タクシー運転手への道　その9

本社で入社式を終えた翌日、自分が勤める予定である営業所に向かった。
事前に住所を確認しておいて、当日は車でグーグルマップ君を頼りに探した。
当然、時間の余裕をもって出発し車で営業所を確認したら、近くのコインパーキングに入れて向かう。
という予定だったのだが、車で営業所を探したのだが全く見つからない。
タクシーの営業所のイメージというと、広い駐車場に車が何台も置いてあって、スーツを着た運転手がダラダラと数人タバコを吸って談笑している感じだと思う。
その広い駐車場すら、いや都内だから狭い駐車場かもしれないが、駐車場自体がその住所になかったのだ。
おまけに、その営業所があるべき住所付近は、その時間渋滞が発生していて、車での捜索は困難になってきた。
適当にコインパーキングを探して歩いて営業所を探すことにした。

しかし歩いて探しても何処にも営業所が見つからない。
グーグルマップ示す位置には来ているはずだ。
これは住所が間違っているのか？
確かに、本社では

「営業所に行ってください。」

と言われただけで住所等は自分で調べたのだった。
まさか移転？
それならそうと言ってくれないと！
本社から言われた出勤予定時間になりそうだった
今日から一応出勤扱いで、給料も出るのだ。
やばい、遅れるわけには・・・

私は本社でもらった書類の中に各営業所の紹介のようなものがあったことを思い出し、カバンを漁った。
みると住所は、確かにここであっていた。

どういうことなのだ！

とりあえず電話番号もあったので、遅れるかもしれないので電話して聞いてみよう、そう思って電話してみた。

「本日研修でお伺いすることになっています。申し訳ありません、近くまで来ていると思うのですが、少し迷ってしまって遅れそうなのですが・・・」

私がそういうと、電話にでた若い男の人が言った。

「あー」