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2019年08月12日21:19

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谷口吉郎から高畑勲を経てなつぞらまで

8月12日、ハイジの日。
それなら高畑勲展が開催中の近代美術館へと向かうべし。
いや、慌てるな。近代美術館に行くなら、まず「游心亭」を学ぶが吉。
行ってきた

《赤坂離宮和風別館「游心亭」》谷口吉郎

迎賓館には幾度か出掛けているので、今日は和風別館のみ初体験のガイドツアー。
和洋それぞれに建築物のガイドに世話していただいているが、今回の文化庁職員のガイドも立て板に水。しかも、オール日本語とあって100％理解できる。
60分のガイド中、2度ほどおっさんからの質問横入りを受けて調子を狂わせたが、職務を淡々とこなす女史に感謝。

邸内一切撮影禁止のため、見どころの3室をホームページから『主和室』『茶室』『即席料理室』。ついでに、国宝『噴水+本館』。
特に谷口吉郎建築のシンボルでもある水鏡は、建築当初の水深20㎝。
日差しを和室天井に反射させて賓客にみせる「ゆらぎ」が設計の妙であるはずなのに、人間ブルドーザー・田中角栄の「池に鯉が居ない

」のひと言で、水深は80㎝に変更され120匹の鯉が泳ぐ池へと建築変更された過去がある。
美観よりも金満な政治家のマヌケなひと言が、游心亭の心を汚してしまったようで、その穢れは池水の澱みとなって現れていた。

和風別館の楽しみ方は東西の政治家たちが誰と会って、何を食したかということよりも、谷口吉郎設計の妙を知ることにある。
6角形の照明や、机・椅子に施されたクリスタルの脚受け。
クリの木を芯にした即席料理室の荘厳な造りに入り込むと、果然と和食が喰いたくなる。
予習は終えた。さて、国立近代美術館へと向かうことにしよう。

紀ノ國坂を下り、皇宮警察官に「お疲れ様です」と心の敬意を表しながら「とらや赤坂店」へ少し寄り道。
御殿場へは行っているのに、まだ踏みも観ず内藤廣設計は虎屋茶寮。

せっかく赤坂に来たのだから、何も買わずにギャラリー探訪。
閑散とした地下ギャラリーでは、とらや150年の歴史が瞬間にして理解できる時代の巻き物。無料ではもったいない程だが、できれば美味しいお茶の用意をして欲しい。

『高畑勲展』（東京国立近代美術館）
混雑を予想していたが、足が止まるほどではない。
毎度のことながら、一部を除き撮影禁止。
朝ドラ『なつぞら』をパーフェクト鑑賞しているので、高畑勲＝一久さんの認識で展示品を鑑賞したが、美術展というよりもどちらかといえば資料展。
東大卒の理論派・高畑勲のプロフェッショナル魂が浮き彫りの展覧会。

ジブリものよりは日本アニメーション作品に人気が集中。
アルプスの少女ハイジ、母を訪ねて三千里、赤毛のアン。…トライのCMで親しんでいるけど、そういえば、1度も観たことがない。

サプライズは高畑勲が翻訳を手掛けた文学への挿絵を担当された奈良美智の挿絵作品展示。その重要なる翻訳本『鳥への挨拶』（ジャック・プレヴェール著）をメルカリで探してみたら、見事に全出品分売り切れ中。これは欲しい

ジブリ美術館でも宮崎駿展でもないから、ジブリ作品は数える程度。
その中で驚愕した事実が一つ。
【火垂るの墓ととなりのトトロ】は2本立て上映でロードショー公開されていた。
映画ファンのマイミクさん方は周知の事実なのだろうか。（←問いかけ）

毎日の楽しみの一つが朝ドラ『なつぞら』。
残すところあと1ヶ月半。
「太陽の王子ホルスの大冒険」が大コケして現在浪人中の一久さんが、どのように日本アニメーションで成功し、ジブリでその地位を確保したのか。