバロックの様式感を持っている。レチタティーボの音楽性は光っていた。プラーカは若いバス・バリトンのよう。声はいいもの持っているのでこれから出てきそう。新国で歌って欲しい。

 女声では伊藤を多分初めて聴けた。藤原の次世代エースと目されているようだが、間違いないだろう。リリコの声で、将来的にはヴェルディまでいけそう。砂川の後継者といったところだろう。これからが楽しみ。米谷は前に聴いたアダルジーザが今一つだったが、今回は必死のチャレンジだったようで、よかった。一皮剥けつつあるかもしれない。アリアの叙情性はいいので、後は技術をどう磨くか。

 主役の迫田もソプラノのズボン役という難題にチャレンジ。声質と役柄がなかなか合わないので苦労していたと思うが、頑張っていていい経験だったろう。幕切れのアリアは素晴らしかった。但馬は声と役柄がマッチしていて、生き生きしてた。

 観客を沸かせたのは山内。もう最高で何度も笑ってしまった。体も演技もマツコなのに声は見事なテノール。このギャップには萌えました。

 全部をまとめたのは指揮とオケ。この指揮者バロック指揮者として間違いなく優れもの。生き生きとしたフレージングが素晴らしかった。

 しかしこの略称BOF、本当に素晴らしい企画。ヴァッレ・ディトリア音楽祭での上演をそのまま日本に持ってきて、一流歌手と日本人歌手を組み合わせて上演する。これはいい経験になりますわ。
 来年はベッリーニの影に隠れてしまったとされる、ヴァッカイの「ジュリエッタとロメーオ」ということ。こんなオペラよくやってくれるわ。仮住まいの新百合ということで便利だし、ホールも言うことなし。とにかく、全面的に支援いたします。
 

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