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2020年04月05日15:43

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新宿の夜は更けて

この物語はレトロなファンタジーです・・・。

1975年4月・・・先週あたりから、新宿御苑の桜もいい感じになってきたが、そろそろ八重桜と交代かもしれないな。

新宿・歌舞伎町、風林会館前にある雑居ビルの地下1F、クラブ・モンテローザは、今日もにぎわっていた。

ここは、座っただけでチャージが千円つく、わりと高級なクラブで、女の子も常時10人ほど在籍している。

お通しは「うめかま」。
なんのことはない、かまぼこの薄切りに練り梅ときゅうりをはさんだもので、誰にでも手軽に作れる一品。

手はかかっていないが、意外とおいしいのだ。

このお店の常連さんに、ひとり面白いひとがいる。

ユタカちゃんといって年齢不詳だが、一見若く見える。
ドーランをぬったように色白で、いつも長髪をなびかしている。

何の仕事をしているのか、誰も知らないが、チップだといって、いつも宝くじを一枚ずつくれる。
みんな「現金のほうがいいのに」と思っているのだが、誰も言い出せないでいる。

ユタカちゃんのボトルは、サントリー・オールド。
ダルマというやつだ。
いつも、これでやや濃いめの水割りをつくる。

お店の女の子は、かつみちゃん、ジュリーちゃん、サリーちゃん、チャッピーちゃん、ジャッキーちゃんと、個性的な名前が多く、より取り見取りだったが、ユタカちゃんはいつも、ひとみちゃんがご指名だ。

彼女の跳ねるような体が好きだと言っていた。
ん?さわったことがあるのか??

ユタカちゃんは、グループサウンズが大好きで、いつも何曲か歌っていくのだが、声はたった今、生レモンのしぼり汁を飲んだばかりのような、適度に枯れた個性的な歌声だ。

今日は珍しく「サントワマミー」を歌うというので、ギターで伴奏をしたのだが、ん?
エコーがMAXでかかっているので、よく聞き取れないぞ。
なにか替え歌をうたっているようだ。

「さんどはダメ〜、にどもダメ〜、ただいちど、いちどだけ〜、さんどはダメ〜」

どうやら「三度はダメよ」と、ひとみちゃんをくどいているらしい。
こういう品のいい下ネタって、女の子に受けるんだよね。

弾き語りをやっていたアニキも、アダモの「明日は月の上で」を歌っていたけど、ユタカちゃんのようなエンターテイナーぶりには脱帽だった。

みんなの笑い声がたえない中で、新宿の夜は深々とふけていった。

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