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2015年08月29日11:15

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【ネタバレ】アニメ「おおかみかくし」観ました【閲覧注意】

遅れた盆休みみたいなモノが取れたので、夏のホラー、怪奇、心霊みたいな感じで
「おおかみかくし」というアニメを一気に視聴しました。


おおかみかくし

コナミのゲーム原作のアニメ化。全12話 AIC製作


フォト

〜あらすじ〜

昭和58年の夏、文筆家の父・正明の都合で山間にあるニュータウン「嫦娥町」に引っ越すことに
なった九澄博士(くずみひろし)。 取り立てて目立つような存在ではなかった博士のことを、
私立嫦娥高等学校のクラスメイトたちはあり得ないぐらいに歓迎してくれた。
戸惑いつつも新しい生活を楽しむ博士だが、クラス委員長の櫛名田眠(くしなだねむり)だけは
明らかに距離を置いていた。
そのうえ、眠から「貴方の存在は、迷惑なの」とも言われ、茫然とする博士だが……。


寒村に伝わる奇習所以に、新市街の住民と対立する旧市街の人々。
家の前に木彫りの狼像と「はっさく」を祀る住民、車椅子の妹、赤い月。
ホラー要素はまんべんなく散りばめられているのだが、何故か全く怖くない。
主人公は10万人に一人と言われる特異体質のせいで、「かみびと」と言われる旧市街の
住民から一方的に慕われており、身に危険が及ばないことが原因か。
ストーリーもお世辞にも良いとは言えず、伏線も回収されず放置気味。
で、尺が足りないから・・・と言う訳でも無く、物語は11話で終了。最終話となる12話は完全な
蛇足のアフターストーリーだ。

物語はタイトルでモロバレだが、旧市街の住民は「人狼」であり、主人公は人狼にとって
性衝動を抑えきれなくなる匂いを発する特異体質のため、男女問わず惹きつける
事態になっている。
主人公に最初から懐いてくる女の子は、あからさまにギャルゲーの登場人物そのままに、
何の脈絡も無く主人公大好きを公言するのはこうした因果があったからだ。
まあそれ自体で十分恐怖なのだが、この女の子は主人公に惹きつけられる原因が
人狼所以では無く、初恋だからと身悶え、発狂する。
なるほど、そこの葛藤はとても良い。が、解決して以降はこのヒロインは出なくなり、放置される。
そして物語が終焉したら、元の状態に戻ってしまっている。
何がしたいんだ?元に戻しちゃってどうするよ。成長させてやって下さいよ。


これは「?」となる事の一端でしかない。
柑橘系果物の「はっさく」がキーパーソンの様な描き方だが、特にオブジェクトに
なっているだけで何か特別な要素が有る訳では無い。妹の車椅子もそうだ。
こうしたホラー仕立ての作品で、車椅子の人物が出てきたらもう、襲いかかられる、逃げ惑う
際のもどかしさ、どうにもならなさという身体的ハンディのせいで一層恐怖感を煽るのが
常套なのだが・・・何も危機に陥らない。

良かった点としては、お兄ちゃん大好きな妹じゃなかった事か。結構毒舌で、
やたらと現実感の有る妹造形だった。

妹「○○さん(主人公に好意を寄せる女の子の兄)に、ドライブ誘われちゃった」
主人公「心配だからぼくも行くよ」
妹「付いて来んな」
主人公「いやでも、やっぱり一緒に・・・」
妹「来んなって」
ここらが秀逸でした。


そもそも論として、物書きの父親が引っ越してきた理由も不明であるならば、さっさと引っ越して
しまわない事が事件解決の糸口も逸してしまっている。
それが出来ないという理由はどこにも示唆されていない。
人狼の狂暴化を抑制するのが「はっさく」の香りと言うのは何となく察知する事が出来る。
主人公はこれとは真逆の効果を持つ体質な訳で、最終的にこの人狼の体質が改善される
筋書は用意されているが、早い話、事件が収束するまで主人公がこの村を出れば良いだけで
大方の事件は未然に防げる訳だ。

終盤に突然出てくるダム。
放流しただけで下流の街は壊滅するとか・・・そこはやっぱ爆破だろって。
物語の序盤で主人公達が川遊びに行く話が有るのに、なんでダムをそこで出して
おかないんだろう。

事件を巻き起こした犯人の動機も、そこまで行くと狂気じみていて共感出来ない様な内容で、
死んだはずの婚約者の女性と村に住む「はくろう様」が死んだ婚約者にソックリな理由も
示されていない。
で、その「はくろう様」って何だったの・・・?なんでああいう最後を迎えるに至ったの・・・?
謎すぎる。

そして常に「満月」なのも謎。
満月の晩に人間が狼に・・・というのは創作から来た人狼モノのセオリーなのだが、
劇中は何故か毎日が満月。流石にそれは、有り得ん。
一月毎に事件が起こっているという訳でも無く、比較的短期間で事件が発生し、終焉を
迎えていることから来るミスなのだろうが・・・。


時系列が前後するが、「Another」や「ひぐらしのなく頃に」にとても良く雰囲気が似ていた。
キャラクターはローゼンメイデンの「PEACH-PIT」氏が手掛けているので、とても可愛らしい。
音楽も絵も良かったのだが、そういったスペックを発揮出来ておらず、やりたい事と
シナリオ構成などがチグハグで、萌えにも恐怖モノにも、バトル物にも足りなかった。

恐らくはゲーム原作とは違うシナリオでアニメを締める必要が有ったからこの様な結末と
なったと思うのだが、序盤や中盤の出来と比べてあまりにも急展開でお粗末なディテール、
そして主人公を筆頭としたキャラクターの動きが謎過ぎてポカーン状態。
これは流石に子供でも憤慨すると思う。

そもそも昭和58年に時代を設定していることの意味がさっぱり解らない。
というか劇中でソレと分かる描写が無い。
ハチロクトレノが出て来た事、TVがブラウン管だったり、黒電話や電話BOXが出て来て
携帯電話が登場前って事?その割には派手な学校の制服だったりする訳だが・・・。
平成の現代と30年前でどういう違いを演出したかったのか。
登場人物がお互いに連絡を取れずにやきもきするような描写は無いし、この辺りも
竜騎士07氏の作品の常套手段だが、必然性を感じなかったところだ。


竜騎士07氏が関わった原作作品で、「ひぐらし」の因習めいた寒村の雰囲気をそのままに
ホラー仕立てで描きたかったのは解るが、ディテールが余りにも描き切れておらず、
人狼の人間以上の身体特性のアクションがオカルト要素との噛み合わせも悪かった。

で、やはり竜騎士07氏のネームバリューが強いため、氏の作品や関わるスタッフの名前で
売っているのは間違いない。そこで誰でも「ひぐらし」や「うみねこ」と比較してしまい、本作の
ボリュームやキャラに食い足りなさが出る様だ。
それ程挙げた二作品の主人公や登場キャラが濃いせいでそれは致し方ないとも言える。
ゲームのマルチエンディングをアニメ化するに際し、練り込みが甘かったと言わざるを得ない。
そこかしこに面白くなる要素が有るにもかかわらず、結果としてバランスの悪い出来だと
思われるのは、絵や声優の演技では無く、ひとえに脚本と構成、そして監督の力量だろう。




あと、視聴を完遂したのは「エルフェンリート」だろうか。
これは原稿の下書きもしてあるので、また折を見て投稿する予定。

逆に一話を観て・・・というより開始数分でアウトだったのが「四畳半神話体系」と「未来日記」。
両作品とも評価が高かったので借りて来たのだが、私の趣味に全く合わなかった。
「四畳半〜」は台詞の長回しを多用した解説劇。
主人公が抑揚無くずっと早口で喋り続けている。
要はこれ、小説で読むと面白いけど、地の文をずっと喋ってるからウザいことこの上ない。
状況説明や主人公の心情など、ナレーションが延々と続くと思って良い。
元々西尾維新の物語シリーズがダメなので、これはもう水と油。
作品が面白い面白くない以前のレベル。不思議とハルヒの時は気にならなかったが・・・。


「未来日記」も同じく断念。主人公の子供のヒネクレ具合がハナに付き、アウト。
内容を理解する前に生理的にダメなものはダメなので。
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