乃木坂46 1期生、最後のメインメンバー
生田絵梨花 (いくたえりか)
が卒業した。
もちろん、1期生は、まだ幾人か残っている。当時、中学生だったような若いメンバーばかりだ。
秋元真夏は、実質1.5期生である。
齋藤飛鳥は、今では乃木坂46の陰のドン、というイメージだが、彼女が選抜常連になったのは、2015年、11th シングル 『命は美しい』 からで、センターを取ったのは
15th シングル 『裸足で Summer』
が初である。
白石麻衣がセンターをつとめた 『ガールズルール』 のカップリングで、齋藤飛鳥は、レゲエ調の 『扇風機』 というアンダー曲のセンターだった。妙に暗い色調のMVの中で、団地のメインストリートの真ん中にたたずみ、雷雨の中でアンダーメンバーと、びしょ濡れになって踊っていたのが鮮烈に思い出される。
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生田絵梨花のソロ卒業曲は、『歳月の轍』。
ロケ地は、臨海副都心、青海で、開店休業をかこつ
東京国際クルーズターミナル
である。まるで国際競技場のような広大な空間に、轍 (わだち) を象徴する一筋のモーヴのカーペットを敷き、一台のピアノを持ち込んだシンプルなセットである。
アイドルのMVというのは、
天気は運
である。スケジュールは事前に切ってあり、変更は利かない。アイドルは忙しいのである。ましてや、グループのMV撮影となったら、全員のスケジュール調整は至難のワザである。
齋藤飛鳥が雷雨の中で踊ったのも、運だと思うが、これは妙な効果を生んだ。
AKB48 渡辺麻友のラストセンター曲 『11月のアンクレット』 は、安房白浜をロケ地に選び、おそらく、気持ちのよい砂浜で撮影する予定だったと思う。しかし、現実は、終始、曇天で、最後は雨が降る始末。このMVは、残念ながら、陰鬱なイメージしか残さなかった。
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生田絵梨花の 『歳月の轍』 のMVは、やはり、曇天だった。
自身のピアノソロで歌い始め、わずかな夕陽を感じさせる東京湾の空は、少しずつ暮れてゆく。
しかし、重苦しさを感じさせていたMVは、やがて、東京湾沿岸の煌めく夜景で締めくくられる。
絵が、これでお別れ、と告げている。
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この2年間、アイドル業界は様変わりした。握手会がなくなり、
坂道で、ミーグリ (ミート&グリート)
48グループで、お話し会
と呼ばれる 「オンライン握手会」 が採用され、採算が採れるようになった。
しかし、オンライン化されることで、まるで地下アイドルのような状況になっている。たとえば、バラエティ番組で
須田亜香里の握手の極意
みたいなのが披露されるのも過去のはなしになっている。
坂道グループは、「乃木坂工事中」、「そこ曲がったら、櫻坂?」、「日向坂で会いましょう」 という広報番組があるから、まだいい。
48グループは、この2年間に、大物メンバーを始め、あまり知られていないが忘れがたいメンバーを含め、重症の歯周病のように、ボロボロ抜け落ちているのである。
そういったメンバーたちを、花束をもって送り出す 「バナナマン」 は、48グループにはいない。
HKT48 の古参メンバーが卒業していたことを後から知って、妙な言い方だが、
死に目に会えなかった感
を抱く。
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このコロナ禍で、人生の重大なチャンスを失ったアイドルはたくさんいる。
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