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2020年04月04日05:00

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コロナってるの? 映画館編

 コロナってるの?(どうなってるの?のフレーズで)なんてふざけてみましたが実際問題、映画館で働いている身としては着々と影響が出ているわけで、コロナ報道が始まった2月末から日に日に深刻化していった3月末まで、どんな感じだったのかのざっくり思い出しつつここに記す。


●2月末「映画しまじろう」公開延期

 記憶してる中で最初に公開延期が発表された作品。春の恒例こども向け映画で、当時はちょうど学校の一斉休校がニュースで取り上げられていた頃「大人は大丈夫だろうが子どもはとりあえず保護」の社会情勢の中、最も公開日が近かった作品でもある。

 なお映画館は人が密集する空間ではあるが、基本的に全シアターは常に換気された状態で、人が集まったからといってやる事といえば無言でスクリーンを眺める施設なので、感染リスクは比較的低いと考えられていた。


●2月末〜3月頭 じょじょに増えていく公開延期作品

 つづいて3月6日公開のドラえもんも延期。こちらも子ども向け作品だがしまじろうとは動員規模が違う。「新宝島」のヒットも記憶に新しく、老若男女が訪れる特大ファミリー映画とあって延期は妥当か。同時期にディズニー映画「2分の1の魔法」「ムーラン」も延期が発表。こちらはディズニーランド休館(そして映画館がある隣接のイクスピアリ)がより直接的な理由と思われる。

 さらに「007」の公開延期が発表。全米同時公開を予定していた作品で、海外の感染拡大がアナウンスされはじめた時期の出来事でもあった。以降も全米同時公開と思しき作品(ソニック、ワイルドスピード)の公開延期がじょじょに発表されていく。

 ただ、この時はまだ新作が減ってるなあ…と楽観的な視点だったのと、全部が全部延期になっていたわけではなく「一度死んでみた」「仮面病棟」(どちらも3月公開)などは予定通り公開した事から、映画の配給側としても判断が緩い頃だったと思われる。洋画の大作「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」も予定通り3月公開したが、こちらは海外ではとうに公開済み、日本での公開は特に問題なしとの判断だろうか。

 ちなみに映画館では休校になった中高生たちが数多く観られ、ホラー作品でありながら年齢制限のない「犬鳴村」が人気であった事が印象的。ガチっぽい雰囲気ながらスプラッターでなく心霊ネタで攻めるジャパニーズホラーは、怖いもの見たさの若年層に丁度フィットするのかもしれない。


●3月半ば〜末頃

 事態の収束が見られないコロナ情勢にあわせ、公開日の近い作品が次々と延期発表される時期。一度は5月に延期された「ムーラン」が再び近日公開になるなど、配給側の混乱は末端の身ながらも業界の危機を感じるには十分であった。

 もっとも暗いニュースばかりではなく、ドラえもんが8月公開に、プリキュアが5月公開と、希望的観測ではあるが「この頃には事態も収束しているであろう」と明確な日時が公表される。また5〜6月頃予定の新作映画の前売り券も、全てではないにせよ邦画を中心に一応は販売が開始され、一旦は次に動くべきスケジュールが確保できたというか、仕事のモチベーションをある程度持ち直す事ができた。

 しかし、3月後半には東京都知事の「外出自粛」発言により都心の映画館が休館。おそらくはそれに合わせるかのごとく、公開日2日前というタイミングで「Fate第三章」が突如延期になる緊急事態が発生。3月はもともと作品数の少なさの代わりに大作が多い繁忙期、延期続きの中でようやく公開できそうな大作が直前でお預けになった事と、さすがに旧作しかないラインナップ(映画は公開1か月も経てば大体古く感じてしまう)では客は増えず、短縮営業にしても閑古鳥が鳴く状況に陥ってしまう。


●そして今

 都心の外出自粛が近隣の都道府県にも伝播し、それに合わせるように土日の休館が発表された。今は土日のみだが自体が悪化する時は平日の休館も十分考えられるだろう。

 それに営業が続けられたところで、新作のない映画館はどんどん客が減っていく。そんな中で頼りになるのは過去にやった映画のリバイバル上映(今だとハイスクールフリート、メイドインアビス、ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝など)ぐらいなものである。一度やった作品とはいえ該当の映画館では貴重な新作映画であり、当時観られなかった近隣客の動員も期待できる。

 とはいえ、こんな状態なので直近の公開作品は、作品のジャンル・国境・規模関係なしに全てが延期続きである。全館同時公開ができず動員も見込めない以上仕方のない判断だとは思うが、配給の自粛が映画館の自粛に直結するので抗えない。なにより感染拡大の防止に人が集まるエンタメ業界が先に切られるのも仕方ない。

 ただ、それも全ては「どこまで自粛するか」である。映画館はとりあえず新作がくれば上映できるし、右に倣えで延期するなら「あの作品がやったならうちもやれるだろう」と公開に踏み切る流れもあるはずだ。今新作があればジャンルの好き嫌いはあれど「とりあえずなんか観たい人」なら来てくれるはず。渋めの邦画やオリジナル劇場アニメなんかはいい勝負ができると思う。

 感染拡大防止も正解がないと思うが、従業員も客も十分注意して、座席を離したり人数を制限するなど取れる対策はある。それもマスクと消毒液の十分な供給があってこそだが、今のご時世なら各自自衛策はそれなりにしてる…はず。冒頭にも書いたが映画館は人が集まれど「椅子に座って黙ってスクリーンを眺める施設」なのだから。変なところ触らない。上映中に喋らない。ロビーでは行儀よくお待ちください。

 悲観的な話ばかりになってしまったが、生活だけでなく、映画が好きで働いてる身としてはお客のいない映画館はやっぱり寂しいもので、この時期が「あんとき超暇だったなあ」なんて振り返れる日が来る事を祈りつつ、TVCMだけは流れ続けるドラえもんの「8月6日公開」を見て、いずれ来るであろう延期渋滞からの大作ラッシュが上映できる日に備えるのであった。

 とりあえず今やってる映画だと「SHIROBAKO」が(多少アニメ視聴前提ながら)神作品なので、気になる方は完全防備でぜひ映画館へ。
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