《映画》セルロイドヒーロー

コロナは人と人との距離を無情にも広げていく悪魔である。（川オス）
多くのファンに声援を受けてこそ華が咲くショービズ界は壊滅状態となり、友人・知人たちと集まって楽しむことを常としていたはずの自分でさえ、その機会が次々と奪われていく。
独りぼっちなあいつがこれ見よがしにキーボードを叩きながら正義ぶる情景に、白旗を挙げて屈していくしかない。
だって、やはり「それで正しい」というコロナからの啓示なのだから。
コロナが創造する正義は、いつの間にか知らず知らずに差別を産み、大上段から見下ろしながら、これまでの日常を否定して悦に入っていく。


自虐的に猛省すべき行動を書いておく。
自分にもコロナの悪魔が棲みついていたという行動。心底、恥ずかしい。

新橋地下駅。階段の上方から白杖を搗きながら下りてくる男性1人。
その音も姿も視野に入れながら、上りのエスカレーターに乗り込んでいるおいら。
白杖の音が気になって、地下ホームにたどり着いた男性を目で追っている。
階段下のフロアで「カツッ、カツッ、カツッ」と床を3度ほど叩き鳴らす音が響く。
《どなたか、手を貸してくださる方はいませんか？》の合図。
いつもなら、間違いなくエスカレータを登り切ってもＵターン。
階段で駆け下りて、その方へ声を掛けていた。
そんな簡単なルールをしらないで、わざわざ下阪してまでダイアローグ・イン・ザ・ダークに行くわけがない。
時間だってたっぷりあった。そもそも、フリーな時間だらけだった。
それなのに、どうしたことか。身体が動かない。
コロナの悪魔が囁いている。
「他人には近づかないほうがいいぜ」
おいらの脳内天使が「きっと後悔するぞ」と背中を押しているのに、悪魔にそそのかされたおいらは、次の階へとエスカレーターを乗り換えた。

何をしてるんだ、俺は。
結局、こうして日記に残すまで3日間も反省している。
シンドラーや杉原千畝をリスペクトしている俺なんて、きっとまやかしに過ぎない。
情けない。そして、ごめんなさい。

コロナは人と人との距離を無情にも広げていく悪魔である。（川オス）
くだらない憎しみの言葉に溢れるネット社会。そもそも悪魔は棲みついていた。

映画レヴュー

037『三島由紀夫vs東大全共闘』★5．
おいらの世代は「赤軍派」や「よど号」だから、学生運動が衰退し、もはや赤いデビルが銭湯の脱衣所に貼りつくされていた時代。
東大全共闘の良心は一世代前ということになる。
そもそもノンポリの日和見主義で、絶対的に暴力が嫌い。
暴走族やヤンキーたちの武勇伝には、顔で笑って腹の中で赤い舌を出している。
右も左もあれだから、彼らのディベートに琴線を揺さぶられるものは皆目ない。
東大に入るつもりも、入れる力もない男ゆえ、どこか別の世界の話。
そこにある圧倒的な熱量は「良いものを観た」と感服した。
特に芥正雄。
「全共闘が敗北したことに、芥さんはどう思いますか」というような問いに、
「お前たちから見ての敗北だろ？オレはそっち側にはいないからな」
ぐうの音も出ない。意外と、おいらもこの理論は良く使う。


038『暗数殺人』★4．
300人収容の劇場に観客数は4人。島根県なみの人口密度で、もはや日本一の安全地帯。
韓国映画界のセルロイドヒーロ―、キム・ユンソクが主演というだけで★4.確定。
事件解決への道筋が『これまでの苦労はなんだったの現象』に陥って、加点はなし。
それでもこれが事実だからもの凄い。
やまゆりの殺人犯は死刑判決になったけど、野田市のＤＶ女児虐待男は16年もすれば野に放たれる。ＤＶ男はことごとく死刑でいいのに。


036『弥生、三月 君を愛した30年』★1．
コロナ禍にありながら映画を観るということは、それなりにリスキーな行為である。
だからこそ、緊急事態宣言発出後、映画館クローズの要請が出されるのだろう。
それよりも、まずはクソ映画非公開命令を出して欲しい。その最先端がこの映画。
予告編に騙され、30年間の結ばれぬ愛を紡ぐストーリーなんだと勝手に想像した。
きっと、似たような感情で穏やかな鑑賞ができるに違いない。
というのは全くの当て外れ。
東日本大震災を描けば、筋道がどうであろうと何でもいい。
こんな安易な脚本が、徹頭徹尾描かれて、もはや途中で帰りたくなっていた。
まるで不合理な脚本を探してね、のような呆気にとられるほどのメタメタ脚本。
黒木瞳は霊能者か。

映画館はガラガラ、ＴＳＵＴＡＹＡは混雑。きっと、ネットフリックスも大繁盛。
困ったもんだ、クソコロナ。



映画業界、大幅な動員減が続く…　外出自粛、映画館休業など受け
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6036823