前回の続き。
検討に検討、吟味に吟味を重ね、この私が選んだ Pioneer 製の “DV-S747A” が遂に我が家へやって来た。
それまでの複雑な経緯は前回の日記に記したとおり。
そして、いよいよ導入開始である。
早速に導入して電源も投入したらば、試聴してみようぞ。
先ずは PCM な CD からだよな!
その「試聴をする」とは…?
既存の “DVL-919”(’98年製で税別 ¥115,000)と、安価な SMSL 製の DAC ”SU-8" との組み合わせが比較対象という試聴でもある。
その SMSL ”SU-8” は中華製で安価ながらも、この私も手を出してしまった程に「なかなかヤルじゃん!」な DAC Unit である。
D/A Converter には ESS Technology 社製の Chip “ES9038Q2M” を搭載。
そう!
ESS Technology の最新型であり、あの Accuphase 製の最高級 DAC Unit “DC-950”(税別 ¥1,200,000)にも採用された最高級の Chip “ESS9038PRO” の廉価版であり、私が “DVL-919” から他機種に買い換えるのに「待った!」を掛けた実力の持ち主である。
もちろん電源電圧は AC100V → AC130V に昇圧済み。
AC100V のまんまでは真価を発揮してくれない ”SU-8” とあって、昇圧は必須なのである。
Pioneer の “DVL-919” は懐かしの LD も再生可能な DVD Player である。
’98年製でまだ DVD Audio には未対応とあって、流石に現代なそれと比べてしまうと DAC 系は脆弱そのもの…。
けれども、中華な DAC ”SU-8” の助けも得て未だに我が家で現役というご長寿ぶりである。
何故、未だに “DVL-919” だったのか…?
それは Movement が類稀に強靭だから! …これに尽きる。
だって、あのデカくて重たい LD をも正確無比に回転させちゃうんだぜ !?
我が教祖様(Audio 評論家の故・長岡鉄男氏)が絶賛したのも頷ける話である。
どんなに現代の最高級 SACD Player であろうとも、こんなにも強靭な Movement を搭載した製品は存在しないのだよ。
加えて DVD にも対応の Laser Pick Up なのだから悪い筈も無い! …だろ?
さてさて、そんな「DVL-919 & SU-8」vs「DV-S747A」という面白そうな対決の比較試聴である。
やってみよう!
全ての準備が整って「さぁ〜、始めましょう」のところで、Partner からの「ごはんよぉ〜!」で Dining Room への招集辞令が発せられた。
なので家族揃っての夕食を楽しむ。
およそ1時間の Interval を挟んでからの作業再開。
では、先ずはこれで試してみようぞ。
既存の “DVL-919” & “SU-8” が先手で比較試聴を始める。
ん〜〜〜。
いつもどおりである。
Straight で Dynamic で High Speed という私好みの音!
…なんだけれども、高域は「CD でのそれ、そのもの…」なのが難点。
艶も伸びも、ある領域から「はい、そこまで!」でバッサリ切り落とされてしまっている。
低域も AD と比べてしまうと伸びも量感も「残念…」が付き纏う。
音像も奥行き感が AD と比べてしまうと乏しい。
PCM な CD としては「結構に頑張っている音」なのだけれど、AD の音と比較してしまうと何から何もが「残念…」なのを再認識させられる。
では、後手の ”DV-S747A” の音を確かめてみよう。
ん…?
おぉ… !?
おぉ〜〜〜っ!
こ…、これが “Legato Link Conversion - Pro” の威力なのか…?
Cymbals の音が見違える(いや、聴き違う?)ほどに高域が伸びている。
間違いなく 20kHz 以上のそれを奏でているのに驚愕!
ん…?
でも、どうだ?
低域の伸びは有るけれど、躍動感が乏しい。
High Speed な重低音とは無縁で、私が苦手の YAMAHA な音そのもの…?
中域はとにかく「まとまり感」に欠け、喧しく感じるほど…。
あちゃ〜。
過大な期待をし過ぎちゃったのかしらン…?
最新録音ものでも試してみよう。
先手の “DVL-919” & “SU-8” から…。
ん〜〜〜。
いつもどおりである。
続いて後手の ”DV-S747A” は…?
ん〜〜〜。
やっぱり先程と同じような傾向…。
ん…?
いや、ちょっと違うぞ?
あらら…?
何だか少しだけ「良い子」になってくれたようなのは気の所為なのだろうか?
これも試してみようぞ。
先ずは先手の “DVL-919” & “SU-8” から…。
ん〜〜〜。
やっぱり、いつもどおりである。
続いて後手の ”DV-S747A” はどうだ?
あら…?
おい、おい、どうした?
苦手も苦手の YAMAHA ぽかった音は影を潜め、徐々に私好みな音に変化していくではないか?
低域再生能力を確認する「最終兵器」を投入してみようぞ!
先ずは “DVL-919” & “SU-8” から…。
ん〜〜〜。
やっぱり、いつもどおりである。
この High Speed な重低音が素晴らしい!
続いて ”DV-S747A” はどうだろか?
おぉ !?
おぉ〜〜〜!
どうした、どうした、おい、おい、おいっ…?
一番最初に試聴した Wes Montgomery の “Full House” の時の「あちゃ〜」だった全てが解消されちゃって、とにかく具合がイイこと。
中高域の分解能は「ぶったまげる」ほどに向上し、ややもすると先手の “DVL-919” & “SU-8” をも上回る印象だ。
間違いなく 20kHz 以上を奏でる Cymbals の音は更に磨きが掛かり、Silky Touch で綺麗な艶に大変身!
低域の伸びは圧倒的に後手の ”DV-S747A” に軍配が上がる。
けれども低域の「瞬発力」と「押しの強さ」は先手の “DVL-919” & “SU-8” には及ばず。
…なんだけれども、その差は僅差にまでに迫ったぞ。
ん〜。
ん〜〜〜。
なるほどねぇ〜、そういう事だったのか…。
”DV-S747A” にも電源を入れ「さぁ〜、始めましょう」のところで夕食になったので、およそ1時間は電源を入れっ放しにしておいた。
なので、食後に試聴を開始する頃には内部の回路も充分に温まっているであろうと思っていたのだ。
けれども、それだけでは駄目だったのだ。
なんせ、しばらくは電源が入っていなかったのであろうよ。
各種の Condenser にも充分に電圧が与えられる状態、つまりは実際にしばらく動作させないと「目覚めない」のである。
どんな Audio 機器も、設置した直後の音で諦めるな!
この基本中の基本である「当たり前!」を改めて思い知らされた私である。
いや〜、それにしても Cymbals の音が素晴らしい。
Pioneer の「御家芸」だった “Legato Link Conversion” は、この “DV-S747A” でその High End に相当する “Legato Link Conversion - Pro” を搭載したのは前回の日記に記したとおり。
それがこんなにも「凄いぞ!」だったとはねぇ〜。
正直に驚いたよ。
44.1kHz の PCM な CD であろうと、最大 192kHz にまで Up Sampling して 24bit へ再量子化してから D/A 変換という贅沢な設計のお陰で、今まで聴けなっかった音を見事に奏でてくれる。
もう CD の音にはうんざり! …で AD の世界にのめり込んだこの私に「CD も悪くないじゃん?」と振り返させてくれた、この ”DV-S747A” の功績はデカいぞ!
それをだよ…?
なんとたったの「1万円」で手に入れてしまったのだから…。
イイね、イイねぇ〜。
さぁ〜!
いよいよ本題の SACD を試してみようぞ。
いかんせん、およそ20年も前の製品なのでね。
きちんと動作(SACD を認識)してくれるのかが心配…。
おぉ !?
イイね、イイねぇ〜。
ちゃ〜んと「SACD だよ!」と認識してくれたぞ。
よし、よし、君は良い子だ。
ん〜。
これで遂に我が家でも SACD の音を楽しめるのか…?
それでは、試聴してみようぞ。
おぉ…?
うぉ〜〜〜っ !!
素晴らしい〜。
他所では何度も SACD を試聴して来たけれど、まさに「これぞ…」が我が家にやって来ちゃったぞ!
Digital 臭さを全く感じさせない、正に Analog な音の世界…。
どこまでも伸びる超高域、抜群の分解能、適度な艶と膨よかさ、Vocal も Strings も生々しく、SACD ならではのそれらを存分に楽しませてくれる。
これでたったの「1万円」だったのが信じられん。
音像は平面的で奥行き感が乏しいのは、当時の価格 ¥99,800 というB級 Audio な価格相応であろうけれど…?
専用機の SACD Player でもない、普及価格帯の DVD Player でこんなにも素晴らしい音を楽しませてくれる製品を送り出した Pioneer がやっぱり凄い。
同様の DVD Player でも、白物家電と原発の糞会社(東芝とも言う)とは大違いだろうよ。
既存の “DVL-919” & “SU-8” も「捨て難い」魅力なので、当面はこの2台体制で遊ぼうと思う。
あぁ〜。
Whisky を片手に、大好きな Jazz を素晴らしい音で楽しむという、この悦楽…。
幸せなひと時だよ。
時間を掛け、吟味に吟味を重ねた品定めで Pioneer 製の ”DV-S747A” を選んだのは大正解だった! …としておこう。
後継機種の ”DV-S757A” や、更にその後継機種を選べば「もうちょいと新しい製品」なのだろうけれど、あえてそれよりも古い ”DV-S747A” を選んだ理由は前回の日記にも記したとおり。
Cirrus Logic 社製の DAC Chip “CS4392” を搭載した ”DV-S747A” だからこそ、この音を楽しめるのであろうよ、きっと…。
でも、これで満足してしまう筈も無い。
そう!
SACD はこれが「序の口」であり、既に次への Step Up も検討を開始したところである。
その方向性は複数の選択肢が絡み合う状態でまだ考えがまとまらないけれど、あれこれを考えるのも楽しい。
己の知識と経験の全てを投入し、自身で納得の次を決める。
これも Audio 遊びの面白さであり、止められないのだよ。
もちろん、湯水のようにお金をつぎ込める身分だったらば、無駄に考える事も無く「おい、それ…」で済むのだろうけれど…?
身分相応、少ない予算で最大級の効果を得るのも Audio 遊びの醍醐味なのではないか。
私はそう思う。
心豊かな楽しい老後を迎える為にも、まだまだ「これから…」なのである。
よしっ!
これからも大いに働き、大いに遊ぼうぞ!
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