ポリーニが43年を経て、ベートーヴェンの後期三部作を録音した。
早速、聴いてみた。
その43年前の録音は当然聴いてはいて、今回聴き比べをしたいと思ったのだけれど、残念ながら管理が悪く、すぐに出てこない。(つい、ポチっとしてしまった)
今回の演奏は、2010年の来日時にこの後期三部作を弾き、それを聴きにいったときの感想と大きく離れるものでなく、全然枯淡さといったものはなく、どこかエネルギッシュささえ感じる。
比較してみないと実際は分からないのだけれど、テンポも43年前のものに比べて速くなっているのではと思う。
これはテクニックの衰えからくる指回りの余裕のなさから受け取った印象かもしれない。
そんな意味では、ポリーニ特有のテクニックの凄さを感じるものではないが(それでも並のピアニストよりも圧倒的にすごいとは思うけれど)何かぐっとくるのはポリーニの内にある音楽表現と、その実際の表現というものの淵を進んでいることを感じる瞬間。
先ほど書いたエネルギッシュさというものもある意味では、このギャップの中にある音楽の粗さといったものに属するものかもしれない。
どうしてもこういった後期三部作にある種の物語を塗したくなるのだけれど、ポリーニの演奏から聴こえてくるのは、音楽の戯れ−音楽の純化といったもの。
そして、なおも旺盛なベートーヴェンの新たなものに向かう表現意欲というようなもの。
2010年の感想
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1608019718&owner_id=792410
また、ポチっとした旧盤との聴き比べは、それが届いたときにでも。
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