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2015年12月11日03:49

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【ガンダム第8話】え?敵なのになんなの?このいいおじさんたち。

■「戦争はかっこいい」と誤解招いたガンダム 安彦良和氏
(朝日新聞デジタル - 12月08日 11:26)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3749388

今回は「ガンダム」のこの記事から。
単に「ガンダム」といえばそれはいわゆる「ファーストガンダム」のことです。

私はガンダムが大好きなんです。

記事のタイトルでは「『戦争はかっこいい』と誤解招いたガンダム」とのことですが、「そんなことないよおぉぉぉぉぉ〜〜〜〜」っていうのが私がこの日記で言いたいことです。

ガンダムといえば「ニュータイプのアムロ」・「赤い彗星のシャア」などすごい能力を持ったパイロットたちがガンダムやシャアザクなどのモビルスーツを自由自在に使って戦うお話。

「1年戦争」と呼ばれる戦争を描いた物語です。

たしかに「カッコいい戦いのシーン」もたくさんあって、それも魅力ではあるのですが、1つ大きな特徴として「人間と人間の戦争をリアリティを持って描いた(当時としては珍しい)アニメ」ということが挙げられるのではないかと思います。

今でこそそういう描き方のアニメも珍しくありませんが、ガンダムは79〜80年に放映された古いアニメであるというのがポイントです(私が初めて見たのは83年頃の再放送でした)。

当時はアニメで「戦い」といえば「正義の味方が悪いやつらをやっつける」勧善懲悪をベースにしているものがほとんどであったと思います。
これはこれでもちろん今も1つの大きなジャンルですが、当時はかなりこれに偏っていました。
アニメといえば当時はまだ「子どもだけが見るものだ」という傾向が強かったですから、当然「子どもに分かりやすい」必要があったんですね。

ところがガンダムは一風変わっていました。

変わっている・・・っていうか、現実の戦争を見ればむしろ当たり前なんですが、「100%の正義と100%の悪の戦い」じゃないんですよね、人間と人間の戦争って。
そういう要素を話のあちこちに散りばめて描いていたのが当時のアニメ情勢から見たガンダムの最大の特徴だと私は思っています。

ガンダムを見ていた当時の私は10歳でした。
当時の私にはこのガンダムの世界観は難しい。

「あれ?悪いやつやっつけんじゃないの????」
「あれ?なんで正義の味方の側がこんな悪いことしてんの????」

あっちこっちのシーンで「????」ってなりました。

現代の10歳の子だともうちょっと物分かりいいのかなぁ〜?
とにかく当時の私にはチンプンカンプンなところがあちこちあったのですが、あとで振り返るとその「チンプンカンプン」が良かったです。

戦争のことなんて10歳の子には分かんないもん。

その10歳の子(私)に「?????」っていうチンプンカンプンなところを印象付けてくれたことで、後年になって「戦争って・・・・・」っていろいろ思う大きなきっかけになったわけです。

ガンダムは私の「戦争観」のもっとも大きなベースになっていると言って過言ではありません。


今回は私がガンダムで一番気に入っている「第8話」を紹介したいと思います。

この「第8話」は地味です。
わき道ストーリーです。
アニメのダイジェスト版とも言える劇場版ガンダムではあっさりカットされてしまっています。

シャアは出てきません。
アムロは出てきますが、ほんのちょいです(むしろ「ちょっとカタキ役」かも)。

メインの登場人物は

・地球連邦軍(味方)の民間人の母子(ペルシアとコーリー少年)
・ジオン軍(敵)の平凡な兵士2人(バムロとコム)

です。

どーだ、地味だろ〜(笑)


でも、この「第8話」がなんか好きなの、おいら。

10歳の当時も「?????」ってなりながらも妙にこの話に心惹かれたのですよね。

いかんせん「地味」なので、分かっていただけるかも自信はないのですけど、ちょいとお付き合いいただけると幸いです。

・・・・・・・・・・先にくどく断っときますけど、ホント「地味」ですからね(笑)。


さて、「第8話」・・・・ちょこちょこ画像を貼りつつポイントポイントを追っていきます。


◎敵兵であるバムロたちに手を振るコーリー少年
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おや?
いつも地球連邦軍の兵たちがジオン軍の兵やモビルスーツを見かけると戦闘になるのに、無邪気なコーリー少年は敵兵に手を振っていますね。

お母さんのペルシアは緊張の面持ち。

やばい。
コーリー少年、ジオン兵に撃たれるんじゃ・・・・・?


◎コーリーに手を振って返す敵兵バムロとコム
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ところが、ジオン兵のバムロとコムも愛想よくコーリー少年に手を振って返します。
見るからに平凡な兵士の2人ですが、柔和な表情です。

◎他の避難民たちと別れ、故郷セント・アンジェに歩いて向かうことにしたペルシア母子
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ペルシアたちは故郷のセント・アンジェに向かうためにここ地球に帰ってきたのです。
他の避難民たちと別れて歩き出します。
しかし、その道のりは危険に満ちています。


◎「あれ?あの母子・・・こんな危ないところを歩いてどこに向かうんだろう・・・?」
と心配する敵兵バムロたち
フォト

彼らは実は秘密の任務の途中なのです。
こんなところで油売ってる場合じゃありません。

しかし、母子のことが気になる様子。

コムくんは「早く任務に戻りましょうよぉ〜、ガルマ大佐に怒られますよぉ〜」
しかし、バムロは「ガルマ大佐はまだお若い。俺達みたいな者の気持ちはわからんよ。よし、行くぞ!」
と、ペルシア母子の道のりが気になり、あとを追いかけます。


◎そうとは知らないペルシア母子はバムロたちの操縦機が付いてきたのを見て「襲ってきた!!」と逃げるのですが・・・・
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◎バムロたちは襲いに来たのではなく、救援物資を母子のために落としていきます。
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◎機内からペルシア母子に手を振って去るバムロ
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・・・・・なんだなんだ?

・・・・なんなんだ???

悪いやつらのはずのジオン軍になんでこんな気のいいおじさんたちがいるのだろう・・・・???

10歳の私にはわけが分かりません。

「?????」って感じ。


ところが・・・

◎バムロたちの操縦機はその後アムロのガンダムに発見され、あえなく撃墜される。
・・・・・不時着して助かるけどね。
フォト

この人たちはしょせん「平凡な兵士たち」。
ガンダムのアムロの手にかかればひとたまりもありません。
まったく太刀打ちできず、あっさりと撃墜され、そして運良く助かります。

・・・・・このおじさんたち、全然カッコよくない。

「平凡で強くもなんともないけど、気のいいおじさんたち」なんです。
どこにでもいる人たち。
そういう人たちも「敵」として戦うわけですね。

なんかこのおじさんたちを「敵」にして戦いたくないなぁ〜。


◎不時着して助かり、ペルシアに手当てしてもらうバムロ
フォト

運良く生き残った「敵」・・・これ幸いとボコボコにやっつけるのかと思いきや、ペルシアも優しい女性。敵だけど手当てすんの。

で、「戦況はどうなっているのでしょう・・・?」と、ペルシアは敵兵であるバムロに尋ねます。

「敵に聞くなよ、敵に」とツッコんでもおかしくない場面ですが、まぁこのおじさんたち相手ならなんかお話ししたくもなるよね。

バムロ「一進一退でしょうな」

ペルシア「「どちらが勝っても負けても、私のように夫をなくす人がこれからも大勢出るんでしょう・・・」

ペルシアはこの戦争で夫を亡くしています。

敵であるバムロたちにも愛すべき家族がいるはずです。
このおじさんたちだとなんか「この人たちにも家庭があるんだよなぁ〜」って想像ができますよね。


◎コーリー少年に「お母さんを守るんだぞ」と声を掛け、立ち去るバムロ
フォト

彼ら、戦争をやめたわけじゃないから原隊に戻っていきます。
やっぱり「敵」なんです。

コーリー少年に温かい声をかけて立ち去るバムロたち。

でも、ひょっとしたら「お母さんを守る」ために今度はこのコーリー少年が成長してバムロたちの命を奪うことになるかもしれませんよね。

なんせ「戦争」なんだから。
なんせ、このおじさんたち、平凡だから。
なんせ、さっきこのバムロたちを圧倒した「ガンダムのアムロ」だって15歳の少年なんですから。


立ち去り際、バムロはペルシアに思い出したように言います。

「奥さん、ここは1年前までセント・アンジェだったところです。他の避難民たちのところに戻ったほうが良いでしょう」

ペルシア「え・・・・・!?・・・・こ・・・・・ここがセント・アンジェ・・・・!?」


◎変わり果てた故郷に驚き、悲しみ、泣き崩れるペルシア
フォト

かつての豊かな街並みは何も残っておらずすっかり廃墟。
もちろん多くの住民がそのときの攻撃で死んでいます。

まさかこんなことになっているとは・・・・・。
泣き崩れるペルシア・・・・。

・・・・誰がこんなことを?
誰がこんな悪魔の所業を?

どこかの悪魔がやったのか?
どこかのモンスターがやったのか?


・・・・・いいえ、これをやったのはほかならぬさっきのおじさんたちのジオン軍です。
(おじさんたちが直接手を下したっていう描写まではないけどね)。

そして、おじさんたちはまた任務に戻っていったのです。
ここセント・アンジュと同じように他の地球連邦軍の拠点を破壊するために。

また「敵」として向かってきます。

そもそもジオン軍はなんのために戦っているのか?
破壊を楽しむため?

いいえ。

この戦いは「ジオン軍の独立戦争」なんです。

地球連邦軍は基本的に富裕層。

貧しい人たちが宇宙移民として出て行った。
しかし地球連邦軍では既得権益による腐敗や差別がはびこるようになり、宇宙移民への支配を強め、それに不満を感じた人々が「ジオン軍」となって独立戦争を起こしたわけです。


主人公ガンダム(とパイロットのアムロ)は地球連邦軍の側です。

とてもとても「正義の味方が悪いやつらをやっつける」っていう構図ではありません。

今回は「敵方だけど気のいいおじさんたち」の話ですが、別の回では「地球連邦軍で腐敗した輩たちの描写」なんてのもあります。


もちろん「地球連邦軍の腐敗」っていうのも、それはそれで「一部の話」であって、全部じゃない。
全部だったらそれこそ地球連邦軍こそが悪の軍団ってことになっちゃうけど、それも違う。

お互いに「正義」があるわけですね。

地球連邦軍には正義感に燃えた人がいる一方、ひどい腐敗があったりするし、
ジオン軍はジオン軍で、野心に燃えた指導者がいる一方で、このおじさんたちのように平凡だけど気のいいおじさんたちがいたりする。

当たり前といえば当たり前なんですけど。

でも、それが当時10歳の私にはとても衝撃的でした。

「正義の味方が悪いやつをやっつけんじゃないの???」
「こっちにもいいやつ悪いやつがいて、あっちにもいいやつ悪いやつがいてって、どういうこと??????」
「こっちに大義があって、あっちにも大義があるってどういうこと???どっちが正しいわけ???」
「こっちも正義で向こうも正義???こっちも悪魔で向こうも悪魔???どういうこと????」

分かりませんねぇ〜〜〜。
10歳の子には(少なくとも私には)分かりませんよ。

このアニメ、すごいですよね。
よくまぁ、この世界観で子どもに向けて放映したものです。


んで、なんだっけ・・・・?

あぁ、そうだ。
この記事の
「『戦争はかっこいい』と誤解招いたガンダム」
というタイトルについてですが、いやいやいや、とんでもない。

私はガンダムという作品を見てすっかり「戦争」というものが分からなくなりました。
戦争って「正義の味方が悪いやつをやっつける『カッコいいもの』」かと思って見てたら全然違うんだもの。

人間と人間の戦争、国と国の戦争は、お互いに言い分があって、どっちにもいい人やら悪い人やら入り組んでいて、とてもとてもフクザツなもの。・・・・・・それをなんだかよく分からんうちにいろいろ思い知らされる・・・・「ガンダム」ってそういうアニメだったんです。

「ガンダム」が私に与えた影響はとても大きい。

そのもっとも象徴的なお話が「カッコいい戦いのシーン」ではなくて、私にとってはなぜかこの地味な「第8話」だったんです。

私のなかでは「ガンダム 第8話」こそ不朽の名作です。



おわり。
ごめん、テキトーな書き方で。
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