わりと好きな小説の映像化作品がありまして。
へぇ、映画になってたんだ、と観てみました。
ちょっとネタバレしてしまうので、タイトルは伏せます。ほとぼりが冷めたころ、レビューを書こうかと思っているので、ばれるかもしれませんが。
黒木メイサとか、最近あまり観ないけどそこそこ有名な人たちが出ていて、映画じゃなくてWOWOWでやってた2時間ドラマみたいな感じかな。
原作が好きだと失望することも多いですけど、そこそこ楽しく観ることができ、展開もペースが良くてさくっと最後までいきました。
ただ観ながらも、気になっていたのはラスト。
この小説作品、最後にけっこうな毒があったのです。
いわゆる倒叙ものというやつでね。最初に犯人が殺人を犯すところから始まって、物語が進みつつ、なぜ彼は殺人を犯さなければならなかったか、探偵役との知恵比べで露見するかどうかのサスペンスを愉しむ話です。
ときどき現れる犯人の回想。
意味不明なカウントダウン。
探偵役は映画版では別れた彼女。小説の方では、つきあってはいなかった気はしますが、自分に想いを持っていてくれた年下の女性。
その彼女がものすごく頭がよくて、ちょっとしたことから違和感を抱き・・・という緊迫感。
小説では真実が明らかになった後、探偵役だった少女はなんと犯罪を隠す側にまわります。
犯人が犯した些細な、しかし自分ではまったく気づいていなかったミスを指摘され、敗北を認めてかつて自分がふった女の子の夫となる道を選ぶ。
相手は頭脳明晰、ものすごい美人の年下女性。そこまで愛されてるならいいじゃん、という気がしないでもないですけどね。でも殺人を犯すほどの確固たる信念を持ち、頭脳にも自負があった青年が、頭脳戦に負け、一生首根っこつかまれたまま生活する。
しかも殺人を犯してんじゃん。
うーん。
読後、その毒にけっこうもやもやとしたものでした。
ドラマではその結末がどうなっているんだろう、とワクワクしながら観ていたんですけど・・・。
最終的にかばう探偵の彼女を押し切り、犯人の彼は自分の信念を貫いて自首します。
えー?
これじゃ火サスじゃん。
ちょっと茫然としました。
作品自体は悪いとは言わないけどなぁ。でも、あの結末の毒こそ、物語の肝だと思っていただけに、ちょっと残念。
映像作品って、犯罪者が勝つとか、殺人を犯した者が露見せずに幸せになるって、難しいんでしょうね。
カイシャでそんな話をコードネーム=コッペさんにしたら、
「まぁつからまらないで終わるのって、ルパン三世くらいですかね」
なんて笑っていた。
ちなみに小説版の方はその後シリーズを重ね、探偵役の彼女は犯人の姓にかわって、謎を解き続けています。
探偵役の彼はその後出てきませんけど、シリーズの最後にもう一度、二人の対決をみたいな。
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