なぜオンライン診療？

昨日の夜のBSの報道番組をみていたら
「新型コロナ」の話をしているはずなのに、
いつのまにか「オンライン診療」の話になっててぞっとした。

医師は患者の話しか聞かないのではない。
話をしているときの息遣いや姿勢や身体の動かし方を見るし、
話を聞いたあと実際に触ったり動いてもらったりしてはじめて「診察」と言えるし、
「診断」をくだすことができる。
去年１月から政府官邸は「オンライン診療」を広げるための専門家委員会を立ちあげたが、
政府側のバカくさい提案（シロウトなんだから当たり前）に対して
専門家（医師）たちが「絶対にこれは守る！」としているのが

「初診は必ず対面診療」

つまり、一番最初にかかったときは医師と患者が顔を合わせる。
その次からは決まった薬を出すのにオンラインでもいいけど、
医師が必要と認めたらたとえば３か月とか６か月に１回は受診してもらう。

当たり前でしょ。
パソコン画面がどれだけ進化しようとも、
実際に見ないと顔色なんかわからないぞ。
爪の色とかもさりげなく見てるんだよワシらは。

ところが政府官邸は「初診からオンライン」にずっとこだわっている。
「じゃあ自費診療の薬ならいいんじゃない？」と言い出して
勃起不全治療薬とかハゲ治療薬とか出してきたけど
専門家会議の答えは「ノー！」。
だってどっちの薬も場合によっちゃけっこうな副作用がある。
バイアグラなんて今もときどき、闇で入手したおっさんがホテルで心臓発作起こしたり。
避妊用ピルの話も出たけど「ダメ！」。
産婦人科の医者がひとりも参加してない段階だったけど、他科の先生もわかっていらっしゃる。
血栓でときどき人が死ぬ話は報道されているしな。

そしたら今度は「緊急避妊ピル」をだしてきた。
これは１回だけの投与で今のところ死者の報告もない。
ハードルは低め、専門家会議も「じゃあ産婦人科医に聞いて」からねということになった。

で、今はオンライン診療委員会に産婦人科も参加しているんだけどね。
その場で産婦人科が出した条件は以下の通り。
１）処方から３週間後に産婦人科受診を勧める。（子宮外妊娠を見逃さないため）
２）処方箋はファックスで薬局直送にするなら、薬剤師に専門的知識研修を義務付ける。
３）産婦人科以外の医師の処方の場合も研修会参加必須。
４）処方は１回１錠のみとする。

まだ薬剤師の講習会の募集が始まったくらいの段階。

ところがこの、テレビに出てたぺらぺらしゃべる医者は
コロナのオンライン診療の話をしてて急に
「ボクは緊急避妊ピルのオンライン処方も前からやってますけどね」とぬかしやがった。
ええ、今ガイドラインがないので実質は野放しなんですよ。
産婦人科医でもないくせに、おそらくカード決済で直接患者に薬を送ってるね。
もちろん着払い、ものすごい値段、希望すれば１回１錠以上処方してるね。
ああ怖い怖い。
産婦人科医じゃないから、緊急避妊ピル内服後の出血あったから「妊娠してない」と思い込み、
その後急激な腹痛で搬送されて子宮外妊娠判明、緊急手術なんてこと
知らないものね。
もしそういう症例があっても「ボクは患者希望で自費診療しただけ」とか抜かすのだろう。

患者の健康を守るために手を尽くすのが医師の仕事じゃないの？
都合いいもうけ部分だけ自分のもので、その後のめんどくさいことは他科任せかい？

吐き気する。

そもそもコロナのオンライン診療たって、結局パソコン上で問診票書かせるしかできないだろ。
オンラインじゃ検査何もできませんけど？
で、もし似たような症状でインフルだったらどうするの？
インフルなら外来で１５分で結果の出る検査キットあるから、
検査してその場でタミフル出せるけど、オンラインでそれができるの？
バカみたい。

実際患者をみないで診断、処方するのは医者のやることじゃないんですけどー。
医師法違反なんですけどー。
「実際に患者をみる」の部分を「パソコン画面でもいい」という
すれすれ脱法にするのがオンライン診療なんだけど、
それって検事長の任期延長とかで政府官邸が使った手段と似てるよなぁ。

とにかく。
そりゃ流行病あれば医療現場は疲弊するけど、
新型コロナみたいな薬もワクチンもない実際はかかっても軽いカゼで治る人が大多数の病気で、
すげー危険な香りがぷんぷんするオンライン診療を、許してはいけないと思う。
もうかるのは高額なオンライン用機器を売るメーカーだけですぜ。



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