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2019年06月16日09:30

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タクシー運転手への道 その3



刺される発言で笑っていた後ろの担当者さんはともかく、終始和やかな雰囲気で面接は進んでいった。
何か質問はと聞かれたが、ある程度理解はできたので、特にないと答えた。

「では採用の方向で、この後、帰りに健康診断を受けてください。」

え、マジか、もうか。
近所に提携している病院があるらしく、そこで血液検査や尿検査を含めた健康診断を無料で受けられるらしい。

事務所の方々にも挨拶をして担当さんと私は外に出た。
ちなみにここは面接するためだけにきた事務所(本社)で、実際は家の近所での勤務になる。
外に出て担当さんと2人になったところで、私は聞いた。

「もう一社の面接、行ったほうが良いですかね。」

基本的に、二股チックな状況が嫌なのだ。
こちらでもうほぼ内定されている状況なのである。
それなら最初から1社だけ受ける話にしておけばよかったのではあるが。

「両方受けて、条件の良いほうを選んだらいいと思いますよ。」

そうだろう、そうなんだろう、普通はそうだよね。
大事な就職活動なんだから、そうするのが当然だと私も思うのだ。
しかし、和やかな雰囲気で面接をして健康診断もこれから受け、じゃあよろしくね、研修頑張ってね、地理試験もしっかり勉強して合格してすぐ乗務できるようにね!とまで言われたのに、もう一社の方が条件が良かったので、そっちにしますね〜と言いたくないのだ。
これは個人の性格なので、普通の人は何社でも受けて比較すればいいと思う。
私はなんだろう、めんどくさい性格なので、それが苦手なのだ。

私が悩んでいるのを見て、担当さんが

「では健康診断受けて今日一日考えてもらって、もう一社行かないようであれば、私から辞退の連絡入れておきますのでご連絡ください。」

親切である。

病院の側で担当さんと別れた。
入ると、名前は立派なのだが、中身は街の診療所っぽい病院だった。
用件を告げると、尿検査の容器を渡された。
どうやら着替えとかは一切なく、スーツのままあちこちで検査をするらしい。
目立つ。

言われるがまま進み、言われるがまま待合室で待った。
おじいさんやおばあさんが多い中、2人の小さな子供を連れたお母さんもいた。
診察室から出てきて少し同じように、病院特有のあの長椅子で座って待っていた。
その隣に後からきて座ったおじいさんが、知り合いなのか何か話かけると、
「この後大きな病院でもう一度診てもらうことに。」
と話していた。
お母さんはお子さんの一人を腕に抱いていたのだが、ふと立ち上がって看護婦さんに何かを告げた。
看護婦さんが小走りで去った後、お母さんが心配そうに子供を見ていると、その子が突然吐いた。


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