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2019年07月26日04:47

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タクシー運転手への道 その14



いろいろ忙しくしているとあっという間に一週間二週間経ってしまうリアル。
さて、本体とグループ会社の違いは交通費にあった。

研修に出てくると全員一律、1日1万円である。(たぶん)
締め日と支払日は営業所ごとに違ってくる。
本体に入社した人には、これに加えて毎日の交通費が支給される。
グループ会社の人間は自腹なのである。
当然定期を買うような日数でもない為、スイカやパスモにチャージだ。
よく考えると日給1万円から、交通費とお昼ご飯代を引くと・・・

お昼は実は格安弁当が頼める。
朝400円払っておけば、昼には弁当が届いている。
お味噌汁もついている。(お椀に出してお湯を注いで出来上がりの奴)
味は400円なので400円の味である。
外にラーメンとか食べに行ったり、コンビニでお弁当にすると、お高くなってしまうのである。
研修に来ている人の4分の1くらいが利用していた。

本体勤めの人が、あちらの部屋でいろいろ説明を受けている間、こちらのグループ会社の集まりでも、説明が行われた。
今後の日程やその注意点、書類の書き方や相変わらず細かい部分まで説明してくれた。
ここの人たちの話の仕方には、一定の共通点があった。
なんでもかんでも、お金に絡めて話をしてくるという事だ。

「もし質問があったら1000円でなんでも教えるから言って!」
「朝これに印鑑を押してないと、日給はもらえません、いらない人は私が代わりに押しておいてあげるから事前に言ってください!」
「地図代はここで払うのではなくセンターで払います。ここで払っても私の財布に入るだけで地図はもらえません。」

とにかく冗談で和ませてくれようとしているのはわかるのだが、金、金、金、なのである。
それに、みんな緊張して座っているので、笑いも取れてはいないのだ。

説明を受けた後、朝礼があるので、別室に全員が集合した。
ここには私達より先に入所した人達も入っていて、合計すると30人以上は居た。

「本日入所の人たちは、ここから後ろに座ってください。先輩たちがやるのをみて覚えてください。机の上には免許証とマニュアルだけ置いてください。他のものは全部しまって、そして両手は膝の上で姿勢を良くして待機してください。この待機の時の姿勢はお客様をお待ちしているのと同じ姿勢という事です。心を落ち着けて静かに前を見ていてください。」

そして予定時間の5分前には当日担当の教官が前に出てくる。
全員揃っていても時間までは待機である。
でかい教室に共感を合わせて約4,50人いる中、沈黙の時間が流れる。
教官が時計を見て、時間になったことを確認する。

「それでは時間になりましたので始めます。おはようございます。」

それに応えて全員が、おはようございますと返事をする。

「では免許証とマニュアルを確認するので、右手に免許証、左手にマニュアルをもって両手を上げてこちらに見えるように向けてください。」

免許証の持ち方も、面を持たないように細かく指導される。
当日の教官が全員の免許証を確認して回る。
終わると、「免許証はしまってください。」
この免許証についても、指導が入る。

「免許証はこの研修だけではなく、皆さんが乗務するようになってからも、毎日営業所で確認します。毎日です。そして事あるごとに免許証を出し入れすることになります。なので財布にお金と一緒にしまわないで、直ぐ出せるように別にしまうところを作りましょう。たとえば財布を無くしたとします。一緒に入れていたらたぶん戻ってきません。でも免許証だけだったら戻って来る確率は高いです。免許証は皆さんの命の次に大事なものです。生活が懸かっています。これが無いと仕事できないんです。」

一瞬なるほどと納得するお話なのだが、別の教官が授業中にぼそっと言ったことがある。

「財布ならすごく注意して持ってるけど、免許証だけ別に持ってると実は無くしやすいんだよな。」

さて、この確認のあと、当日担当の教官のお話が始まる。
学生時代の朝礼の校長先生のお話のようなものだ。
ここで学ぶことの意味とか、今後の事とか、先輩の話とか、そんな内容である。
これがだいたい長くても10分くらいである。

終わると、教官が言った。

「では唱和しますので全員起立、覚えてない人はマニュアルをみてかまいませんが、ここを出るまでに全員覚えられるようにしてください。本日入所の人は、前に貼ってあるこの紙か、マニュアルのxxページをあけて、ハンドルを持つような持ち方で構えてください。」

マニュアルを持たない人は、ハンドルを持っているかのように手を構える。マニュアルを見る人は、マニュアルをハンドル持っているような姿勢でみるのだ。
前の方に座っている先輩たちは、ほとんどの人が何も持っていなかった。

そして唱和が始まる。




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