本の文字というのは、【ベタ組】(べたぐみ)という文字の組み方である。
つまり、昔で言う「活字」を、ただ普通にベッタリ並べたのと同じ状態である。
「写植」の時代になって 【ツメ組】(つめぐみ)というスタイルが生まれた。大きな文字で見出しなどを組む場合、ベタ組では、特にカナとカナのあいだが間延びして見えるので、文字と文字の間隔を狭めるのである。
写植の時代は、デザイナーが、印画紙に打ち出された文字をカッターなどで切り貼りしていた。
目分量で文字を詰めていたのである。
………
そこへ行くと、40年後の現在、万事デジタルで、ソフトウェアが自動的に計算して表示してくれる。
テレビのテロップなぞ、その最たるものである。
ベタ組のテロップなんてのは、今のテンポの番組では、エリアを食ってジャマなのである。とにかく、情報量を上げなければならない。ゆえに、ツメ組が要求される。
ただ、制作会社の使っているソフトウェアにより、フォローできる程度が違うのである。
それが、最も顕著に判るのが、話し言葉に多用される
ですよ
なのである。【す】 と 【よ】 は、アルファベットの 【V】 と 【A】 のごとく、凸と凹の関係にある。
前後の文字との関係にかかわらず、各文字ごとに、詰める量を決めている簡易的なソフトウェアで処理した場合は、次のような字面になる。
「あいてる あいてる」と思うんだな。
今時のソフトウェアでは、前後の文字の組み合わせで詰める量を自動的に変えてくれる。だから、こうなる。
今では、これが普通ね。
【ですよ】 が自然ですよ。
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