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2020年05月25日22:22

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おつかいくえすと

 兄さん、いいネタありますぜ。こんばんは、ダガーです。

 昨今のコロナ騒ぎ、本当に大変です。馴染みの店も客が減ったと頭を抱える毎日。これはいけないと頻繁に通ってお金を落としますが、実際焼け石に水。どうしたものか……

 などと思案する毎日に、職場の先輩から

「なぁ、チャンバラ貝って知ってるか?」
「何っすかそれ」

 何でも、兼業で漁師をやってる先輩の最近の一押しはこのチャンバラ貝という貝らしい。調べてみると、高知の名物として名が知れていて、味はかなり美味くて巻貝の中で一番美味いと力説する人もいるそうです。ふむ……

「んじゃ先輩、在庫あったら1kg売ってください」

 提示された値段は思いのほか安かったので、ちょいと企てることにした。まずは試しに……

「(スマホ片手に)とりあえず、海水に近い濃度の塩水を作って……(秤で塩を計量しつつ)」

 一先ずサンプル用に半分塩茹でに。最初は超絶弱火で湯気が出るほど温まったら一気に強火。それから少し煮て


「……何だこれ。食ったことない味だこれ」

 噂に偽りなし。何というか今まで食ったことない巻貝の味。身は筋肉質でコリコリ度が強いが噛んでいくと旨味がどんどん押し寄せて、普通は癖のある肝も甘みを感じる。よし、これならば


「……というわけでマスター、新メニューでこれ仕入れてみません?」
「うん、仕入れたいけれど値段がちょっとしんどいな。三掛けは無理として二掛けでサービス品として売り出せばあるいは。だけど、う〜ん……」
「値段をこのラインぐらいに下げたらいけそうじゃないですか?」
「……五粒でその値段だったらいけそうだな。交渉頼めるか?」
「お任せを」

 などと、客の少ないお店で電卓とお酒片手に新メニュー会議。試食した居酒屋のマスターは乗り気でしたが、値段で悩んでいたので交渉してみることに。

「先輩、相手さん仕入れる気はありますが、値段でちょいと悩んでました。このラインで卸してくれます?」
「その値段でいいぞ」

 二つ返事で交渉終了。なんてこった、もう仕事が終わってしまったぞ。


 それからその週は仕事帰りに店に通うことが日課となり、毎日酒片手に商談やら打合せをして……

「週末に目玉商品として売り出す。俺が仕入れてマスターに売る。そんな感じで」
「うん、よろしく頼む。流石に香焼まで足を延ばせんからな……苦労を掛ける」

 割と俺の仕事が増えた感じではありますが、大切な店を少しでも支えるためのコラデラルダメージだ。そういうことにしよう。


 そして来る週末。

「マスター、チャンバラ貝一つ」
「おっ、早速だね」

 週末にまた性懲りもなく通い、出されたチャンバラ貝を周りのお客に試食させるというまた身銭を切った販促行為。売れなきゃ困るからな!!

 ……そしてその甲斐もあり、今週も

「先輩、チャンバラ貝一キロお願いします」
「OK、ところでおまけで三角ビナがあるけど持っていくか?」

 商売継続です。中々好評なようでまた仕事帰りに仕入れに行くことになりました。暫くはこんな生活が続きそうです。収益出たら何奢ってもらおうか……

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