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2021年04月10日21:00

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モンテーニュ私記―よく生き、よく死ぬために

保苅瑞穂『モンテーニュ私記』筑摩書房、2003年

モンテーニュと言えば『エセー』ですが、柑橘的には『旅日記』です。『エセー』を最初に出版した1580年、従者を従えてイタリア旅行に出かけていて、フィレンツェのメディチ家ヴィラを訪ねた際に柑橘を愛でたことが伝えられます。

ところがいざ『旅日記』を読んでみると、柑橘に触れているのは彼本人ではなく従者の方で、しかもオリーブなど他の香りの良い樹々と一緒に並べて挙げてあるだけ…特にモンテーニュが柑橘に思い入れがあったわけではなく、柑橘マニアの間で細々と語り伝えられているという感じです。

でも『旅日記』の飾らない率直な文章が気に入って、『エセー』も読んでみようかなあ、でもこんな大著を読書家でもない私が読めるかしらと思いながら検索していた時に本書に出会いました。著者は、自分はモンテーニュの専門家ではないが、一読者としてその人間的な魅力を紹介したいと思って記した旨、述べています(念の為書いておくと、著者はプルーストが専門の仏文学者です)。

買って真っ先に「果樹園にて」の章は読みましたが、たぶん読破するには時間がかかりそうなので、本の紹介だけ。

目次
第1部 乱世に棲む
1.怒りについて―人食い人種は野蛮か
2.宗教戦争の渦中で
3.道草―新しい橋ポン=ヌフ余聞
4.宗教戦争の批判―あるいは文明と野蛮)
第2部 モンテーニュはどう生きたか
5.ある転機について―「レーモン・スボンの弁護」をめぐって
6.世界、この私を映す鏡
7.変化の相のもとに
8.果樹園にて―日々が静かであるために)


なお、本書の文庫版が講談社から出ています:
https://www.amazon.co.jp/dp/406292322X/
また、本書を更に掘り下げたと思しき本も:
https://www.amazon.co.jp/dp/4062206285/
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