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2019年01月23日05:49

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歌枕紀行「双輪寺」10

 高台寺前の"ねねの道"を進んで、右折した先の片隅に、かの西行法師(1118-1190)が隠棲していた古跡があります。何となく入りにくい雰囲気のせいか、表通りの喧騒とは対照的にいつも閑散としていて、お気に入りの穴場湯のみ

 この付近には、平安時代初め(9c)に創建された"双輪寺"というお寺がありました。円山公園もすべて境内だったというから、とてつもない広さあせあせ(飛び散る汗) 前に取り上げた霊山寺や雲居(ウンゴ)寺と同じく最澄ゆかりなので、今は"浄土真宗のメッカ"のような土地柄ですが、その前は"天台宗のメッカ"だったよう。

 藤原氏の武家に生まれ、鳥羽天皇の警護を務めていた西行さんは、23才の時に突如出家してしまいます。一説には、天皇の妃(キサキ)に一目ぼれしたためとも・・・揺れるハート その翌年、この双輪寺のそばに庵(イオリ)を構えたようです。当時この高台には、同じような世捨て人がわんさか住み着いていたようで、「隠遁したいけど、山奥での一人暮らしはちょっと・・・」みたいな人のための練習場だったのかも家

 木漏れ日の差し込むこじんまりとしたお庭でくつろぎながら、「都も間近に見えるこの場所で、不安でいっぱいやったろうなぁ・・・」と思いやりました。

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●「野の辺りの枯れたる草」と云ふ事を、双輪寺にて詠みけるに


     さまざまに 花咲きたりと 見し野辺の

                     同じ色にも 霜(シモ)枯れにけり

(「いろんな風に花が咲いたな〜」と見ていた秋の野辺も、冬になると霜が降りて、どれもこれも同じ色に枯れてしまった・・・)


【野の辺り】野原一面。双輪寺の周りには、"真葛(マクズ)ヶ原"という野原が広がっていた

                               『山家集』冬歌506

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