たまにはマジメに自身の業界を考えてみる。
一昨日、レオパレス21が希望退職者1000人を募るというニュースが出ていた。
昨年初頭、管理物件の施工不良問題が露見して以来、あらゆる膿が表出化している同社。
一般的な発想で考える限り、さっさと破綻すると思われた方も多いはず。
私も即座に思った。
続けられるわけがない、と。
施工不良を改善するにあたって、工事費や入居者の賃料を負担して対応するとリリースするまでは早かったが、現状、改修工事が完了しているのは1割弱しか無いとも聞く。
・この状態で同社物件に入居したい新規顧客は激減する。
・法人契約が多い同社物件で、多少、賃料を下げたところで「そのまま住んどけ」と企業も社員に命ずるのも理不尽な話なので、当然、退去していく。
・同社物件にありがちなカーテン装着で、外見では入居しているように見えても、実際の入居率は甚だ疑問。
・資産であるホテル事業を放出するのは苦渋の選択。(ロイヤルホストは、レストランを閉店してでもホテル事業は守ろうとしている。)
そんなお先真っ暗な中で増資されることで、V字回復できるのか・・・。
世間は悲観的でも、レノ(旧・村上ファンド系)はできると踏んでいる様子。
だからこその株式取得、大株主化なのだろう。
その発想は、凡人の理解の範疇をはるかに越える。
おそらく、建物所有者との借上げ賃料の引下げ等の戦略戦術を含んでいるとは思われるが、現実的にそう簡単なものじゃない。
納得して契約継続するオーナーの利益率は悪化する。
納得しないオーナーは契約解除して、他社に管理依頼する。
その二者択一ではあるが、次の問題も生じる。
他社は管理を受託するのか。
施工不良が改修完了し、尚且つサブリース契約でなければ、まだ可能性はあるが、一般的な入居率や収益性はほぼ望めないと考える。
私の会社ではお受けできない。
負債を抱えた「困った建物」だけが残るのか、それとも骨までしゃぶられ続けられるのか。
イメージする未来予想の中に、建物所有者の幸せだけはさらさら見えない。
レオパレス21の現状に、そこだけは判然としている。
そのように語られることのないように、我が身も堅実に、ときに大胆に。
余談。
アパート・マンションを建てようとする方から相談を求められることがある。
そんな折りの、こんなやり取りが今までかなりある。
(ほぼ定型文みたいな実話)
オーナー「あんた、ケチばっかりつけるね。他のところが管理するけんやろ?」
私 「建物を建てる目的はいろいろありますが、誰が儲けるためですか?」
オーナー「そりゃ、オーナーよ」
私 「ですよね。儲けるとは失礼な言い方ですが、赤を背負わないことは絶対でしょ。賃料設定、賃料予想下落率、入居率・・・、今までアパートを持たれてるから、この数字が夢物語なのはわかるでしょ?家賃保証・サブリースは聞こえは良いですけど、これは不動産会社の利益確保が本筋で、オーナーのためと思ったらダメです」
オーナー「なら、ズバリ言って、この建物はどう思うんね?」
私 「企画そのものが負け戦ですよ。10年後、20年後、お子さんやお孫さんに引き継いだ時に、『じいちゃん、なんでこげんと建てたんやろうか』って言われとうなかでしょ?」
オーナー「それ、言われとうなかなぁ。不動産屋と建築屋にダマされたって言われるやろな」
私 「私も、それは言われとうなかです」
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