懲役の判決を聞く心境だった大宮記念

　今日は大宮記念決勝戦を観に、わざわざ大宮競輪場まで行ってきた。
　私が大宮競輪場に初めて行ったのは２０００年１月１５日の記念初日だった。Ｓ級特進して、いよいよ師匠である滝澤正光先生の前を回ることになった伊勢崎彰大を観るための行脚だった。当時の記念は前節・後節が各３日というもので、２人が走ったのは初日選抜レースだった。レースは伊勢崎が一生懸命引っ張ったが、伊勢崎の力が足りないのか、滝澤先生の力が衰えたのか、後ろから有坂直樹と加藤忍にズブリと差され、滝澤先生３着、伊勢崎は６着という結果に終わった。その後、休暇を取ってブラッとヒラ開催に行ったのがもう７〜８年前になり、今日の行脚はそれ以来となる。

　それにしても、埼玉県の競輪場は大宮も西武園も本当におもてなしの心がない。今更直せないだろうが、ゴール前を特観席の客にしか見せない姿勢はクズ以下だし、大宮は大画面などもないので、ゴール前の決着が一体何だったのか見づらくてかなわない。１１Ｒなんて、勝った郡司浩平に「（単騎となった山崎賢人の直後から）出るのが早いんだよ」とヤジを飛ばしてしまった。てっきり、ゴール前で差されたのかと思ったが、粘っていたのだった。ま、何にしても宿口陽一が来た時点で養分で、郡司にとってはヤジの飛ばされ損になってしまった。

　という感じで迎えた決勝戦。地元の平原康多が断然の人気になっているが、昨年の西武園記念での無残な敗戦や力の劣る矢野昌彦の番手戦というリスクから、神山拓弥から買うことにした。車券は一応の９（神山）⇔１（平原）の３連単と９（神山）⇔７（志智俊夫）・２（海老根恵太）・３（橋本強）→１・２・３・７を購入した。

　レースは矢野が先行したかと思ったところに野口裕史−海老根恵太が一気に出切り、そこを矢野を捨てた平原が捲るという展開になったが、平原の脚があまり伸びず、神山→志智で入ったように「見えた」。何しろ、バックスタンドからの観戦だと、ゴール前でどうなっているかなんて分かるわけがない。ただ、内から何となく橋本が入っているようにも見えたので、とりあえず何らかの車券が当たったとは思った。

　大宮競輪場は本当にクズ競輪場でスタンドからすぐに見られるモニターすらない。しょうがないので、ガラホのネット中継で確認してみたところ、何と９→７→３で入っているではないか。恐る恐る財布にある車券を見たら、何と１０００円も買っている。２車単でも万車券なので、３連単だとどれだけつくのか。オッズをネットで見ずに、確定の発表を楽しみにすることにした。
　ところが、確定版に「審」の文字が表示され、対象が３位入線の橋本ということが分かった。現場にいると、何があったかよく分からなかったが、落車があったわけでないので、すぐに確定するだろうと思っていたら、結構な時間が経ってきた。こうなってくると、不安になってくる。もしかすると、見えないところで内側追い抜きでもしたのだろうか･･･？いよいよ不安になってきた。

　そして、決定放送が流れた。日刊ゲンダイで長年連載されている「止まり木ブルース」の話で、１９８７年天皇賞（春）のミホシンザン⇔ニシノライデンの馬券を５０万買った健坊、３０万買ったがってんの松が、レース後のニシノライデンの失格審議の結果を聞く時に「懲役の判決を聞く心境」というくだりがあったのを思い出したが、今回の審議結果を聞いている時の私は情けなくも両手で拝んでしまっていた。私に前科はないが、判決を聞く時の心境はこんな感じかと思った。そして、審判放送は「３位で入線した３番選手を失格と判定します」という無常なものだった。止まり木ブルースでは「夢ならさめてくれ」というフレーズがあったが、私も同じである。

　後で５ちゃんねるの書き込みなどを見ると、審判が変な判断をしたわけでもなく、レースでは橋本も海老根も必死に走った結果なので、私としては運命だと思って諦めるしかないのだが、あまりにも痛い養分となってしまった。私は悔しいので、９→７→３のオッズをまだ見ていない。雰囲気的には恐らく１０００倍（＝私は１００万）を超えているのではないかと思っているが、果たしてどういうオッズだろうか。案外５００倍くらいであれば、ショック度も少し下がるのだが、２車単のオッズを踏まえると、もっと高いのではないだろうか。ちなみに、車券は当たっているのだが、今日のＡＪＣＣなどでの養分を含めると、残念ながらそれほどのプラスになっていない。だから、９→７→３のハズレは痛すぎるのだ。

　こういう時は、「ＷＩＮ５であと少しで独り占めするところだったのにスカになった人、サッカーのＢＩＧで２等（あと１試合当たれば億万長者）だった人、今日のＡＪＣＣで１⇔４にぶち込んで死んだ人（本当に田辺はダメな騎手だ）に比べれば大したことはない」などと思うしかないのだが、神様は私に試練しか与えてくれないのだろうかと思ったりもする。

　ということで、人の不幸は蜜の味。９→７→１で蘇ったファンにはおめでとうと言うだけである。