日本のコロナ抑制の陰に世界一のCT普及率

北川 高嗣
6時間前 ·
一つの超重要な現場医師によるインサイト。

なぜ、検査数（PCR）が少ないのに、重症化は、圧倒的に抑えられているのか？

の答え。実はPCRより遥かに精度の高い方法で、【実質的に】検査しているから。（ただ、これは世の中的には検査とは認められていない。）

そしてこれは、日本にしか、できない。

小川 和久
15時間前 ·
日本国民は知っておこう。外国メディアにも教えてあげよう。世界でダントツの日本のCT普及率が検査数を絞るのに効果を発揮している現実を。メルマガ『NEWSを疑え！』（3月19日号）掲載の西恭之静岡県立大学特任助教のコラムです。



「
・日本のコロナ抑制の陰に世界一の〇〇普及率

（静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之）
　日本は新型コロナウイルスのPCR（ポリメラーゼ連鎖反応）検査件数が比較的少ないので、「検査を絞って感染者数を少なく見せかけているのではないか」という疑念が内外にある。その一方で、欧米で新型肺炎が広まってからは、「日本は検査件数が少ないとはいえ、死者・重症者が明らかに少ないのだから、なんらかの理由で流行が抑制されているようだ」という見方が、欧米メディアの記者の間で広まっている。
　実は、PCR検査件数が少ないからといって、日本の新型コロナウイルス検査件数が少ないとはいえない。日本ではPCRの必要性を帰国者・接触者外来の医師が判断するとき、ウイルス性肺炎でない受診者をCT（コンピュータ断層撮影）でふるい落としている場合が多いと考えられるからだ。これはおそらく政府の方針ではないが、政府は実態を把握して内外に説明し、「感染者数を少なく見せかけている」という疑念を払うべきだ。
　先にCTを行い、PCR対象者に占める感染者の割合（事前確率）を上げると、感染していないのに陽性と診断される人（偽陽性）が減り、陽性判定の信頼性（陽性的中率）が上がり、偽陽性者の隔離・治療に医療資源を浪費することを防ぐことができる。
　また、集団感染を防ぐためにも、PCR対象者をむやみに増やすべきでない。検査人数を増やして事前確率を下げると、感染しているのに陰性と診断される人（偽陰性）の比率は減るが、分母に当たる検査人数が増えていれば、分子に当たる偽陰性者の人数はかえって増える。彼らが自分は非感染者だと信じて行動すると、周りの人にウイルスを広めてしまうことになる。
　確かに、日本の新型コロナウイルスPCR検査件数は少ない。外国メディアがよく引用するOur World in Dataというサイトによると、3月12日までの件数は1万205件、人口100万人当たり80.5件である（厚労省によると2万4666件）。韓国は3月13日までに24万8647件（人口100万人当たり4831.3件）、台湾は1万6089件（同676.6件）である。

　ところが、日本はCTの台数が人口100万人当たり107台と世界一多く（2位は豪州の63台）、人口1000人当たりの撮影回数も231回と、米国の次に多い（OECD保健統計2017）。たいていの街にCTがあり、肺炎を手軽にCTで診断している、珍しい国である。
『ラディオロジー（放射線医学）』誌は2月19日、中国の温州医科大学附属台州医院などの医師による「COVID-19に対する胸部CTの感度」の分析の成果を公開した。COVID-19とは「2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患」、感度とは患者・感染者を見逃さない確率を指す。患者51人にCTとPCRを行った結果、

【CTの感度は98パーセント、PCRの感度は71パーセントだったという。】

　PCRの特異度（非感染者を感染者と誤認しない確率）は原理的に高く、90-99パーセントと考えられる。したがって、ウイルス性肺炎でない受診者をCTでふるい落とし、事前確率を高めてからPCRを行えば、陽性判定の信頼性は高く、偽陰性者の人数は少なくなる。ただし、この手法は日本にCTが過剰なほど普及しているから可能なのであって、諸外国には勧められない。

　集団感染を防ぐため避けるべきなのは、無症状の感染者が陰性と診断され、濃厚接触を避けようとしないで、周りの人にウイルスを広めることである。だからこそ、どの国でも本物の専門家はすべての人に対し、自分が感染していることを前提に、家族以外との濃厚接触を避け、風邪だと思ったら仕事を休むように呼びかけている。
」

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【写真】日本にしかできない。
PCRのキット610円、
CT一台、4000万円。