No More！ マイレージ泥棒〜ふしぎな小百合チケットの物語〜

合法だが、ちょっとズルい【５００円で映画を観る方法】

『まぼろしの邪馬台国』『北のカナリア』そして、『ブッダ』
共通するものは何か？

《小百合チケット》というワードがある。
配給会社が発行する【全国共通特別鑑賞券】。
興行収入を上げるために、或いはかさ上げするためにスポンサーやパトロンに当券を大量販売。ものすごい量の押し付けを行うことで有名なのが吉永小百合関係の作品や、新興宗教団体系の作品。
一昔前は角川映画や木下工務店がこれを行っていた。

特別鑑賞券を東●や松●から押し付けられた、スポンサー企業やサユリスト、信者たちは、福利厚生の一環として従業員に廉価販売する。それでも捌ききれないために、チケットショップ（金券屋）に１００枚単位で持ち込むことになる。

現在、公開中の『ふしぎな岬の物語』。
モントリオールのなんとか賞をカネで買い●るほど、力の入った作品。
これが前売券１枚１，１００円。
協賛企業へ大量押し込む際は、定価売りというわけにはいかないので１０−２０％引きで９００円程度で買ってもらう。この時点で映画を観ようが、観まいが、興行収入として計上される。
（但し、加算時期は公開終了後となるので、初週のランキングには影響しないルール）

鑑賞券を持った客が映画館でこの映画を鑑賞すると、映画館には額面の５０％（４５０円）が配給会社から還元される。これが、映画館の収入。
（但し、《小百合チケット》のマージンは４０％以下と言われている。）
さて、鑑賞券を抱かされたスポンサー企業の総務部員が金券屋へ持ち込むと《小百合チケット》は１枚５０〜１００円で買い取るのが相場。１００枚なら５，０００円〜１０，０００円が総務部員のポケットに入るか、入らないか。
このスポンサー企業、１００枚９０，０００円で買っているので、差額が企業のコストとなる。

金券屋は、このチケットを来店する客に公開直後までは１，０００円で販売するわけだ。
買取価格が１００円なら、１１枚以上を客売りすることが損益分岐点。
公開３週間もたつと、上映は１日１回に減らされ、それと同時に金券屋は在庫を捌くためにダンピングを開始する。すでに元を取って利益の出ている金券屋から値引き販売を始めることになる。
１，０００円⇒７００円⇒５００円、そして２００円。
今週からは、いよいよ１００円。（＝新橋、有楽町、新宿の金券屋相場）。

１枚２００円程度になるとマイルゲッターが登場する。

例えば、川崎。
映画を５回観ると１回無料になる「チネチッタ」、６回で１回無料の「１０９」、同様に６回で１回無料、さらに映画の上映時間を積算し６０００分（シネマイル）になると１ヶ月のフリーパスがもらえる「TOHO」。
このように３つのシネコンが混在している映画ファンにとっては絶好のロケーション。
先週１１月２１日までは３館ともに、『ふしぎな岬の物語』をロングラン上映。

金券屋から『ふしぎな岬の物語』を２０枚、４，０００円（＠２００円）で仕入れたとしよう。
それぞれのシネコンで座席指定券と交換し、ポイントだけを稼ぎまくる。
吉永さんには申し訳ないが、シネコンには入場することなく映画は見ない。
★チケットをもぎり、迷ったふりして他のスクリーンで掛けられている映画を見てしまうのは違法であり厳禁です

『チネチッタ』では５枚１，０００円で１本の鑑賞が無料となり、『１０９』では６枚１，２００円で無料鑑賞ポイントゲット。そして、『TOHO』は１，２００円で１本無料と、７０２マイルゲットとなる。

特にTOHOシネマズで威力の発揮する《小百合チケット》。
こんなスキームで興行収入をかさ上げする日本映画界、闇の深淵。
現実に《小百合チケット》というものがあるのだから、カスタマーにとっては上手に利用していけばいい。あくまでも、合法的に。

ちなみに、新興宗教団体が作った映画『ファイナル・ジャッジメント』は、駅頭で信者がタダで配っていたし、金券屋では５０円だった。
その当時、幸福の科学のおかげでマイレージをべらぼうに稼いだツワモノもいるはずだ。

（注：吉永小百合作品以外の一般の真面目な作品鑑賞券（洋画・邦画）はこのようなシステムではありません。チケット会社（例：メイジャー）が金券屋や労働組合に《委託》してチケットを置いてもらい、販売料に応じてインセンティブを支払うシステムです。興行収入は、チケットが捌けたもののみ加算になります。）

イギリス警察“映画泥棒”を逮捕　被害額は数億円以上
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=14&from=diary&id=3158781