タクシー運転手への道　その４

病院で健康診断を受けていると、子供がいきなり吐いたわけだが、準備のいいお母さんが袋を持っていたので事なきを得たのだった。
そんな親子を横目に、診断はどんどん進んでいった。

どうやらバリウムを飲んでアクロバット回転はしなくてもすみそうだった。
子供が吐いたのを見た後で、胃の検査なんかやったら、思い出し吐きしそうだった。

最後におじいさんっぽいお医者さんの所へ行き、いくつか質問されて帰っていいよと言われたので帰った。
１社目の面接終了である。

帰り道にじっくり考えて、もう１社の面接は行かないことに決めた。
帰宅してそのことを担当さんに電話しておいた。

さて、これがGWの前の事である。

採用の方向で、とは言われたがまだ入社が決定したわけではない。
結果が来るのはいつなのだろうか。
そう思っていたら、２日後に担当さんから電話があった。

「健康診断の結果が出たら連絡が来るので、早くて１日らしいです。」

じゃああと５日後という事か。
それから５日間、家でゲームをして、寝て、起きて、食べて、ゲームをして、食べて、寝て、起きる生活が続いた。
その前の２日間も同じだったが。

一見楽しそうに思うかもしれないが、仕事が決まって無い状態でのこの生活は、結構精神的にきついものがある。
ゴールデンウイークで、出かけようと思っても混雑するだろうし、そもそも遊んでるお金の余裕なんて無いのだ。

早くて１日、と言われたら１日に連絡が来るものだと信じてしまうのは何故だろうか。
当然のように１日、ずっとスマホをもって待っていたが、電話は鳴らなかった。
２日も鳴らなかった。
平日の１，２で連絡が来なかったという事は、祝日である３，４，５，６はなんだか連絡来ないような気がした。

そしてまた、家でゲームをして寝て起きての生活が続いた。
結局、今までで一番長かったゴールデンウイークを、何の特別な事もせず、不安なまま寝て起きてゲームをするだけで過ごしてしまった。

GWも明けて、７日。
今日こそは！と思っていたら電話が鳴った。
担当さんからだった。

「９日くらいに連絡が来るそうです。」

さらにあと２日、人生で一番長いゴールデンウイークのロスタイムが増えた。