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2021年11月25日20:25

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緒方孝市氏講演会レポート(令和3年11/23) 前編

…ってコトで、カープファン感謝デーの放送時間とは被っていたんですが、今年は近所の文化ホールでカープ前監督である緒方孝市氏の講演会をやるということで、そちらを聞きに行ってきました。
講演中の撮影や録画は禁止だったので、約70分間の講演を聞きながらずっと右手はメモ帳の上にボールペンを走らせ続けて最後は手が痛くなってきましたが、それだけ有意義な内容ではなかったかなと。
いずれにせよ、姿を見るのは久々ながら、お元気そうで口ぶりも軽妙だったのは何よりでした(´ー`)。

なお、B5のメモ帳に書き込んだメモは20ページを超えていて、講演内容をなるべく余すことなく書き起こしていたら日記の文字数制限に引っかかったので、今回は前後編です。

・チケットは完売で40分前から長蛇の列。
1枚500円の本日のチケットは、先月の衆議院選挙の期日前投票に来た時に購入していて、その時はまだ絶賛募集中だったものの(推定だけど総数が350枚程度で自分が136番め)、講演当日に来てみると当たり前のように完売御礼の札が。
さらに、自分が現地へ着いたのは講演開始の40分前で、開場前ながらもう受付は開始していたので検温と消毒を済ませてとりあえず会場前へ向かうと、既に40〜50人程度は並んでいる行列が出来ていました。
並んでいたのは、いかにも球児といった感じのトレーニングウェア姿の少年達から若いお姉さんのグループに、初優勝前からの鯉党っぽい年季の入ったカープ帽を被る年配のお爺さんお婆さんまでの、それこそ老若男女で、こういうバラバラの客層を見ていても、やっぱりカープは未だに三世代(かそれ以上)が支えている地域密着球団なんだなと。

・緒方氏登場……しかし、想像してたのと違うと苦笑い。
やがて、着席して待つこと開始5分前に司会の方が出てきて撮影禁止とスマホの電源をお切りくださいという注意の後で、大きな拍手と共にスーツ姿で凛々しく登場してきた緒方氏。
まずは満員に埋まった会場を見渡してこんなにお集まり頂けるとはと嬉しそうに頭を下げたり手を振り返してきたものの、壇上へついた後で、でも聞いてたのと違う……と。
元々、本日は広地区の教育祭というイベント内での文化講演会ということで、どうも緒方氏は若い学生さん相手と思っていたらしく、前列の方に沢山集まっていた高齢者の聴衆へどう見ても年齢層が高いじゃないですか?!とツッコミを入れていきなり笑いを誘ってました。
そら、緒方孝市の講演をやるといわれて、この地区に住むカープファンが集まらないわけがねぇでしょが(´Д`)と感染対策でご静粛に、なのでおそらく会場のみんなが心の中でツッコミ返していた中、今日は若い人向けの話だけど大丈夫かなぁ……と呟いた後で、まぁでも、話をするのはカープの話だからと、気を取り直して講演開始。

・やっぱり野球は面白い!
というコトで、まずは今年もカープが3年連続でBクラスで終わって残念だし、カープが弱いと広島が元気にならないですよねという話から入ったんですが、今年も解説の仕事をしているのにコロナの影響で厳しい制限がかかって選手たちと直接話が出来ていないのが残念だし、だから内々のお話も出来ないと前置きもされたものの、それでも家で中継を見ていると、やっぱり野球は面白いと改めて感じさせられているのだそうで。
(中継を)見ながらかつての勝負勘を働かせつつTVの前で独り言を言ったりしていると、球場で後ろからピーナッツやら氷をナイスコントロールで投げ付けてきた(ちなみにこれがきっかけで警護員を付けてもらったとも)観客の気持ちが分かる様になって、監督時代までは到底望めなかった楽しさを感じているとのこと。
…とまぁ、重圧から解放されて楽しそうなのは何よりとして、緒方氏が監督やってた頃にもまだそんなマナー悪い客がいたとは…(´Д`)。

・来期の野手キーマントリオ……に意外な弱点が?
それから、話は今期の低迷の原因へと移り、やはり主力選手の不調が大きかったのを挙げてましたが、特に三連覇の時の主力達でまだ若いのに戦力になれていなかった選手が多いのが残念そうでした。
さらに、全体としてやっぱりミスが多かったのも挙げ、若い選手も多いのでミスをすること自体はいいんだけど、同じミスを繰り返していたのが良くなくて、それが連鎖反応の様にチーム内に広がって連敗に繋がったのだろうと指摘。
ただ、それでも後半は良くなってきて、あれが本来のカープの野球だから、来期も継続していければ期待できるとも付け加えてましたが。

続けてその来季のキーマンとしてまずは野手陣から坂倉、小園、林の写真をスライドに挙げてこの三人には来期にやってもらわなければ厳しいと。
坂倉は誠也と首位打者を争った打撃面で、そして小園にはセンターラインを固める重要性からもこのままショートに定着して欲しいと、そして林に関しては誠也が抜けて長打力がある打者がチームにいなくなるので、4番候補になるだろうとの見通し。

そして、何より彼らの年代が近いのが緊張感を持って切磋琢磨できるから良いことだと言い、さらに自分の現役時代と重ね合わせて、坂倉は前田智徳、小園は野村謙二郎、林は金本知憲を彷彿させるんだそう。
ちなみに坂倉と小園はイメージしやすいとして、林がどうして金本かといえば、高い放物線を描いていた江藤と違って、金本のホームランはいつも弾丸ライナーの中距離打者だったので、そういう部分が林と重なるとのこと。
…ただ、面白かったのがそれでも前田野村金本との違いでこの三人には共通の欠点があって、困ったことにみんな足が遅いんですと苦笑い。小園の足が遅いというのは意外で、緒方氏もそんなイメージはないかもしれないですがと前置きした上で、この三人はカープ伝統の機動力野球がやれる走力じゃないという評価でした。
それでも、実は田中広輔も入団時は足が遅い方で、チューブを巻きつけての走りこみを続けるうちに瞬発力が増して速くなった(そして2017年は盗塁王を獲得してる)ので、小園もこれから鍛えてていけばいいとも付け加えてました。

ともあれ、それでも緒方氏はとにかくこの3人がキーマンだと強調し、今年は彼らが一年間起用され続け、長いシーズンを通して悪い時や良い時もある中で、体調に応じてどの様な練習をしながらコンデイションを整えていけるかの経験を積めたのが大きいということで、来期は一皮剥けた彼らに期待せずにはいられませんが。

・投手陣に関しては森下に期待と厳しい指摘。
投手のキーマンに関してはルーキーにしてセーブ失敗ゼロで終えたクローザーの栗林に驚いたと語り、12球団でナンバーワンだと絶賛。
ただ、シーズン終盤に疲れから失速しかけたのもあり、しっかりと疲れを取ってコンディションを整えられないと来期は打たれてしまうだろうと、オフでの調節の大切さを語ってました。

そして、これまた印象的だったのが森下評。
栗林と同じく、まず彼はまえけん二世だとそのポテンシャルを絶賛したものの、後半に勝てなくなったのは他のチームに研究されたからだと指摘。正直、自分は去年や五輪までのイメージでただ援護に恵まれなかったとか捕手との相性が悪いせいとか思っていたものの、他球団からのマークが厳しくなった結果という緒方氏の指摘ははっとさせられました。2年も続けて一方的にやられ続けるほどプロは甘くないよ、と。

・誠也への2つの心残り。
それから、カープ選手に関して最後に語ったのはメジャー挑戦を表明した鈴木誠也に関して。
残って欲しいかメジャーで活躍する姿を見たいか、ファンのみなさんの本音はどうですか?と問いかけた後で、緒方氏は彼への2つの心残りを語りました。
一つは、今年に是非カープでまだひとりも出ていない三冠王を取って欲しかったとのことで、場内が少しどよめく中で、自分も思わず「ああそっか!」と口に出しかけてしまいました(´Д`)。
…言われてみたら、そういやカープで三冠王取った選手はいまだいなくて、今期は過去最大のチャンスだったんだと今更ながら気付かされてしまったり。
そしてもう一つは、トリプルスリーを取って欲しかったということ。
過去の怪我の影響もあるとしても、最近はすっかり走る意欲が薄れてしまっていることに緒方氏は不満を感じているみたいだけど、そういえば誠也が入団会見で語っていた目標もトリプルスリーを取りたいだったし、取らせてあげたかったのが本音なんでしょうね。

ちなみに誠也は子供の頃から高い注目を浴びつつその期待を裏切ることなく伸び続け、プロ入り後も入団一年目からファームで見ていても飛び抜けていて、他の選手と比べても成長速度が違っていたと特別な存在であったことを語ってましたが、中でも彼に関して目を引いたのは、とにかく負けず嫌いの性分だったとのこと。
具体的なエピソードとして、ルーキーの頃の彼は打席で凡退して帰ってくるとベンチでヘルメットは叩きつけるわ手袋はビリビリに破くわで悔しさを露にしていて(ちなみに、後に緒方監督時代にベンチであまり態度に出すなと指導されたのも有名な話だけど)、それが向上心にも繋がっていたプロになるべくしてなった選手と語ってました。

・習慣→行動の基礎作り。
さて、ここからは誠也と違って自分は高校時代は無名でしたが……と繋げての緒方氏自身のお話で、まずは野球人としての転機になったのは高校の恩師との出逢いで、「挨拶」「礼儀」「道具の手入れ」「部屋の整理整頓」の4つを日々徹底する様に指導されたと語りました。
まぁ、当たり前と言えば当たり前のことなんですけどねと続けたものの、ただこれらの習慣づけは選手としての基礎になり、今ではスポーツドクターもメンタル強化に有用なやり方であると認めているんだそうで。
緒方氏の恩師は“心・技・体”という武道でよく使われてる言葉を持ち出していて、うち心に関しては普段の習慣こそが行動に繋がるとのこと。

それから、オリンピック選手も徹底的に管理されている、良いパフォーマンスを出させる条件として、
・集中できている
・落ち着いている
・いい緊張感を持っている
・気持ちが前向きである
・プレーを楽しんでいる
との5項目を挙げ、逆に出せない時の状態として
・落ち着かない
・不安を感じている
・緊張しすぎ
の3項目を挙げてました。
プレーを楽しんでいるというのは正に誠也がそういう選手だったと語ってましたが、他の選手の場合もベンチに戻った時は常にコンディションを維持させる為にヘルメットやバット、グローブなどはきちっと同じ場所に置いていてるとのこと。
更に、イチローに関してはプレー以外での無駄な動きは一切なく、バッターボックスへ向かう時や守備につく時など、常に同じ行動を徹底して調子を維持していたのだと補足してましたが、そういえばカープでも黒田投手あたりがマウンドに行くまでの歩数をきっちり決めていたのを思い出したりして。

・メモを残す大切さ。
それから、もう一つ自分の基礎となった高校時代の経験としてキャプテンをやらされた(言葉のまま)事を挙げてました。
更に具体的な事として、キャプテンは毎日練習後に反省ノートを付けさせられ、毎試合ごとにはレポートの提出を義務付けられていたんだそうで、当時は正直しんどかったとも。
しかし、これを続けて習慣になったお陰で、プロ入り後も選手時代だけでなく監督になった後までも続けられたけど、何かを感じた時に覚えている間にメモを取るのは大事なことで、丸の例を持ち出しつつ実際にやっている選手は多いんだそう。
ちなみに、ただメモを取るだけでなくて後で整理して書き出すことも大事だと付け加えていたのは言うまでも無しって感じですかね。

・大谷に近いメンタリティを持ち合わせていたエース候補。
今回の緒方氏の講演のメインテーマは若い人へ向けた“意識付け”の話だったのは間違いないところだけど、ここからは目標達成に対する意識づけの話。
メモの話から続けて、緒方氏がスライドで表示したのは優勝という言葉を中央にして、「選手起用」や「ファンの声援を力に変える」、「過去の反省を生かす」などの言葉(消えるのが早すぎて細かくは書き留められなかった申し訳ない´Д`)を八分割してそれを更に細かく広げていった、いわゆる目標設定シートで、監督になってから初めて作ったとのこと。
これは目標を達成する為の道筋を明確にする為のもので、最近だと大谷翔平の高校一年の時の目標シートが公開されて有名になっているけど、まずは高校一年で運や人間性といった部分にまで確固たる意識付けが出来ていたのは凄いし、事実として8球団競合のドラ1も達成したと絶賛。

その上で、 監督になった時に自分だけでなくすべての選手にもこの目標達成シートを作らせたところ、実は「カープのエースになる」という目標を掲げてその大谷とそっくりなシートを書いてきた投手がいて、彼こそが当時2年目の大瀬良大地なんだそう。
大瀬良にとって、その2年目は中継ぎに回ったり最終戦ではひと目を憚らず涙を流した挫折といってもいいシーズンにはなったけど、結局あれから成長を遂げて今は目標通りにカープのエースとして君臨しているのも、それだけのメンタリティに支えられてたって事ですね。

続く
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