電力会社による、電源品質測定のレポートの最終回です。
電源波形を歪ませる奇数次高調波のトータルの測定結果のレポートまでが前回まででした。
今回は
電源高調波の中身についてです。
まずは解析です。
これが測定期間7日間の最小と最大、そうしてAVE(平均)値です。
最大に電源が歪んだ日曜日21時でしたね。
H3は3次高調波(180Hz)、H5は5次高調波(300Hz)として読みます。
すぐにおわかりは、うちの場合H5の5次高調波が一番多く、歪ませる中心人物?
似たような環境であれば、同じ傾向?
電力会社担当者によると、だいたい、3次、5次、7次を見ておけば足りて、せいぜい9次くらいまで。
それ以上の奇数次高調波の値が大きく出ることはないそうです。実際に30次、そうして50次高調波の値はゼロかわずかなものでした。
推測はつきます。電源高周波も、例えば問題の家電品をできるだけ遠くのコンセントから取れば、電線の距離が高周波を減衰させます。
それと同じで、高い高調波になればなるほど、距離によって減衰しているものと推測しました。
これは上記各高調波の日時ごとの変動です。
高調波の中身がわかってどうするか?
前回のレポートのコメントでファイルウェブで九州から北海道まで沢山のスキー場にリフトやゴンドラを建設してきましたブロ友さまは 北海道電力から
「発生した札幌市営地下鉄による、沿線の高調波障害による多数の受電設備の焼損事件に基き、計画書のゴンドラ+リフト4基のサイリスタレオナード装置に、5次・7次・11次の高調波フィルターを設置し、受電点での高調波歪率を3%以下に、出来れば1%以下にしなければ、電力供給は出来ないと宣告」、
これは多少なりとも電源ノイズと対策を勉強した立場からは驚異の課題です。
その難問に毅然と闘かわれたロクハン好き≒さくどう親父様によると、問題を起こしている電源高調波の種類がわかれば、そこにターゲットを絞ったフィルター?で退治するいことが出来るそうです。
多くて1000W単位のオーディオと異なって、全体受電容量が1000KVAに達するスキー場でジェネレーターによる対策は困難ですね(T_T)。もはや小発電所!
これを高調波歪率を3%以下に、出来れば1%以下なんていう、オーディオの歪が矮小な理想的な綺麗なサインウェーブを保て!という課題ですから。
これには特殊設計の特注専用フィルターしかないそうです。たとえば前記なら5次の300Hzをトランスの共振とか、フィルターの熱損かで消すしかないですよね。
いずれにしても、これを消しさえすれば、綺麗な歪のない電源が得られる可能性が極めて大きいわけです。
どんな方法で消していくのかは、素人につき、これから専門家のご指導を仰ぎながら対策を施していく予定です。
電圧変動
まずは電力会社への供給電圧に関する法令をご存知かと思いますが、30 分平均値が、低圧需要家の電圧を標準電圧100Vに対しては101±6V、標準電圧200Vに対しては202±20V以内に維持する必要がある。
つまり、30分の平均が下95Vを下回るか、上が107Vを上回れば電力会社が対処に動くそうです。
ところでうちでの7日間の最大電圧と最小電圧、平均です。
実はこれは瞬間値なんです。上記30分平均でもなければ、テレビ画面やライトのチラツキを防止するための規格、10分間平均値の統計値でもありません。
この日置電機の測定器には5秒アベレージの電圧変動も表示させられますが、それより短い1秒?それより短い、最小0.5μs(2MS/s)幅のトランジェント電圧も測定できます。
さすがは付属品も入れたら50万円のAnalyzer。これはテスターの瞬間測定能力を遥かに超えていました(苦笑)。
これには電力会社の測定担当も驚異的な変動のなさに驚かれていました。
実際には例えば、クーラーを入れたり、冷蔵庫のコンプレッサーが回りだした瞬間、業務用ヒーターや大型モーターを点けた瞬間など、一瞬室内ライトが暗くなった経験は多くの皆様がおありだと思います。
このときにはおそらく瞬間的にはAC90Vかもっと下回っている可能性があります。
上昇も同様です。これは30分平均に埋まってしまえば、何ら電力品質からは問題とされません。
ところが動的な電力を使っているオーディオではいかがでしょう。
たとえば瞬間的に下が85V、上には110Vが瞬間的に変動が繰り返されていたとします。
その差25V、100Vの1/4もの上下・・・
場合によってはテレビ画面やライトにちらつきが発生する可能性もあれば、音質にも当然影響しているだろうことは想像できます。
どうしてうちは瞬間変動が少ないのかは、ひとえにマイ電柱、マイトランスです。
一つの変圧トランスを1軒だけで使っているために、トランス容量がたっぷりで、電圧変動しようがないからと思います。
アンプに不相応に大きな電源トランスが音質に効いてくる所以ですね。
同じ意味でグルマン様が試みて成功させているバッテリー電源です。
これも外的要因で変動しようがありません。せいぜい内的要因となるバッテリー容量やインバーターの高速性能らに気をつけて、レギュレーションを十分にするくらいでしょうか。
マイ電柱の最大の意義はここ、次に電源歪率を変圧器を同じくするご家庭がない分少なくなる、この2つということが測定からも明らかになりました。
以下は電源ノイズとは関係ありませんが、こんなことも測定でわかりました。
ご興味があればご覧くださいませ。
電源周波数の変動
消費電力の変動
電源力率
電源力率とは
「ワット」(W)はスカラ量で、パワーとも呼ばれ、システム効率の測定に関連して多く用いられます。ワットとは、顧客の仕事を実行するために電力会社から単位時間に供給されるエネルギーのことです。大量に電気を消費する事業者の場合を除いて、電力会社はユーザが使用したワット数(VAではなく)で料金を請求します。ワットは、機械的な仕事(馬力)や熱量単位のBTU(British Thermal Units)に直接変換できます。
1馬力 = 746 W
1 BTU/時間 = 0.293 W
数学的には、ワットは2つのベクトル量(電圧と電流)のベクトル積から得られるスカラ量です。rms電圧とrms電流の単純な算術積ではありません。
これに対して「VA」とは、ベクトル量である電圧と電流のrmsの大きさを乗算して得られるスカラ量です。この値は、機器が要求するワット数よりも小さくなることはありません。製品の全効率と消費電力をVAを使って評価している例が見られますが、これは誤りです。VAの正しい用途は、AC電源導体のゲージとサーキット・ブレーカのサイズ、および「力率」を求めるために使うことです。
「力率」とは、ある条件下で製品が消費するワット数を、そのパワーを供給するために必要なVAで割ったものです。力率が1.0、すなわち消費ワット数と必要なVAが等しいのは、負荷が純抵抗の場合だけです。現実にはこのようなことはほとんどありません。力率は通常は1.0より小さい値を取ります。
負荷のリアクタンスが大きくなるほど、同じワット数を負荷に供給するために必要なVAは大きくなります。電源のrms電圧が一定と仮定すると、力率が低いほど、負荷に同じ公称ワット数を供給するために大きなrms電流が必要です。この不釣り合いに大きい電流を生成して分配する能力が、発電施設と配電網に必要となります。このため電力会社にとっては、製品の力率はなるべく1.0に近いのが望ましいのです。
「効率」とは、単にシステムが行う仕事をシステムに供給される仕事で割ったものです。ある条件下での電気負荷の効率は、通常は出力パワーを入力パワーで割って求めます。結果は常に1.0より小さくなります。出力パワーと入力パワーの差は、システムから熱として失われるワット数です。失われたワット数をBTU/時間に変換すると、周囲環境に放出される熱量がわかります。
https://www.keysight.com/main/editorial.jspx?cc=JP&lc=jpn&ckey=1000003710:epsg:faq&nid=-11143.0.00&id=1000003710:epsg:faq
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