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2022年01月20日13:09

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《読書》思い出の直木賞

脳裏に映った美しい情景画像をそのまま描くことができるなら画家になれるし、脳裏に現れたワクワクするようなストーリーをそのまま筆記できるなら作家になれる。
画家でも作家でもないおいらなんて、鑑賞家になるしかない。
カネにはならないけれど、人生、楽ちんだものさくらんぼ

本読書レビュー
せめて1か月2冊は読んでいきたい。そんなノルマクリアのジャニアリー雪
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002『思い出トランプ』(向田邦子)★5.
〈花ひらき、はな香る。花こぼれ、なほ薫る。〉(久彌)
向田邦子の小説を読むのは初めてかもしれない。
ワイフさんの断捨離途上で、捨てられずに残されていたハードカバーが2冊。
向田邦子と遠藤周作。ワイフさんに聞くと「どちらも途中まで…」たらーっ(汗)
これも何かの縁。原田マハを机の脇に差し置いて、ページを開こう。

自分にとって向田邦子といえば、悲劇の飛行機墜落事故。
ついぞ最近まで、彼女は坂本九と同じ便に同乗し、そして命を失ったものだと勘違いをしていたが、御巣鷹山よりも4年前、同じ8月。台湾便で遭難し、51歳で前途を絶った。
小説には縁がなかったけど『寺内貫太郎』や『時間ですよ』ではお世話になっていたし、TBSだかの単発ドラマでは、橋田寿賀子とともに、頻繁に脚本家のクレジットを飾っていた。
『あ・うん』は映画だったか、ドラマだったか。ちっともストーリーの記憶なんてないけれど、画面から流れる向田邦子の生涯をなんとなく知っている。

1980年刊。初版ではないが、ワイフさん曰く「高校生の時に買った」「ちっともわからなかった」との過去に、「最近2,3編だけ読んだみたら、なんとなくわかってきた電球」と現在。つまり、40〜50歳代に読むべき本であるのかもしれない。
短編13編が、小気味よく通読できる。
物語はショートなのに、文節があって場面が転換し、そして余韻を残す終わり方。
市井の人々の単調かもしれない生活の機微を、こうした文章で味わう時間。
洋風の喫茶店でカフェというよりも、和の茶室でゆったりと煎茶をいただくような(決して抹茶を点てるなんて贅沢なものではない)そんな完読感。
読んでよかった。いつの間にか、そんな年になっていた。

フォト
001『アノニム』(原田マハ)★4.
主題はポロック。
具体や抽象、つまり吉原治良やロスコ、そしてステラなんていう作品は、いくら絵画が下手クソなおいら(←川オス)だって書けるじゃん、と今もなお、この世界を舐めている。
小説の主役はポロックの『ナンバーゼロ』。
これがオークション市場で1億ドル、つまり114億円以上の価値をもたらすというのだからアートの世界はわからない。

ここ最近、目の肥やしを目的にオークション会場に出かけるようになった。
アノニムたちに言わせれば「(買うつもりも、買うカネもない)ただのオーディエンス」。
オークショニアのプライドが原田マハの描く文章から伝わってくる。
昨年、スタートした日本の某オークションカンパニーにおいて、突如噴出した仲間割れとアンダーグラウンドなビジネスシーン。こんな事件に遭遇できるのも、オーディエンスならではの役得。

ちなみに、おいらが目をつけている女流画家・大西芽布。
彼女の大作『レクイコロス』を初見した時の衝撃は今でも忘れない。
ポートフォリオにメアドが記されていたので「何か売ってドル袋」とオファーを出したけど、当たり前のように完全スルー。
ところが、偶然なのか必然なのか。我が手元には大西芽布が画用紙に描いたエロティカルなミニマルアートがなぜか1枚。完全非公開。
奈良美智だって、ビジネス封筒に描いた落書きが500万円の値段をつける世界。
将来、大西芽布の画用紙に1億ドルつけてくれるなら、その人に売ってあげるドル袋



本直木賞受賞・今村翔吾氏、30歳からの夢かなえ号泣「子どもたちの気持ちを裏切らずに済んだ」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6819041

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