高山義浩
2月13日 0:25 ·
「いつもの風邪と同じだと感じておられるなら、いつもの風邪のように行動してください。あわてて救急を受診したり、原因ウイルスの種類を知る必要もありません。水分をしっかりとりながら、ゆっくり自宅で休んでいてください。」
このことを住民に分かりやすく伝えることができるか・・・、これが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期における分水嶺となるでしょう。重症者のみならず、軽症者や家族までもが医療機関に殺到すれば、そこで感染してしまうリスクも高まります。いわば、武漢の二の舞ですね。
医療現場で使える診断キットが開発されることは、必ずしも朗報ではありません。確定診断を求める患者が集まり、あるいは非感染や治癒証明を求める患者たちを集めてしまうマグネット効果があるからです。そして、検査結果が出るまでのあいだに、待合室で感染を広げるかもしれません。
診断キットがあることによって医療機関は過密になり、院内感染のリスクも高まることでしょう。そもそも、インフルエンザのような特異的な治療薬もないわけですから、あえて受診する理由などなかったはずです。むしろ、高齢者や持病のある人を守るためにも、救急医療の機能を保つことに協力していただければと思います。
もちろん、息苦しさや高熱など、いつもの風邪とは違うと感じたときには、迷わずに病院を受診するようにしてください。診断キットの意義があるとすれば、こうした重症者のなかから新型コロナウイルス感染を見抜いて、カレトラなどの重症者向けの治療薬を選択することにあるのです。
このあたりのこと、理解できている政策決定者が少ないような気がします。地域における医療者の説明能力が問われていますね。
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